懐中電灯の光がゆっくりとこちらを照らした。暗闇に浮かび上がったのは、ホテルの制服らしき格好 をした”普備員”の男。 けれど
-何かがおかしい。
佐久間)すみません、エレベーターおかしく て……
と声をかけると、男は一瞬も動かず、ただ光だけが揺れた。
次の瞬間、懐中電灯の光が彼らの足元を照らした時、 〇〇は息を呑んだ。
床のタイルが途中で途切れ、そこから先は”古い木の廊下”になっていた。
まるで違う建物が途中で混ざっているみたいに。
〇〇)ここ…本当に同じホテル?
佐久間)わかんない
佐久間の声も震えていた。
ふたりがそっと後ずさりしようとした時、懐中電灯がふっと消えた。
暗闇の中、管備員の男の声だけが低く響いた。
3.5階に、戻っては行けないよ
一瞬後、エレベーターのドアが勝手に閉まり、機械のような音が響く。
慌てて「開」ボタンを連打するも、どのボタンも光らない。
ただ、表示板だけが”3.5”から”..!”に変わり、数字の代わりに、点滅する「×」が映っていた。
〇〇が息を呑んだ瞬間、天井から小さな「カタン」という音がした。
見上げると、天井の隙間から”人の指先”のようなものが覗いていた。
佐久間が思わず叫びそうになった瞬間、エレベーターが再び動き出す。
急に明るくなり、目を開けると、そこは普通の”3階”のフロア。
あの木の廊下も、備員も、跡形もない。
〇〇)夢?
佐久間)いや、夢じゃない。これ……見て
佐久間が指差したのは、エレベーターの隅。
そこには、泥のついた”古いホテルのルームキー”が落ちていた。
番号はーー3.5階
ふたりはそれをフロントに持っていったが、スタッフは首をかしげるだけ。
スタッフ)そんな部屋、うちにはありませんが….
帰り際、〇〇が何気なく振り返ると、フロントの奥の壁に並んだ部屋番号の札の中にひとつだけ、黒く塗りつぶされた札があった。
そこにかすかに読めた文字
“3.5”
コメント
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あ、もう、怖い……笑
続きまってます!