コメント
4件
とあるお金持ちの人達が住む住宅街に、イギリスという男がおりました。
彼は番犬としてアメリカンエスキモードッグという犬種の犬と、最近猫を数匹拾って飼っていました。
その日彼は飼っている犬のアメリカの散歩をしていました。
最近拾った猫達がやっと部屋に慣れたらしく、皆殆ど窓際からは動かないが体調等が落ち着いてきた頃で少し安心していた。
まだ1部屋でしか出していないのでいつその部屋から出せられるのか考えている。
そうしてしばらく散歩を続けていると、突然アメリカが鼻を鳴らして行ったことのない方向へリードを引っ張った。
イギリス「ちょちょっとアメリカ!どうしたのですか!?」
アメリカ (こっちから匂いが!)
アメリカが引っ張っていった先は、誰も使っていない管理もされていない膝を全部隠す程の草が生い茂っている公園だった。
遊具は殆ど元の色がわからない程錆びてツタが巻き付きクモの巣だらけの場所だった。
そして、その公園からはとある生き物の鳴き声が聴こえてきている。
その鳴き声の主は絶え間無く鳴いている様だった。
イギリス「この鳴き声は………ってアメリカ❗……もう……帰ったらまたお風呂決定ですよ」
アメリカ (……この先に!)フンス フンス
ガサガサと草むらを進んでいくと鳴き声も大きくなっていき、その先には草に隠れていたボロボロのシーソーがあり、鳴き声はその場所から聴こえてきていた。
アメリカとイギリスがシーソーの中心の下にある空間を覗こうとするとその場から
フシャアアアアアア
という鳴き声も追加された。
アメリカが驚いてのけぞると、シーソーの下から随分若い小さな猫が般若の様な顔をして爪を剥き出し出てきた。
その猫は毛が汚れまくっていて、痩せこけており毛並みもひどくボサボサで目は涙等でこちらもひどく汚れていた。
イギリス「この年齢なら自分で毛繕いも身だしなみも整えられる筈なのに…………あ」
アメリカ「………」
威嚇するその猫の後ろ……シーソーの下の影には、さっきから聴こえていた鳴き声の主がいた。
威嚇している猫よりも小さく、鳴く時の口には乳歯が生えているのが見えた。恐らく最近やっと離乳食が食べれるようになった頃程のコなのだろう。
今も鳴き続けて体をちぢこませている。
このあたりでこのコ達の親らしき……それどころか他の猫は見たことがない。
この二匹が親子なのだろうか……
イギリスはなんとか猫二匹を抱えて家に連れ帰った。
威嚇していた猫はしばらく抵抗を続けたが、もともと体力が少なかった様で頑張って噛みついたり引っ掻こうとしていたが長袖と手袋をしたイギリスには歯が立たなかった。
子猫の方はイギリスのポケットに入れて無事に帰宅。
帰宅後、イギリスはぬるいお湯で子猫と若い猫の体を洗ってご飯をあげて、動物病院に連れていった。
二匹ともオスの白と赤の模様をした雑種の猫だった。
子猫も若い猫も衰弱しており、栄養失調になっていた。
若い猫の方は、ずっと涙を流していたので目の周りが腫れて炎症を起こしており毛も抜けていた。
二匹とも寄生虫やノミ避けの注射を射ち、若い猫の方は目薬をさしてもらった。
再びイギリスは家に帰宅して警察に猫二匹の事を報せておいた。恐らく野良猫だとは思うが念のために。
空き部屋へその二匹を隔離させて猫用ケージに入れると、二匹とも中に入れたテントの中に入って閉じ籠った。
やがて子猫は若い猫の後ろで寝始めたが、若い猫は疲れているだろうに出会ってからずっと威嚇して唸っていた。
イギリス「……今日はもう私も自室で寝ますから、また明日に。
……おやすみなさい」
ケージ内には底の浅い器に入れられた柔らかいキャットフードと水も用意してある。
イギリスはそう言って部屋の明かりを消して部屋を出た。
