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興奮しきった増田の体が鈴子の上にかぶさってきた、鈴子は足を開いた、彼の固くなったモノが自分の中に入ってくるのを感じたが、定正の時と同じように、心では興奮しても、結合部分から沸き上がっているような快感は得られなかった




ハァ・・・

「鈴子・・・俺はずっとあなたを愛していた・・・」




昔から人類共通のリズムで、入れたり引いたり、増田は息を荒げ、夢心地で反復運動をくり返した、その間鈴子は他のことを考えていた



―今日の商談からしたら、彼らは今後とんでもない価格で吹っかけてくでしょうね・・・―



増田は、鈴子の耳もとで甘い言葉をささやき続け、激しく動いた、鈴子の頭の中はさらに考える



―それならば交渉からいったん手を引いて、彼らがまた持ちかけてくるまで待ってみようかしら・・・だけど、もし再び持ちかけてこなかったら? ・・・取引をご破算にするほどの危険を冒すべきかしら―




増田のリズムが速くなった、鈴子も腰を動かして彼を煽った




―やっぱり、彼らの言い値に従ったほうが良さそうね・・・―




増田が歓喜に体を震わせ、うめき声をあげて体を震わせた、鈴子はさらに腰を速く動かして、彼をクライマックスへ導いた



―やっぱり彼らの条件を飲むことにしましょう―



やがて鈴子の上で息を喘がせ、増田が囁いた




ハァ・・・

「ああ、すごいよ・・・鈴子・・・最高だ・・・」


「私も・・・天国みたいよ、剛・・・」





そこからさらに鈴子は増田を煽って二回戦になだれ込み、朝方まで彼を離さなかった、そして彼が眠ってからもずっと彼女は商談時の考えをめぐらせて策を練った、朝、窓の光が差し込むと同時に、増田が目を覚ました、鈴子は増田の腕の中で言った




「ねぇ・・・剛・・・あなたが会ってる女性のことなんだけど・・・」



増田は驚いて目を見開いた、そして鈴子を見て幸せそうに微笑んだ



ニッコリ・・・「ああ・・・そうか、君は焼きもちをやいていたんだな・・・大丈夫、あの女には二度と会わないよ」


「本当に?」


「約束する」





そして鈴子は増田の腕の中でまた揺れた




・:.。.・:.。.





パリから帰った鈴子と増田は、このまま付き合うのかと思いきや、鈴子は二度と増田と体を重ねることはなかった、その拒否の理由が理解できず、増田が悩むと、鈴子は彼を優しく諭した



「私だってどんなにあなたの腕の中に抱かれたいかわからないの?剛? だけどそうなれば、二人とも長く一緒に仕事ができなくなるでしょう?私達はお互いに会社の為に犠牲を払わなくちゃいけないわ」




渋々、増田は鈴子の説得に合意し、今まで以上に精力的に欲求不満を仕事で解決すべく、増田の尽力で会社はどんどん拡大していった



―与えても、与えすぎるな―




鈴子は定正の教えを忠実に守った、それにしても、この歳で子供を二人も産んで尚もセックスの良さがわからない



鈴子は思った、自分は不感症なのかもしれない・・・世の人々や昔からの人類が夢中になっている男女のセックスにそこまで熱中出来ない、最初は良い感じでも、なぜか途中から違う事を考えてしまうのだ、冷めているのか今までそこそこ気持ち良いと思った事はあっても、叫ぶほどでもないし、ましてや絶頂なんて考えられない



どうしても自分の上で汗を流して動く男性を冷めた目で見てしまう、もう自分は男性とのセックスに夢を抱けない



ドラマや漫画みたいにエクスタシーなんて感じたこともないし、あんなものは、みんな性的ビジネスの煽りでしかないのだ、そういうものなのだ、世の中はすべて金で回っている



そんなあられもなく乱れている女性に視聴者は演技と知らず興奮して金を落とすし、アダルトコミックを見ても病気なのではないかと言うぐらいに漏らしている絵描写に興奮して、読者は課金する様に仕向けられている、



しかも漏らし描写は年々酷くなっている、一番わかりやすい欲望を煽るビジネスだ




そして若くしてそんな異常なアダルト動画やコミックばかりを読んで育った者が、平凡でまともな家庭を築ける訳がない





定正を愛していたけど、今思えばあれは父性に対する愛の様なもので、こちらから、彼に欲望を感じて抱かれたくてたまらないといったことも全くなかった、こんな不感症でセックスが好きじゃない自分が二人も子供を授かれたのは奇跡としか言い様がない




私は所詮仕事が恋人・・・きっとこれからも素晴らしい男性と身を焦がすような恋愛など一生お目にかかれないのだ・・・



鈴子はそう思いながら会社の窓から美しい神戸の夜景を見つめた






しかしそんな鈴子の運命を揺るがす人物にこれから出会うことになろうとは、今の彼女には思ってもみない事だった








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