「クルル」
先生が俺の名を呼ぶ。そして俺は勿論返事をした。
「はい。なんでしょう?」
「勘付いているだろうが…
魔族に医師をしていることがバレてしまった。」
先生は眉間にしわを寄せて言う。
俺も薄々気づいていたことだ。
元々魔族もこのことを知っていたはずだ。
「そうですか…。バレたのなら、逃げますか?」
俺がこう言うと先生はため息をついた。
「逃げたくないがこうなると仕方ない。」
「ヨーロッパ(現在地)から米国まで行こう。」
遠いがここまで
追いかけることはないだろう。
「そうですね。そこまで行けば大丈夫でしょう」
「大丈夫だろうな。そうと決まったら準備をしよう。」
そこから俺と先生は米国へ行く準備をすることにした。
準備が終わりペストマスクを取ろうとしたとき
先生が言った。
「取るな。マスクには俺らの匂いを消す効果がある。」
「服も身を隠すには丁度いい。そのまま飛べ。」
「は、はい!」
先生は頭がいい。このまま飛べば鳥だと思われるだろう。
魔族も目がそんなに良くないから見えないはずだ。
「このまま飛行するぞ。」
先生はそう言い翼を広げ空を飛んだ。
まぁ、俺は麒麟だから翼はないが
前足に力を入れ雲の上を駆けた。
雲の下を覗いてみると下は焼け野原であった。
「まだ戦争が激しいですね。」
俺が先生に話しかけると先生は下を見て言った。
「平和な国などない。ほとんどの国は戦争をしている。」
「米国もイギリスもソ連もだ。」
先生は深く息を吸った。
「今から行く米国も戦争の真っ最中だ。」
「つまり、それは…」
「魔族より怪我人が怖い。」
「それに戦争に送られるかもしれないのだ。」
先生や俺が戦争に送られれば竜や麒麟だとバレてしまう。
そうなれば戦争の道具となる可能性も高い。
「それだけは避けたいですね。」
「そうだ。だから隠れて治療するし隠れて生活する。」
「隠れて?!それじゃろくにご飯も食べれませんよ?」
俺は身を乗り出した。隠れるのが嫌いなのだ。
「安心しろよ。米国には俺の弟が居るのさ。」
「え?弟?」
「あぁ。その名も_」
「サーフィー・グリンだ。」
コメント
8件