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放課後の図書室は、オレンジ色の夕陽が差し込んで、古い紙の匂いがふんわりと漂っていた。
私、キララは、誰もいない閲覧席で静かに本の整理をしていた。すると、静寂を破るようにバタンと勢いよくドアが開いた。
ミナト:「(息を切らして)あー、いたいた! キララ、やっぱりここだったか!」
入ってきたのは、同じクラスのミナトだった。彼は部活帰りなのか、首にタオルをかけ、スポーツドリンクのボトルを手に持っている。
キララ:「(驚いて肩を跳ねさせながら)もう、ミナト! 図書室なんだから静かにしてよ。……何か用?」
ミナト:「(悪びれずに笑って、隣の席に座り込みながら)用がなきゃ来ちゃダメかよ? ほら、これ。お前にやるよ」
ミナトが机の上に置いたのは、冷えたラムネ味のキャンディだった。
キララ:「(戸惑いながら)これ、どうしたの?」
ミナト:「(窓の外を見ながら、少し照れくさそうに)……さっき、購買で目に入ったからさ。キララ、最近テスト勉強で夜遅くまで起きてるだろ? 糖分補給して、倒れないようにしろよ」
キララ:「(胸がドキッとして)……あ、ありがとう。私のこと、見ててくれたんだ」
ミナト:「(急に真剣な声になって)当たり前だろ。幼馴染を放っておけるかよ。……それにさ、キララ」
ミナトは私の方を真っ直ぐに見つめた。その瞳があまりに綺麗で、私は息を吸い込むのを忘れてしまった。
キララ:「(動揺を隠すように)……な、何?」
ミナト:「(少し声を低くして)明日の放課後、空けとけよ。……駅前に新しくできたカフェ、一緒に行こうぜ。二人でさ」
キララ:「(目を見開いて)えっ……それって、デート……?」
ミナト:「(顔を真っ赤にして立ち上がりながら)……うるさい! そう思いたきゃ思えばいいだろ! 嫌なら断れよ!」
キララ:「(慌てて彼のシャツの袖を掴んで)嫌なんて言ってない! ……行く。行きたい、ミナトと」
ミナト:「(一瞬驚いたあと、嬉しそうに口角を上げて)……よし。じゃあ、明日、校門の前で待ってるからな。絶対だぞ、キララ!」
ミナトは嵐のように去っていった。一人残された図書室で、私は手の中のキャンディをぎゅっと握りしめる。
キララ:「(小さな声で)……明日、何着ていこうかな」
窓の外には、明日を告げる一番星が小さく輝いていた。
つづく