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#普通
野々さくら
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ありあ
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白縫家に到着した龍河たちは、すぐに事情を説明した。
信愛が天縁教団の人間たちに連れ去られた。
その言葉を聞いた瞬間、銚子の表情から血の気が引いていく。
「そ、そんな・・・」
震える唇から、か細い声が漏れる。
「の、信愛が・・・」
次の瞬間、銚子は足元から力が抜け、その場へ崩れ落ちた。
「銚子!」
多摩雄が慌てて駆け寄り、その身体を支える。
居間には重苦しい沈黙が流れた。
やがて忍が一歩前へ出る。
「我々が居ながら、このような事態を
招いてしまい・・本当に申し訳ありません!」
龍河も続いて深く頭を下げる。
「申し訳ありません!」
二人は床に額が着きそうなほど深く頭を垂れた。
すると多摩雄が焔垂へ視線を向けた。
「どこに居るのかも分からないんだよね?」
焔垂は悔しそうに拳を握る。
「は、はい・・・車が犬吠埼病院方面に
走り去ったって事くらいしか・・・
ナンバーを確認する余裕もありませんでした」
銚子は苦しげに目を閉じた。
「何で信愛が天縁教団の人間に?」
焔垂は首を横に振る。
「理由は分かりません・・・けど連中は
白縫さんの事が必要だと、そう言ってました」
「信愛が必要?どういう事?」
銚子の問いに、誰も答えを持ってはいなかった。
「それも・・わかりません・・すいません」
焔垂が頭を下げると、多摩雄は静かに首を振る。
「君が謝る事じゃないよ」
その時、銚子は小さく娘の名を呼んだ。
「信愛・・ぐすっ・・」
部屋の空気は悲しみに包まれる。
沈黙を破ったのは、これまで黙っていた茜だった。
「おばさん?」
銚子が涙を拭いながら顔を上げる。
「なに? 菅生さん」
茜は真剣な眼差しで問いかけた。
「おばさんは・・御船愛子さんなんですか?」
「ちょ、茜!今その話は──」
焔垂が慌てて制止するが、茜は一歩も引かなかった。
「焔垂は黙ってて!」
茜は銚子を真っ直ぐ見つめる。
「もし御船愛子さんなら千里眼が使えるんですよね?
それを使って信愛の居場所、分かりませんか?」
銚子は目を伏せ、迷うように唇を噛んだ。
「そ、それは・・・」
茜はさらに一歩踏み出す。
「信愛の一大事なんです!もう、信愛を
助け出せるのはおばさんだけなんです!
お願いします!千里眼で信愛探してください!」
その必死の叫びに、さくらも深く頭を下げた。
「私からもお願いします」
二人の切実な願いが居間に響く。
銚子はしばらく俯いたまま動かなかった。
長い沈黙の末、小さく息を吐く。
「分かったわ」
その返事に、ただが驚いて顔を上げる。
「お、おい!銚子!」
しかし銚子の瞳には、もう迷いはなかった。
「今は信愛が優先よ!」
鋭子が覚悟を決めた、その時だった。
──ガタン。
廊下の奥から、何かが床へ落ちる鈍い音が家中に響き渡る。
張り詰めた空気が、一瞬で凍り付いた。
焔垂が顔を上げる。
「ん? 何だ? 今の音」
誰も答えられない。
焔垂は音の正体を確かめようと、ゆっくりと廊下へ向かって歩き出した。
「ん?どうかしたか?」
龍河が声を掛ける。
焔垂は振り返りもせず、小さく答えた。
「いや、なんか変な音がしたんで──」
そのまま廊下へ続くドアの前に立ち、ドアノブへ手を伸ばす。
次の瞬間だった。
勢いよくドアが開き、一人の少女が飛び出してくる。
それは信愛だった。
「え? 白縫さん?なんで!?」
焔垂は目を見開いた。
飛び出してきた信愛を見た銚子は、弾かれたように駆け出す。
「信愛!?」
そのまま娘を強く抱き締めた。
「お母さん・・・」
信愛も震える声で母を呼ぶ。
銚子は涙をこぼしながら、何度も娘の肩を抱き寄せる。
「無事でよかった・・ホント良かった・・」
信愛は申し訳なさそうに目を伏せた。
「ごめんなさい・・心配かけて・・・」
銚子は首を横に振り、娘の頬を優しく撫でる。
「ううん・・・信愛は悪く無いわ」
その再会を見つめながら、忍は困惑したように眉をひそめた。
「これは一体どういう事なんだ?白縫さんは
天縁教団の連中に連れ去られたんじゃなかったのか?」
連れ去られたはずの信愛が、目の前にいる。
その現実を忍はどうしても受け入れられず、首を傾げる。
すると、部屋の奥から静かな声が響いた。
「私よ・・・」
全員が一斉に振り向く。
そこに現れたのは春日井千歳だった。
「千歳さん!?」
茜が思わず声を上げる。
朝陽は納得したように小さく頷いた。
「ああ、なるほど・・・」
続いて、元気な少女の声が聞こえる。
「私も居るよ〜♬」
「あ♬佳苗♬」
さくらが嬉しそうに駆け寄る。
皆が笑顔で佳苗と千歳に駆け寄っている姿を見た忍は、顔を顰めている。
「ん?なんだこの子は?いつから居たんだ?」
信愛は苦笑いを浮かべながら肩をすくめた。
「話すと長いんですが──」
コメント
1件
銚子さんが千里眼を使おうと覚悟を決めた瞬間、あの物音からの信愛登場には本当に驚きました。連れ去られたと思っていたのに、まさか千歳さんと佳苗さんが動いていたとは…。涙の再会シーン、特に銚子さんが「信愛は悪くない」と撫でる仕草に、母としての深い愛情が滲んでいて胸が熱くなりました。続きが気になります!