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~獣人の国 クロヴィス城 城内~
モレクとトーマの一対一の戦いが始まっていた。
モレクとトーマ互いに見つめ合う。
お互いの出方を伺いつつ、間合いを取り合っていた。
モレクという男、とても慎重なのか―――
向こうの方が実力的には遥かに上のハズ、もっと積極的に仕掛けてきて来そうなものだが。
トーマは警戒心を強める。
その実、モレクはトーマの実力を魔眼のスキルによって、解析していた。
そして、どのように戦えば一番リスクがないか考えていた。
名前:トーマ
種族:獣人
性別:男
Lv.49
クラス:ジェネラル
◆パラメータ◆
体力:477
筋力:486
魔力:332
物理抵抗力:435
魔力抵抗力:338
精神力:302
器用さ:298
素早さ:392
◆装備◆
防具:餓狼の爪(+90)
:銀狼の鎧(+80)
◆アクティブスキル◆
《格闘術Lv.8》《洞察眼Lv.7》《剛力Lv.7》《月光強化Lv.7》《集団戦闘Lv.6》《身体強化Lv.6》《統率Lv.5》《野生解放Lv.5》
◆パッシブスキル◆
《毒耐性Lv.7》《混乱耐性Lv.7》《麻痺耐性Lv.7》《恐怖耐性Lv.7》《睡眠耐性Lv.7》《誘惑耐性Lv.7》《石化耐性Lv.3》
◆ユニークスキル◆
《阿修羅の相》
◆称号◆
クロヴィス王国の将軍
能力値的には私の方が圧倒的に上だ―――
しかし、ユニークスキルが気になるところだ。
この世界において、ユニークスキルは神より授けられし賜物として存在する。
ユニークスキルはそれがどんなものであれ、他の者には習得することができず、尚且つ強力な物が多い。
このトーマと言う男もクロヴィス王国最強を自負するだけあって、そのユニークスキルを持っていた。
見たところ格闘を用いて戦うタイプと言うことは、リカント殿と似たような戦闘スタイルということか。
お互いのにらみ合いが解かれ、先に仕掛けたのはトーマだった。
両手には爪が装備されており、まずはモレクの足を狙ってきた。
モレクの機動力を削ぐのが目的であろう。
「確かに先に機動力を失わせるのはいいと思うが―――」
「それは一般的な戦士同士の戦いの話、私には意味がないぞ!!」
「地獄の業火(ヘルフレイム)!」
モレクは地獄の炎を呼び出して、トーマに向けたが、トーマはそれを事前に察知し避けた。
避けたことにより地獄の炎は、城内の机を燃やし始めた。
「それは、洞察眼のスキルによるもの―――」
「早々に見破ってくるとは、流石はモレク殿と言ったところ。」
「そのスキルによって、私が次どういった攻撃を仕掛けるか見えているといったところだろ?」
「ええそうです、未来視に近いですが可能です。」
「私の地獄(ゲヘナ)の炎は全てを燃やし尽くすまで消えない」
「つまり、この炎が当たった瞬間、貴公の負けが決定する。」
「だったら、全て避ければいいだけです」
トーマはモレクの再び激しい連打を開始した。
お互い行動の先読みができるため、どちらがより長い時間の先を見据えることができるかが、勝負になっていた。
トーマの攻撃を避け続けるが、身体強化、及び先読みをしているトーマのラッシュは最早モレクにも完全には避けきることはできなく、数発のラッシュは確実の受けていた。
六魔将とはいえ、この猛攻に対して全て避けることは不可能!
私の攻撃が無駄と言うことはない。だったら、この身が尽きるまで攻撃し続けるのみ!
そう思い、トーマは攻撃をひたすら続けた。
「オラオラオラオラ!」
トーマのラッシュが続く。
「ふむ、流石に面倒だ。」
モレクがそう呟いた。
モレクが一旦身を後ろに引こうとした。
「逃がすかッ!!」
トーマはその後退を好機と思い、トーマの持つユニークスキルを発動させた。
「スキル:阿修羅の相!」
他の者にはトーマの体が一瞬阿修羅像の如く映った。
いや実際に阿修羅のように顔面が3つでそれぞれ手が6つになった。
それら全てでモレクに対して人体全ての急所を狙った。
「クッ!」
モレクはそれら全ての攻撃を芯で受けて、その攻撃はモレクの体を貫いた。
そしてモレクの体は後方に吹き飛ばされた。モレクの体を貫いたことにトーマはその青々としたモレクの鮮血を全身に浴びた。
「よし!やったか!?」
トーマは浮かれたように叫んだ。
しかし、砂煙の中からモレクは何事もなかったかのように立ち上がってきた。
「流石に面倒だな…」
モレクはそう呟いた。
「トーマよ!私は次の一撃でこの勝負を終わらせる」
「死ぬなよ…」
モレクは手をトーマに向けて自身のスキル発動させた。
「地獄の蛆虫(ゲヘナワーム)!」
すると、トーマの全身に付着したモレクの鮮血は次第に蛆虫へと変わり、その蛆虫たちはトーマの体に侵入していった。
「な、何だ!?」
蛆虫たちはトーマの内臓、体の器官を全て喰らい尽くしていった。
「ぐぐあああ!!!」
「痛い!痛い!痛い!」
トーマの全身を回るその痛みは形容しがたいもの。
その痛みからトーマは床を這いまわり、苦しみにのた打ち回った。
旧約聖書の中には、ゲヘナとはヒンノムの谷を意味しており、そこはエレサレムのすぐそこの谷を示している。
そして、その谷はゴミ捨て場として利用されており、そこでは絶えずゴミが燃やされていた。
燃えなかったゴミは蛆虫が食べ尽くしたとされている。
モレクの放った地獄の蛆虫(ゲヘナワーム)もその意味を持ち、地獄(ゲヘナ)の炎で燃えなかったトーマをゲヘナの蛆虫が食べ始めたのだった。
トーマの体の器官の約7割を食べ尽くしたところでモレクは、術を解除した。
「命令だから貴公の命までは取らない。しかし、貴公の戦士としての命は終わった。」
「すぐに応急処置をしてもらうといい」
モレクはそう言い残した。
そして、モレクは玉座の間の扉を開けた。
エレナは徐に横たわっているトーマの元に近づいた。
「エレナ殿何をしている!早く行くぞ!」
モレクは何やらゴソゴソしているエレナに対して催促をする。
「分かっているわ~★」
「先に言って貰っていいかしら~★」
少し疑問に思ったモレクであったが、一早く命令を遂行するため、一人王の間に進んだ。
モレクが王の間に入ったのを確認したエレナは、横たわるトーマに向かって魔法を発動した。
「白魔法:エクストラヒール!」
トーマの体の欠損や蛆によって喰われた内臓が忽ち修復していく。
「これは私を美女って呼んでくれたお礼よ~★」
エレナはそう言い残し、先に王の間に入ったモレクの後を追った。