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こんにちは、💭です
小説を考えて書くのが好きなので投稿します
初投稿なので下手かも知れませんがよろしくお願いします
夕暮れの匂いがまだ残る校庭、 結衣は黙って花の横顔を見ていた。風が吹くたびに花の髪がゆれて、
その度に結衣は胸の奥がじわりと熱くなる。
今日も花は無理して笑っていた。
笑うたびに目の奥だけが泣きそうで、
結衣はその違和感に何度も気づいていたのに、寄り添いたいと思っていたのに、
言葉にしてしまえば壊れてしまう気がして
ただ隣に立つことしかできなかった。
帰り道
ふたりの影が長く伸びて
細くゆれるように重なった。
花はぽつりと呟く
「ねえ結衣 うちさ 今日でやっと決められたんだ」
その声は軽いのに、
聞いた瞬間 結衣の胸の奥で
何かが静かに沈んでいく。
花はいつもの笑顔のまま、
まるで明るい未来の話をするみたいに続ける
「ちゃんと終わらせてくるよ うちの中の全部」
その言い方があまりに穏やかで、 綺麗で、
夕日よりも赤く、結衣の心を刺した。
言い返したかった。
待ってよ それは何を意味するの。
終わらせるって どこへ行く気なの。
どうしてそんな静かな顔で言えるの。
でも
口は動かなかった。動かせなかった。
代わりに、
結衣は花の手を取り そっと握った。
あたたかく近いのに
つめたくて遠い。
花は少しだけ笑った
「一緒でよかった、結衣」
その瞬間
結衣の視界がかすかに滲み
沈む太陽の光がふたりの間で揺れた。
花の背中は
夕闇に溶けるように
ゆっくりと遠ざかっていった。