テラーノベル
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コメント
2件

おぉ、また新しい創作だ! 文才ありまくりだね! 続き楽しみ(≧∀≦)💕
第一話 落ちたバトン
昔、じいちゃんはよくこう言ってた。
『陸上リレー』において重要なのは、
個人の速さ?技術?
ーー否、バトンを繋げることだ。
この意味を、ハルキは”まだ”理解していなかった。
ーーーーーーー
中学最後の大会、俺はバトンを落としてしまった。
いや、正確には落ちたのではなくーー相手が受け取るのが遅すぎたせいで、悔しさよりも苛立ちが大きかった。
リレーなんて、結局は個人戦だ。
速く走れれば勝てる。バトン?そんなの後で何とかなるーーそう思っていた。
スタートのピストルが鳴る。
体の奥から力が湧き、風が耳をかすめる。地面を蹴る足の感覚が心地いい。
「俺は速い」——胸の中で笑みが浮かぶ。
最初のカーブを抜け、次の走者にバトンを渡す地点が近づく。
腕を伸ばし、バトンを差し出す。
だが、相手の手は微妙にずれていた。
「早く!」心の中で叫んだ瞬間、バトンが俺の手から滑り落ちた。
時間が止まったような気がした。
バトンは地面に当たり、弾んで転がる。
観客のざわめきが遠くで響く。
俺の胸は、怒りと苛立ちでいっぱいだった。
「なんでとらねぇんだよ!」
そう叫んだ瞬間、現実の重さが胸にのしかかった。
勝てると思っていたものが、指の間からこぼれ落ちていった。