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#読み切り
ruruha
外伝1 ドラゴンと国王
城は
高くない
石も
飾られていない
水路が城を囲み
木が影を落としている
木と水の属性を持つドラゴンは
城の外れにいる
長い体
苔のような鱗
呼吸は穏やか
水面が揺れるたび
枝が静かに鳴る
国王は
火を扱う
だが
玉座には座らない
簡素な衣
手には道具
指先に
熱を宿す
朝
国王は
水を沸かす
炎は強くない
必要な分だけ
ドラゴンは
水路の流れを整える
木の根が
城壁を壊さないよう
静かに導く
昼
国王は
壊れた器を直す
熱で
形を戻す
ドラゴンは
水を渡し
冷まし
割れを残さない
言葉は少ない
必要ない
夕方
国王は
木陰に腰を下ろす
筋肉は衰えていない
だが
力を誇らない
ドラゴンは
その隣で
身を丸める
水音が
近くなる
争いの話は
しない
国境の話も
しない
火は
燃やすためではなく
保つためにある
水と木は
増やすためではなく
続かせるためにある
夜
城の灯は
多くない
だが
消えない
二つの属性と
一つの火は
今日も
何も壊さず
同じ場所に
留まっている
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