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「えェ、ああ、でも感じたら強姦って和姦になるんだっけ。まあ、どーでもいいけど」
「よくない！」
そんな屁理屈が通用するわけないだろ、と叫びたかったがそんな余裕は俺になく自分でも分かるぐらいわなわなと身体は震えていた。自分で自分がままならない。
手はネットに絡まっているので上手く動かせず、かといって固定されている足を動かしたところでなんの抵抗にもなりゃしない。朔蒔は、俺の太腿をしっかりと抑えると、ゆっくりと腰を進め始めた。
みちっ、と肉が押し開かれる感覚に全身から汗が噴き出すような錯覚を覚えた。
痛い、苦しい、気持ち悪い。頭は混乱し、何も考えられない状態になっていた。
「やっぱ、キッツ！ んでも、星埜の中にはいってるってだけでイキそう」
「あぁああッ！」
朔蒔のソレが全て収まる頃には俺はボロ泣き状態で、朔蒔は俺の涙を舐めとっていた。
「う、そ……全部、はいっ……」
「ほら、入った。星埜ン中すげぇあったかい。ぎゅぅーって、絡みついてきて、マジ最高」
朔蒔のモノを根元までずっぽりと挿入されてしまい、俺は絶望していた。こんなことがあっていいのか。好きでもない人に、それも男に犯されるなんて。
身動き取れず、痛みも異物感も逃がすことが出来ずにダイレクトに伝わって、気持ち悪くて吐きそうだ。
「……んで、なんで……ェ」
「何でって、星埜がエロいかっこしてたから」
「してない！ 事故だ、ネットが絡まっただけななのにィ」
そうだ、ネットが絡まっただけなのに、此奴が勝手に興奮して、勝手に俺の事組み敷いて。
俺は悪くないのに、なんで俺はこんな目に遭わなくちゃいけないんだ。可笑しい、絶対に可笑しい。この状況も、朔蒔の頭も。矢っ張り此奴に関わるんじゃなかったと、今更ながらに後悔した。
しかし、そんな後悔も中に埋まっている朔蒔のアレのせいですぐに霧散してしまう。
俺の中にいる朔蒔のモノはどくんどくんと脈打っていて、それが嫌でも分かってしまう。
痛くて苦しくて、早く終わってくれと願っているというのに、朔蒔はゆっくりと腰を振り始め、中のモノを抜き差しし始めた。
最初こそあった痛みや異物感が徐々に違うものへと変化していっているようで、恐ろしくおぞましく、俺は身体を捻るが朔蒔に押さえつけられては何も出来なかった。ぬちゃ、ぐちゅっと倉庫の中に響く水音が酷く厭らしく感じられて耳を塞いでしまいたいのに、手が動かないのでそれすら出来ない。
「星埜、今きゅーってなってんの分かる？ 俺の事感じて、よがってる」
「な、わけ、ない……っ、ぁんッ！」
（……待って、今の俺の声？）
明らかに自分の声とは思えない甘い響きを含んだ声で、信じられなくて慌てて口を閉じた。
なんだこれ、まるで女の子みたいな高い喘ぎ声じゃないか。恥ずかしさと屈辱で、顔が熱くなるのを感じた。そんな反応をしている自分に一番驚いていた。
気持ちいいわけないと思っていたのに、徐々に俺の身体は熱を持ち始めているようで朔蒔が動くたびに腰が浮いてしまっているのが自分でも分かった。嫌だった、興奮する要素何処にもないのに、男なのに、嫌いなのに。
「あァ、もっとその顔じっくり見てたいけど、俺も限界ッ♥」
「ぁえ？ ……あぁああぁッ！」
俺の中に入っていたモノが激しく抜き差しを繰り返していて、俺の口からは意味の無い言葉しか出てこない。
もう、自分が何を言っているかも分からないぐらいに頭が真っ白で、ただ与えられる快楽に翻弄されていた。いつの間にか両手を自由にされていたことに気付くことも出来ず、俺は目の前の男にしがみつく事しかできなかった。
「星埜……っ、星埜……！」
「さ、くま……さく、ま！ あんっ、あ、だめぇ……ふぅ、ン！」
もうダメだ、何も考えない方が良い。いや、考える頭など残っていなかった。
ただひたすらに与えられる快楽に酔いしれてしまっていたのだ。そして、俺はこの行為を受け入れつつあった。だって、仕方ないだろう。
あんなにも痛かったはずなのに、今ではそれが嘘のように気持ちよくなっているのだから。
朔蒔のあり得ないほどの質量を受け入れているそこは、ローションか俺か朔蒔の精液で泡だってぐちゅぐちゅと卑劣な音を立てているし、何度か擦られて広げられたそこは、それでも朔蒔のを受け入れるのにはキツかったようでじくんと痛みもあった。
けれど、それら全てがどうでも良くなるぐらいに頭は弾けており、ここが体育倉庫であることを忘れ、俺は朔蒔に必死に抱きついていた。
そうして、もう少しでイケそうと言うときにパタパタと誰かがはいってくる足音が聞えた。
