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思い当たる事は1つしか無い。
裕夏さんに関してだろう。
でもそれを、僕から言い出していいのだろうか。
わからないので、僕は黙っている。
少し沈黙の時間が続いた後。
もう一度、未亜さんはため息をついて、そして口を開いた。
「わかっていると思うのです。裕夏さんの事なのです。自分でもわかっているのです。問題があるのは私。旧弊をひきずっているのは私なのです」
「どういう状況なんですか」
未亜さんはもう一度ため息をつく。
「ここが、いわゆる狐系の学校だというのは話したと思うのです。でも狐系でも、術を使うのはそれほど多い訳ではないのです。ほとんどは、簡単な欺瞞とか隠行の術まで。
でも、中には魔術師というか、術使いが得意な人物なり家系なりがあるのです。白、金、黒。その3色で魔術師の系統と家系を呼んでいて。私は金の後釜、そして裕夏さんは黒の後釜だったのです」
なるほどな。
それで美洋さんは術を使えないけれど、未亜さんは使える訳か。
そう思いつつ、話を聞く。
「ただ私の家は、一度里から出た家なのです。術の跡継ぎは母の兄に任せ、うちは大阪近郊の住宅地で普通の会社員をやっていたのです。私も、そんな世界がある事すら知らずに育ったのです。小学1年の時、叔父一家が揃って事故死するまでは」
そう言えば未亜さん、自分の事を傍系で混血とか言っていたな。
「そんな訳で、うちの家から術士の後継者を貰い受けたい。そんな話が里から来たのです。うちは兄妹あわせて子供が3人いましたので。母も父も乗り気では無かったのですが、私は乗り気でした。小学低学年にして厨二病という、おませな子供でしたので」
なんだそりゃ。
そう思いつつも、何となく今の未亜さんから想像がついてしまう。
そんな事を言うと怒られそうだけれども。
「そして私に適性もありましたので、その話はすんなり進んだ訳です。叔父の家は無かったので、里の長の1人である美洋の家に居候する形で。居候と言いますが、実の親以上に可愛がってくれたのは確かなのです。また、術の勉強も才能というか素質があったので、あっと言う間に身につけていって。その術の勉強の先輩が、裕夏さんなのです」
なるほど。
やっと人間関係の一部が見えてきた。