静かな午後、二人で並んでソファに座っていた。
阿部ちゃんが文庫本を手にして、静かにページをめくっている。
俺はというと、膝に置いたゲームを放り出し、阿部ちゃんの横顔をじっと眺めていた。
(あー……今日もかっこいい……)
無意識のうちに、うっとりとため息を漏らしていた。
本を読む時の真剣な顔つき。
スッと通った鼻筋も、長いまつ毛も、柔らかく整えられた髪も、全部が好きだった。
心の中で何度も「かっこいい」「好きだなぁ」と繰り返していると、ふいに阿部ちゃんが顔を上げた。
「……佐久間?」
ぱちりと目が合う。
「わっ!」
驚きのあまり、変な声を出して飛び跳ねた。
頬が一気に赤くなるのが、自分でもわかる。
ドキドキと心臓がうるさく鳴った。
阿部ちゃんはそんな俺を見て、ふっと目を細めて笑った。
そして本をソファに置くと、優しく俺を引き寄せ、ぎゅうっと抱きしめた。
「どうした?……見とれてたの?」
「み、見とれてたわけじゃ……ないし、……」
嘘が下手な俺に、阿部ちゃんはまたクスッと笑う。
その笑い声すら心地よくて、俺は観念したように、阿部ちゃんにぴったりとしがみついた。
二人の間に流れるのは、あったかい空気だけ。
ただ、大好きな人を抱きしめているだけで、こんなにも幸せだった。
コメント
3件
いやぁぁぁぁぁぁ想像するだけでも鼻血がめちゃいそうです( ⸝⸝⸝ ♡ཫ♡⸝⸝⸝)(殴 佐久間の顔が赤いの何となく想像出来る🩷あべさく尊い(◜¬◝ )💚🩷
尊いーーーー🤦🏻♀️💚🩷