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第四章
橋本健はそう言って204号室のドアを開けた。
ドアを開けてすぐベットがありその斜め前に丸机がありその下に、緑のカーペットがしかれていた。
部屋は綺麗で明るかった、カーテンから差し込む光が部屋をてらしていたからだろうか。もう洋服は片付けられているのか部屋はかなり片付いていた。
「バックが倒れていたのはどこですか?」悠一が橋本健に質問する。
「そこです」と言って橋本健はベットの前を指差した。
そこは、確かに帰って来た時にバックを置いてもおかしくない場所だった。
「そう言えば、福田美羽さんがいつも使っていた鍵はどこにあったんですか?」悠一が言う。
「バックの中にあったと聞いています。倒れていた時はバックの中からは鍵は出てませんでした。多分、鍵はバックの中に入っていたのでまちがいないと思います。」橋本健は少し自信のない声で言った。
その後も、福田美羽の部屋を数時間探したが有力な情報は得られなかった。
悠一は急に福田美羽の部屋を出て行こうとした。きっと事情聴取だろ、だから俺は悠一の後についていくことにした。
悠一は部屋を出て、隣の部屋203号室の前に立った。
203号室は事件当日にアリバイがないリストに載っていた。
確か、名前は、、栗崎理波だ
そう考えているうちに悠一はもう203号室のインターホンを鳴らしていた。
「はーい」そう言ってドアが45度ぐらい開き、中からは、赤い布の長袖に黒っぽいジーンズ、いかにも芸術家という感じの服装の女の人が出てきた。すると、すぐに俺達が宅急便ではないことに気がついたのか少しつめたい目になり、
「どちら様ですか?」と冷めたい声で言った。
「あの、隣のことで少し聞きたいことがありまして、」悠一は違和感のある口調で喋っていた。
「警察手帳」栗崎理波はつぶやいた。2人は一瞬何のことか分からなかったが、すぐに理解した。
「すいません。警察ではなく福田美羽の関係者で話を聞けたらいいなと思いまして、」悠一はまだ違和感のある口調で喋っている。すると栗崎理波は呆れた様にこう言った。
「事件のことを知りたいんだったら、隣の部屋、202号室に聞きに行った方がいいですよ。私、仕事があるんで。」少し皮肉をこめている様な言い方だった。
「なぜ202号室何ですか?」当然の質問だった。普通なら誰しもが持つ疑問だったと思う。
「知らないんですか?202号室に住んでいる人は204号室の合鍵を持ってるんですから。何で持ってるのか大体予想はつきますよ。私、知ってるんです。」栗崎理波は一度大きく息を吸って話を続けた。
栗崎理波は言い切ったという顔でこちらに向いてきた。でも何か伝え忘れたと気づいたのか栗崎理波は口をもう一度開いた。
「どうせ、口実ですよ。だって普通女である私に頼むでしょ。」多分、さっき栗崎理波が言っていた予想がつくとはこれのことだろう。
となると福田美羽は202号室の原義十と浮気をしていたことになる。
「じゃあ、私はパリコレが近い内にあるので」といい栗崎理波はガチャリとドアを閉めた。
パリコレ、世界4大ファッションショーじゃないか!
栗崎理波はそんなにすごい人だったのかと改めて確信した。
何もかもが驚きだった。まず合鍵をもっている人物が、橋本健以外にもいるということだ。
あと、俺なりに気がついた事がある。それは、車椅子用に作られているのは福田美羽の部屋だけではなく栗崎理波の部屋も車椅子用のドアだったという事だ。多分、もともとこのアパートは車椅子用に作られたアパー卜なのだろう。
「202号室に行こう」悠一はそう言って202号室に向かって行く途中、急に足を止めてこちらを向きこう言った。
「ここから話す事は完全に俺の推測に過ぎない。だからあまり信じ過ぎないでくれ。今、櫻井からメールがあった。凶器は横幅があるひものような物らしい、身近な物に例えるとタオルとかベルトとかハチマキとかと言った所かな。しかも凶器は事件現場には無かったらしい、つまり、自殺と言う可能性がゼロになったというわけだ。でもなぜ犯人はわざわざ凶器を持ちさる必要があったのかが問題だ。」
悠一は前を向き、止めていた足をまた動かし始めた。
「悠一.どうする?今日はもう時間が遅いし202号室に訪問するのはまた今度にしないか」俺は足を動している悠一に声をかけた。
「そうだね。明日にしよう」と悠一は言って204号室に向かって歩き出した。」
確かに、自殺に見せかけたいならわざわざ凶器を持ち去る必要はない。
なぜだろう、謎がどんどん浮かんでいく。
すると、携帯が鳴った。
携帯を見てみると橋本健がカバンの写真を送ってきた。こんなの一体どこから入手したんだろうと思いながらカバンを見てみるとある違和感に気がついた。それはカバンの一部があからさまに禿げていたからだ。
謎で頭が混乱してしまいそうだったから、俺は謎をスマホのメモアプリにまとめることにした。