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特に暗くも明るくもない部屋でギィッと音を立ててゲーミングチェアに座る。そうして目の前でPCを開いて俺───ぺいんとは編集を始めた。
カタカタと音が鳴っては、みんなの楽しそうな声がPCの向こう側から聞こえる。ギャハハと笑い合いながら、突っ込んでボケて…。ほんと、この日常があるだけでも幸せなんだなと改めて思う。
「………。」
時々手が止まりながらも、俺は編集を進めていく。それと同時に撮影中に話している思いついた企画などをメモして字幕を入れていく。3Dモデルも細かく作って……。
「………はぁ。」
背伸びをしてPCを閉じた。今日はもう疲れたし、いいや。そう思いながらベッドへとダイビング。流石に肩が凝っていけない。
スマホでも見るか、と考え今までコラボしたある人たちの動画を見たり、完全に俺の趣味で見てる動画を見たり………自分のチャンネルを見たり。
「ふっ。」
───あー、これ思っちゃいけないと思うけど、やっぱ日常組が1番おもれぇ。
他の実況者さんも確かに面白い。そりゃもう、俺らなんかよりもゲーム上手いし、解説もうまいし。俺らなんてグダグダやって他の実況者を困らせるほどだし。
それでも、多分俺らが1番面白いって思っちゃうのは、俺らの個性が出てるからだろうな。
グダグダ企画説明して、グダグダ企画やって、グダグダ終わって、その後もみんなでグダグダ……。でも、スッゲー楽しい。
「………うぜぇー!」
少し笑ってしまいながらも、大きな声でそう叫ぶ。何でこんなお前らおもれぇんだよ! マジで意味わかんねぇ。
「………仲直り、したいなぁ。」
仲直りはそりゃしたいし、いつかはするもんだとわかっている。それでも、俺は”自分の悪かったところ”や”相手の気持ち”がすぐにわかるような天才じゃない。だからこそ、”謝り方”がわかんない。
「…………。」
困っている時にふと、鳴り響くメール音。俺はすぐさまメールを開いて見てみれば、それは僕らのリーダー───クロノアさんからのメッセージだった。
『ゲームしよー』
軽々な言葉でよく送れるな、と思いながらも「おkです!」と返信して通話を始めた。
『おはよー。』
「おはよー…ってクロノアさん今お昼ですけど!!(笑)」
『いやぁ寝坊しちゃってさぁ…(笑)』
少し眠そうな声で言うクロノアさんに僕は少し呆れる。別にクロノアさん自身に呆れているわけじゃない。自分の考えに呆れているのだ。
───そういえば、クロノアさんってこんな人だったわ。って。
「で、ゲームって何します?」
『あれやろうよ、マイクラ。』
いつも裏ならエペとか、マイクラ以外のゲームをやるのに珍しいと思った。それでも俺もマイクラ自体は好きだし賛成した。
「なんかしにがみのデータパックとか入れときます?」
ふと言葉に出した、”しにがみ”という名。心の中で少し焦りながらも、気持ちを落ち着かせる。
『しにがみくんのデータパックすごいもんねぇ。いっぱいあって迷うくない?』
ふと言われたその言葉に、俺はひどく賛成した。
「そうなんすよ!!ありがたいしすごいしで迷います!!」
不満をぶつけるかのような勢いでそう言うと、イヤホンの向こう側からはクロノアさんの笑い声が聞こえた。
「色んなことあいつしてくれるくせにすぐ自分には何もできないとか!!マジそこだけ腹立つ!!もっと出しゃばればいいのにって!!」
そう言葉にすると、クロノアさんも賛成してくれた。
『ほんとにね(笑) ぺいんとだったら絶対言うでしょ?(笑)』
「いや言いますよ?」
『(笑)』
そうしてクロノアさんとしにがみについて話しながら、マイクラをやり始めて2時間が経過しようとしていた。
『じゃあまた撮影でね!』
「はい!また!」
そうして通話を終えると、俺はため息をついた。
「また撮影でね、か……。」
撮影をしたいなんて思ってしまったのは、何でかはわからなかった。