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あ。
強盗じゃなくて、男も大丈夫な頭のおかしい強姦魔だったのかと、押し倒されながら俺は考えていた。いや、強盗の線もまだ捨てきれない。
パーソナルな問題として、俺が同性愛者であることはこれまで誰にも、両親にすら言ったことがなかった。それでも、見ず知らずの強姦魔は性別を気にすることなくあっさりと手を出してきた。
遠慮なしに俺の身体をまさぐる強姦魔の手は思いの外優しい。思わず感じそうになって、腕を掴んで止めた。
💚「やめてください」
🖤「ココは止めろって言ってないけど?」
素直に反応する己の下半身が憎い。
何しろ、男に抱かれる経験なんて夢みたいで、しかもその相手がちらっと見た感じ、あまりにも綺麗な顔立ちをしていたので、胸の動悸がおさまらなかった。初めての相手の理想をそのまま人間にしたような、美しい相手(強姦魔)は決して低くはない俺の身長を見下ろすことが出来るほどの長身で、犯罪者にしては物腰が優しくて、おまけによく響く落ち着いた色気のある低い声をしている。耳元で何か言葉を囁かれると、それだけでうっとりとした気持ちになった。
💚「君、名前なんて言うの」
🖤「かつては蓮と呼ばれていた。睡蓮の、蓮」
💚「綺麗な名前だね」
🖤「そう?」
蓮と名乗った強姦魔は、大きな手で俺の頬を撫でた。
💚「ちゃんと顔が見たい。灯りつけていい?」
犯人の顔をよく見ようと、俺はベッドサイドの灯りを点けた。そこには目の覚めるような美しい青年が俺に覆い被さっていた。思ったより若い。古臭い口振りで年上だとばかり思っていたが、もしかしたら年下かもしれない。
🖤「可愛い顔をしている」
断りもなしにクイッと顎を持ち上げられた。蓮はうっとりと俺を見ている。恥ずかしくて顔が火照った。
🖤「実は人形たちには昔から続く古い言い伝えがあってね」
💚「え?」
🖤「人間と心を通い合せて、カラダが結ばれるとその人形は人間になれるんだそうだよ」
💚「はぁ」
よっぽどヘンな顔をしていたんだろう、蓮はため息を吐いている。
🖤「俺の悲願なんだ。亮平、こうなったら俺はいっそ人間になりたい」
💚「ちょっと何言ってるかわからな…んっ!!…」
誓いのキス、と言ったわりに、本格的に舌を差し入れてくる大人のキスを初めて受けて、戸惑ったが、なんとか応じた。女の子がセクハラされても相手がイケメンなら許せる気持ちが今ならわかる気がする。俺はここで大切なものを失うかもしれないけれど、一生恋人ができない可能性も考えたら、初体験は貴重な機会だと思う。
🖤「亮平、可愛いね。キスは初めて?」
こくりと頷くと、俺は蓮に脱がされるまま、誰にも触れさせたことのない生まれたままの姿を初めての男の前で晒した。
コメント
2件
もうすでにお互いに惚れてそうですき。🖤💚