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新幹線を降りた鋼谷は、久々に大都会の空気を吸い込んだ。ビルがそびえ立ち、人の波が絶え間なく流れ、光が強く、そして騒がしい。錆の都の重苦しい雰囲気とは対照的に、ここは活気に溢れている…が、それでも彼の胸には不安が広がっていた。
「本社…ねえ」
目の前にそびえる高層ビル群を見上げながら、鋼谷は苦笑を浮かべる。ここがゴーストバスターの本部であり、彼がずっと遠ざけられていた場所だ。かつて「錆の都送り」という左遷命令が下ったとき、自分にはもうこの場所に戻ることはないと覚悟していた。しかし今、その「忌まわしい大都会」に再び足を踏み入れている。
歩きながら、鋼谷は周囲の景色を観察する。自動車が忙しなく行き交い、ビルの窓からは夜のネオンが煌めいている。観光客やビジネスマンたちがスマホを片手に忙しそうに歩き、路上にはパフォーマーや屋台が立ち並ぶ。その混沌としたエネルギーに、錆の都で見たことのない異様な活気を感じ取っていた。
「これが本社周辺か…気が抜けねぇな」
そんな街の片隅、薄暗い路地に一瞬だけ「影」が揺らめいたのを鋼谷は見逃さなかった。影の正体はわからないが、彼の背筋がぞわりとする。ここはただの都会ではない。人が多く活気に満ちた都市でありながら、その裏ではおびただしい数の霊や異能者たちが暗躍しているという噂を、鋼谷は何度も耳にしてきたのだ。