「テニスボールの予備ってここにあったっけ？」
「確か、ここだって先生いってたじゃん」
そう、二人の女子生徒が倉庫内に入ってき会話から察するに、テニスボールを探しているようだった。幸いにも、テニスボールは入り口近くにあり、俺たちは今広い倉庫の奥の方にいる。だから、声を出さなければバレることないと。
俺は安心していた。いや、彼女たちが出て行くまで安心は出来ない。
もしかしたらバレるのかも知れないという、不安と恐怖で、俺のはすっかり萎えてしまっているというのに、朔蒔のはまだその強度を保って俺の中にはいっている。先ほどよりも質量を増しているそれに俺はぎょっとしつつも、朔蒔に目で動かないようにと訴える。
「今、声出したらバレちゃうなァ♥」
そう、ねっとり耳にまとわりつくような甘い声で、朔蒔は悪魔のような笑みを浮べている。
「……だ、め、だぞ」
「どォしよっかな～」
朔蒔は意地悪く笑いながら、腰をゆるりと動かし始めた。
（あり得ないだろこいつ！？）
その動きはゆっくりで、まるで焦らすような動きで、俺のイイトコロを避けるようにして動いている。
「もし、彼奴らがここに来たら星埜の人生終わるよな。皆に慕われている生徒会役員、優等生の星埜が俺のチンコ咥えてよがってる姿なんて見られたら、どう思うだろうな」
「ふざけん、ひゃあっ！」
「ほォら、声出すなって。バレちゃったかもしんねーぞ？♥」
朔蒔の言葉に慌てて口を閉じるも、朔蒔の動きは止まらず、俺の口からは甘い声が漏れる。
そうして、変に抵抗し足をばたつかせたせいで、ガタンと跳び箱か何かに足をぶつけてしまい物音を立ててしまう。
「え、今の音何？」
「奥の方から聞えたけど」
（や、来るな……！）
どんどん近付いてくる声に、俺は心臓がバクバクとなり、冷や汗が流れる。彼女たちは倉庫の中に入ってきたのだ。このままでは見つかるのも時間の問題だろうに。
俺は絶望した。この姿を見られてしまったら終わりだと。
だが、彼女たちはこちらを見ることはなく、足を止める。
「てか、ボール見つかったんだし早く返らないと、顧問怒るじゃん」
「わぁ、そうだ。あの先生怒ると面倒くさいもんね」
と、女子生徒達はそんな会話をしながら、体育倉庫を出て行ったのが分かった。
俺はほっと安堵のため息をつく。良かった、これで大丈夫だろうと。
けれど、朔蒔がそれで許してくれるはずもなく、再び律動を始める。
「星埜、さっきの音であいつらにバレるかと思った？」
「あ、当たり前……だろ」
「でもさ、星埜、あいつら来たときすっげえ俺の事締めたじゃん。もしかしてあーいうの好み？」
「ち、違う……ひっ！」
否定しようとした瞬間、朔蒔は一気に俺の最奥を突いた。
「や、やだ、お願、い、もぉ、抜いてぇ……」
「ヤーダァ♥」
「そ、そこっだめだから、ほんとにダメッ！」
朔蒔のモノが前立腺を擦り上げ、俺はもう何も考えられなくなっていた。ただ、気持ちいいということしか分からなくて、必死に朔蒔にしがみついて喘ぐことしか出来なかった。
いつの間にかネットはほどけており手足が自由になったと言うのに、身体の自由が利かないようで、それどころか俺は朔蒔の背中に腕を回していた。これじゃあ、まるで俺が朔蒔を求めて、合意の上でやっている見たいじゃ無いか。
「あ～もう、出そう。星埜、出してイイ？」
「はッ！？ ちょ、まっ」
「無理ィ、待てない♥」
「ひぃっ、あああっ！」
朔蒔はラストスパートをかけるかのように、俺の中を穿つ。そうして、一際強く最奥に叩きつけるように腰を打ち付けてくる。その衝撃で俺は絶頂を迎えた。びゅるりと勢いよく出た白濁液が、マットの上に飛び散る。それと同時に、俺の中で朔蒔のものがどくりと脈打ち、熱いものが注がれていくのを感じた。
ゆるゆると開けた白瑛の黒いベストにべったりとついた自分の精液を見て、死にたくなってきた。これじゃあ、教室に荷物を取りに行けない……いや、荷物どころか、ここから出られない。
「ハハッ♥ すっげェ似合ってる。あれ？ 星埜怒ってる？ ちゃんと後で掻き出すの手伝うから許せって」
「……死ね」
俺の言葉に朔蒔は苦笑する。
「まァ、星埜も初めてのくせにアンアン喘いで俺の事きゅーってしてさ、よがってたじゃん。才能あるわ、さすが優等生」
にやりと笑う朔蒔に俺は苛立ちを覚えながらも言い返す言葉がなく、押し黙った。初めてなのは、お前もだろとも言い返したかったがそんなこと言ったところで何になると自問自答し俺は黙るという選択肢をとり続けた。
此奴は構うほど調子に乗ると思ったからだ。
