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優子が目覚めて一週間後の朝。


九月に入り、まだまだ、ウンザリするような暑さが続いている。


彼女の経過が良かったため、予定通りの日程で退院が決定。


病室のテレビを点け、ラジオのように聞き流しながら身支度を整えた後に、荷物を整理している時だった。


『次のニュースです。先月の中旬頃、空港の展望デッキで発生した殺傷事件の犯人が逮捕されました』


女性アナウンサーの、淡々とした声音に、優子の手はピタリと止まり、すぐさまテレビ画面に釘付けになる。


『逮捕されたのは、三十一歳の男を始めとする、五人の男です。容疑者五人は、先日逮捕された島野レナ容疑者が指示した闇バイトの実行役と見られ、昨年十二月の赤坂見附の屋敷放火事件、及び、今年四月から五月に掛けて発生した、二十代女性の拉致監禁暴行事件との関連性もあると見て、警察は慎重に捜査を進めています。なお、島野容疑者と、今回逮捕された五人組の容疑者は、面識がない、との事です』


テレビの画面を、それとなく見やりながら、優子はホッと安堵のため息を漏らした。


「ねぇ……拓人。アンタを殺めた『送迎役』の連中…………逮捕されたよ……」


病室の窓に映るビル群を眺めながら、優子は、天に旅立った男に向けてポツリと呟いた。


スマートフォンの電源を入れ、画像フォルダから、いつか拓人と撮った写真を表示させる。


男の自宅のベッドで横になり、拓人が優子を抱き寄せながら、互いに微笑んでいる写真。


拓人の死を認めてしまうのが嫌で、二人で撮った写真を、彼女はしばらくの間、見られなかった。


男の死を、静かに受け入れられるようになった今、優子は、良くも悪くも、思い出として拓人の事を忘れないだろう。


「アンタの分まで……ちゃんと…………生きていくから」


優子はスマートフォンをバッグにしまうと、荷物を掴み、病室を後にした。




退院の手続きを済ませた優子は、御茶ノ水駅へと向かう。


(さて、どこへ行こうか。ひとまず…………人が多い場所へ行きたいな……)


街路樹が連なる木陰の道は、駅まで真っ直ぐに伸び、彼女は手を翳しながら考えると、五月に刑務所を出所した時と同じ事を考えていて、思わず微苦笑を浮かべる。


あの時は、これから先の人生に不安を抱き、途方に暮れていたけど、今は違う。


漆黒の闇に一筋の光が差し、そこを目指すような気持ちだ。


彼女はこの先、どう生きていくか、既に心に決めている。


正直なところ、不安もかなりあるけれど、やってみないとわからない。


「拓人の分まで……しっかり…………生きていかないとね……」


見上げると、キラキラした木漏れ日が眩しい。


まるで、新たに歩み出す彼女の人生のスタートを、祝福してくれているよう。


優子は背筋をピンと伸ばし、駅までの道を颯爽と歩き出した。

暁光の最果てまで向かって

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