翌日の早朝4:00、イギリスより先に起きたアメリカは昨日拾った猫達の部屋のドアを器用に静かに開けて入った。
入った瞬間から既にアメリカの気配を察知していたのか、若い猫の方が起きていてテントの出入口で唸っていた。
アメリカがドアを閉めてケージに近づくと若い猫はまたシャーァッと威嚇した。
微かな光の反射で、若い猫の目にある涙が反射した。
アメリカ (まだ涙止まってねぇのか……)
若い猫は呼吸も荒く、警戒心が極めて高くてうまく休めていないようだった。
体調を確認するためアメリカがケージに近づいて匂いを嗅ごうとした時、若い猫が勢いよくテントから飛び出してケージの隙間に爪を立てた前足を付き出してアメリカを追い払おうとした。
アメリカは瞬時にのけぞったが、鼻先を引っ掻かれてしまった。
若い猫はアメリカがケージから離れて近づいてこなくなったのを確認すると、テントに戻って行った。
そのコは腰を下ろすことなくじーっとアメリカを見続けて動かなくなった。
アメリカ「クゥッ……(いきなり近づいてったのは悪かったよぉ……嫌なことするつもりじゃなかったんだ!)」
若い猫「………………………………………………」
子猫「……ん~んぅっ」ぱちっ
若い猫·アメリカ「「!」」
子猫「ピャァーウ……ピヤアーウ!、ミャアーウッ!」
若い猫「………💦」ぺろぺろ←子猫毛繕い中
子猫「ミャーウ!ミャァーウッ!」←お腹空いた
若い猫「………………💦」
アメリカ (……そこにご飯あるぞ?食べないのか?食えないのか?)
アメリカが餌の入った器をよく見ると、餌はほんの少し食べた様だが殆ど残っていた。
水もまた少量だが飲まれた後があった。
アメリカ (………とりあえずイギリス呼んでくるか。ちょっと待ってろよ~❗)
アメリカはまた部屋のドアを開けて閉めてイギリスの寝室へ向かうと、イギリスが寝ているベッドの掛け布団を咥えて引きずり取った。
イギリス「うぅ~、寒っ……ってアメリカ!なにやってるんですか!
というかその鼻……………さては勝手にあのコ達の部屋に入りましたね!?💢
見に行かないと!」
イギリスは着替えて猫と子猫用のご飯とミルクを持って部屋に向かった。
イギリス「おはようございます~……
大丈夫ですか?……ありゃ、ご飯残ってますね。食べられませんでしたか、あっでも少しだけ食べてくださったみたいですね、ありがとうございます。
新しいご飯を持ってきましたよ~
小さいコの方はミルク持ってきましたよ」
イギリスが手袋をしてテントに手を入れると、若い猫が唸り声をあげながらイギリスの手袋に噛みついて後ろ足で勢いよく蹴った。
しかしイギリスは冷静に両手でその若い猫を抱えると、仰向けにして猫の体を膝で固定して目薬を注(さ)した。
イギリス「アメリカ、今のうちに小さいコの方を出しておいて下さい」
アメリカはケージに近づいて、テントから出ていた子猫の首の後ろを咥えるとイギリスが用意していた毛布の上に降ろした。
アメリカが子猫に近づいた瞬間、若い猫は大暴れしたがイギリスはなんとか目薬を注してケージに戻した。
若い猫は鳴き叫んでケージの格子に噛みついて格子を変形させた。
イギリス「急ぎましょうか(汗)」🍼
イギリスは毛布の中で若い猫の元へ行こうとしているが、毛布に足をとられて慌てている子猫に近づくと、生暖かいミルクが入った小さな哺乳瓶を近づけた。
子猫は匂いと本能で哺乳瓶に食らい付いてすごい勢いでミルクを飲んだ。
イギリス「上手ですね、良いコですよ」🍼
数分後、子猫はミルクを飲み干しケージに帰された。
若い猫は子猫を受け取ると速攻でテントに連れて行って、またしばらく出てこなくなった。
イギリス「ふぅ💦………また後で来ますからね。
ほらアメリカ、行きますよ。あんまり近くに居すぎてもいけませんからね」
アメリカ「………………………💦」
つづく🍼