そうして、やっと冷めた頭で先ほどの行為を思い返し泣きたい気持ちで一杯になった。終いには吐き気までこみ上げてきて、もっと抵抗すれば良かったとか終わってしまったことに後悔している。そんな俺を朔蒔は空気を読めずどうした？と背中を叩く。
「うるさい、もう帰れ」
「えー、まだ帰んねェ。だって星埜のこと好きだし」
「なっ！ ば、馬鹿じゃないのか！ 俺は嫌いだ」
「ふぅん、でもさっき俺の事求めてたじゃん」
「違う！ あれは……てか、一緒に遊びに行くって約束してたのに、なんでこんな……」
俺はそこで言葉を詰まらせた。今更、こんなことを言っても仕方がないと分かっていたから。
もう、日は暮れて行こうとしてた店は閉まっているだろうし、門限はなくとも夜遅くに遊びに行くなんて事は絶対にしたくない。補導されたらたまったものじゃない。
まあ、そんなことはさておきに、どうしてこんな事になったのだろうかと、俺は朔蒔を睨み付けた。元はと言えば、全部此奴のせい。
「まあ、明日でもいっかとか思って。だって、星埜とは同じクラスだし、結局遊びに行ったとしてもホテル行く予定だったし。それか星埜ん家」
「ほ、ほて……」
「ラブホのこと♥」
俺はその言葉に思わず顔を赤面させた。
いや、それしかないだろうと頭では思いつつも此奴の頭の中は性欲で埋め尽くされているのかと思うぐらいに、朔蒔の口から発せられる言葉は全て卑猥だった。
俺は朔蒔に背を向けるように身体を起こす。幸いにもマットの上だったため、身体はそこまでいたくなかったが所々ぶったみたいで、痣になっているようだった。だが、それよりも問題は服の方である。
「……どうすんだよ、これ」
しわになったブレザーに、体液まみれのベストとシャツ。うちの高校は、ブレザー以外が黒や紺で統一されているため白い汚れは目立つのだ。いや、白い汚れなど普通に生活していたらつくはずもないのだが、どちらかといえば白いブレザーの方が汚れるわけだし、どうにもこうにも言い訳しづらい。
そんな風に俺が肩を落としていると、それまで黙っていた朔蒔が背後から抱きついてきた。
「うわっ、べっとり♥」
「誰のせいだよ！」
俺は振り向きざまに拳を振り上げるも、ひょいと避けられてしまう。そして、その隙に腕を掴まれてしまい、身動きが取れなくなった。そのまま朔蒔は俺を仰向けに倒す。
「な、なっ」
「なァに？ もしかして、また犯されるって期待した？」
「なわけないだろ！」
俺はそう怒鳴りつけるものの、やはりこいつの手からは逃れられない。力の差がありすぎる。発達した筋肉も、運動神経も、喧嘩だけで身につけられる物ではないと俺は思う。だから、謎でしかない。
俺が他事を考えてたことが気にくわなかったのか、朔蒔は俺の首筋を舐めてくる。また、ここで盛られたらたまったものじゃない。そう思っていると、最終下校を告げるチャイムが鳴り響き、俺は助かったとばかりに息をつく。
いや、良くはない。根本的な解決にはなっていないからだ。
この上だけならまだしも、下も汚れてるんじゃどうにもならないと。服を取ってきて貰おうにも、朔蒔は信用出来ないし、楓音は塾だと云って帰ってしまったわけだからここには俺に味方してくれる人はいないのだ。俺は今の状況に絶望し、ため息をついていると朔蒔が何かを思い出したかのようにぽんと手を叩いた。
「そういや、教室に体操服置きっ放しだったなって」
「……それがなんだ」
「着替え持って来よっか」
「……何か企んでるのか？」
俺が、そう聞くと朔蒔はキョトンとした顔で首を傾げ、なんで？と行ったように俺の方を凝視してきた。
それから、俺の行った意味が分かったのか落胆したように「ひでェ」といってから笑い俺の頭をくしゃくしゃと両手でなで回す。
「星埜が怒って、学校来なくなったら俺またつまんなくなるじゃん。これからも星埜とたっくさん遊びたいし、星埜がいない学校に、俺行く意味ないし」
「……分かった、信用する。早く体操服持ってきてくれ」
「ハハッ♥ りょーかい♥」
俺は朔蒔の言葉に少しだけ安堵して、彼が倉庫から出ていくのを見送った。これで、とりあえずどうにかなる。
俺は痛む腰を抑えながら立ち上がり、服についた砂埃を払いながらできる限りついた汚れをハンカチで拭いながら朔蒔のことを思い返す。先ほどまであんだけ煩かったのにいなくなると、ほんと……
「てか、体操服で帰るのも変か」
まあ、体液まみれの服で帰るよりかはマシかと妥協しルンルンとスキップしながら帰ってきた朔蒔の手から体操服を強引に奪って、着替え、その日は体操服のまま帰路につくこととなった。
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