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女装男子は恋したい 番外編1
平日。
柔太朗の大学近くのコンビニ。
黒パーカー、デニム。
メイクなし。
完全に男の姿。
友達と喋りながら笑ってる。
「柔太朗さー今日講義サボったろ」
「うるせーよ」
低い声。
いつもの“ありさ”とは全然違う。
⸻
その時。
コンビニの前で足を止める人影。
佐野勇斗。
今日は大学終わり。
偶然通りかかっただけ。
でも視線が止まる。
(……似てる)
黒髪。
笑い方。
横顔。
どこか見覚えある。
でも。
“ありさ”は女の子。
目の前の人は完全に男。
勇斗は少し首を傾げる。
(気のせいか)
そのまま通り過ぎる。
⸻
柔太朗は全く気づかない。
友達と別れてコンビニに入る。
ドリンクを手に取る。
その時。
入口のドアが開く。
カラン。
柔太朗が振り返る。
目が合う。
一瞬。
ほんの一瞬。
佐野勇斗。
柔太朗の心臓が止まる。
(やばい)
反射的に視線を逸らす。
帽子深く被る。
勇斗はまだ気づいてない。
でも。
視線が止まる。
(さっきの人…)
なんか違和感。
はレジへ急ぐ。
声、出さない。
喋ったら終わる。
財布を落としそうなくらい手が震える。
レジ終わる。
すぐ外へ。
逃げる。
⸻
勇斗はその背中を見る。
歩き方。
肩の感じ。
「……ありさ?」
小さく呟く。
でもありさは女の子。
ありえない。
ありえないのに。
胸に引っかかる。
⸻
その夜。
柔太朗のスマホが鳴る。
勇斗。
出るの怖い。
でも出る。
「もしもし?」
声をありさモードに変える。
少し高く。
「今日さ」
勇斗が言う。
「面白いことあって」
固まる。
「ありさにめっちゃ似てる男見た」
呼吸が止まりそうになる
「えー?そんな人いるの?」
笑って誤魔化す。
でも勇斗は続ける。
「しかも同じ大学っぽかった」
沈黙。
「ありさの大学ってどこだっけ?」
詰む。
心臓バクバク。
「……秘密」
いつもの逃げ方。
勇斗が少し笑う。
でも。
「今度さ」
声が低くなる。
「ありさの大学行ってみよっかな」
血の気が引く。
⸻
バレるまであと少し。
昼休み。
柔太朗の大学。
芝生の広場で友達とパン食べてる。
男友達が笑う。
「柔太朗って彼女いねーの?」
「いねーよ」
即答。
本当はいる。
でも言えない。
⸻
その時。
スマホが震える。
勇斗
嫌な予感。
開く。
《今ありさの大学の近くいる》
血の気引く。
(は?)
すぐ次のメッセージ。
《サプライズ》
柔太朗、立ち上がる。
「ちょっとトイレ」
友達が「またかよ」って笑う。
⸻
大学門。
黒いジャケット。
背高い。
立ってる。
佐野勇斗。
心臓止まりそう。
柔太朗は物陰から見る。
(なんで来るんだよ……)
勇斗、スマホ触りながら周り見てる。
完全に探してる。
⸻
スマホ震える。
勇斗から電話。
出るしかない。
「もしもし?」
ありさの声。
「今大学の近く」
知ってる。
「えー?なんで?」
わざと驚く。
勇斗が軽く笑う。
「会いたくなった」
シンプルすぎる。
「でも今日授業あるし〜」
必死に断ろうとする。
勇斗がふと周りを見る。
その瞬間。
目が止まる。
少し遠く。
物陰。
さっきコンビニで見た男。
柔太朗。
勇斗の視線が固定される。
固まる。
(見んな見んな見んな)
電話越し。
勇斗が言う。
「ありさ」
声が低い。
「今どこ?」
「教室だよ?」
嘘。
勇斗はまだ柔太朗を見てる。
(似すぎだろ)
輪郭。
目。
仕草。
全部。
でも男。
頭が追いつかない。
勇斗が少し歩く。
柔太朗の方へ。
(やばい)
反射的に背を向けて歩く。
逃げる。
勇斗の眉が少し動く。
「ありさ」
電話越し。
「今、外?」
ドクン。
言葉詰まる。
「……なんで?」
勇斗が静かに言う。
「俺の前にさ」
少し笑う。
でも目は鋭い。
「ありさにめっちゃ似てる男いるんだけど」
空気凍る。
⸻
もう逃げられない距離。
コメント
1件
はぁぁぁぁぁ‼️やばーーーーーーい‼️なんか緊張するー❗️🫨