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コメント
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みぅです🤍🥀 番外編、読ませてもらいました。 千歳が「名前で呼びたいのに呼べない」ってもどかしそうにしてて、でも祟ってる奴が優しく受け止めてくれるの、すごくじんわりきました…。子ども姿で膝に乗ってむくれるとこ、可愛いけど切ないなって。 「恥ずかしいことはある」って、祟ってる奴が照れながら大事な人の話を避けるの、なんか人間っぽくて好きです。千歳の不安と、それに真摯に向き合う姿が丁寧で、心温まるエピソードでした🌙
祟ってる奴を名前で呼べないことに気づいてから、いろいろ試した。
祟ってる奴がコンビニにお金をおろしに言った時、家で独り言なら『和泉』と言えた。でも、祟ってる奴が寝てる時、祟ってる奴を見ながらの時は『和泉』と言えなかった。祟ってる奴が起きてる時同じことをしても、ダメだった。
どうも、祟ってる奴に名前で呼びかけようとすると、出来ないみたいだ。
星野さんが、旦那さんのことを愚痴ってたのを思い出す。
「二人だけで暮らしてると、私のこと、おい、とか、お前、とかでしか呼ばないのよ、私には茜って名前があるのに、嫌になっちゃうわ!」
名前で呼ばないの、祟ってるやつも嫌なのかな。ワシのこと、本当はそんなに好きじゃないのかな、だから、大事な人のことも、何も教えてくれないのかな。
別に名前で呼びたくないわけじゃないんだ、でも、なんで名前で呼べないのかわからないんだ……。
『あの、別に、お前のことどうでもよくて名前で呼ばないわけじゃないんだ。でも、どうしても名前で呼べないんじゃ、お前ワシのこと嫌になってもしょうがないよな……』
ワシがかなりしょぼくれて見えたらしい。祟ってる奴は慌てだした。
「いや、全然イヤなんかじゃないよ、千歳の好きなように呼んでくれていいよ俺」
ワシは、疑念が頭をもたげた。
『……でも、ワシのこと芯の方では信用してないだろ?』
「え、なんで?」
『だって、信用してないから、大事な人のことなんにも教えてくれないんだろ?』
「ええ!?」
黒い長袖ワンピースと白いエプロンドレスの女の子の写真を思い出す。なんだか、泣きたい気持ちになってしまった。
『お前、おばあさんと同じくらい大事にしたい大事な人いるんだろ、Twitterで父親のこと騒いだ時そう書いてたじゃないか』
「か……書いたけど!」
『そんなに大事な人なのに、ワシにはその人のことなんにも教えてくれないじゃないか』
結構長い付き合いなのに、本当になんにも教えてくれない。こいつ、ワシのこと、本当はあんまり好きじゃないんだ。
祟ってる奴は、あわあわしながら言った。
「えっと…その、話を整理させて。俺は、千歳に名前呼ばれないこと、全然気にしてないし、そのせいで信用してないとかもまったくないよ!」
『じゃあ、なんで大事な人のこと教えてくれないんだ?』
「それはその……あの、その……すごく信用してて信頼してる相手でも、恥ずかしいことはあるので……」
『なんで恥ずかしいんだ』
身を乗り出して聞くと、祟ってる奴は視線を宙にさまよわせた。
「その、それはえっと、それを言うこと自体が恥ずかしい!」
『めんどくさいやつだな!』
「いや、だからその、俺は千歳のこと、すごく信用してるし、信頼してるし、千歳が俺のこと名前で呼ばなくたって、全然気にしないよ」
祟ってる奴はまっすぐワシを見た。ワシがこいつを名前で呼ばなくても信用してるっていうのは、本当なのか?。
『本当か?』
「本当だよ。真面目に言ってる」
『……』
ワシは子どもの姿になった。祟ってる奴の方に行って、むりやりその膝に乗った。
「どした?」
『……信用してて信頼してるなら、別にくっついたっていいだろ』
ワシはむくれた。
「いや、乗るのは全然いいんだけど……」
祟ってる奴は、ワシの肩をなでた。
「……ていうか、千歳は、俺に名前で呼びかけたいけど、呼びかけようとすると声が出なくなるんだね?」
『うん』
「したいけど、できないんだね?」
『うん』
「……うーん……それはやっぱ、なんかおかしいよね。千歳、また変なことされてない?」
『あ』
それは考えなかった。そっか、何か変な呪いでも、特定のことができなくなることはある。
でも。
『うーん、でも、鳴子の組紐は鳴ってないぞ?』
「でも、機会を見てまた狭山さんに見てもらわない?」
『うーん』
狭山先生に見てもらったら、変な呪いはすぐ分かるかもしれない。でも狭山先生、唐和開港綺譚の三巻を書くので忙しいかも。それに、まだ呪いって決まったわけじゃないし。
『もうちょっと、お前を名前で呼べないかがんばってみて、ダメだったら診てくださいって頼む』
「そっか」
祟ってる奴は、またワシの肩をなでた。
「まあ、俺もできるだけ協力するから」
『……やっぱり、名前で呼んでほしいか?』
「別にこだわらないけど、千歳がしたいことなら、それがかなうように協力したい」
『……そっか』
ワシがしたいことがあったら、できるだけ助けてくれるのか。
こいつ、優しくていい奴なんだな。本当に、優しくていい奴なんだな……。