テラーノベル
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第6話 「たぶん、もう戻れない」
「prちゃんには特別近いかも!」
その言葉が、 prの頭から離れなかった。
翌日。
《Nocturne》のカウンターで、 prは珍しくぼーっとしていた。
「p~のすけ、死んでる?」
mzがコーヒーを飲みながら言う。
「死んでねぇ」
「でも顔やば」
「寝不足?」
akまで覗き込んでくる。
「うるせぇ」
prは眉間を押さえた。
原因は分かってる。
昨日のtgの言葉。
“特別”
あれが冗談なのか、 天然なのか、 それとも少しは期待していいのか。
考えるほど分からなくなる。
「……だる」
「恋煩い?」
「ak黙れ」
図星だった。
その時、 店のドアが勢いよく開いた。
「おはよ〜!!」
tgだ。
いつも通り明るい声。
しかし次の瞬間。
「うわっ」
床で滑った。
「っ、tg!」
prが即座に腕を掴む。
完全反射だった。
「お前毎日転びかけてんな」
「えへへ〜、助かった!」
「笑い事じゃねぇ」
prは掴んだまま離せない。
tgの手首、細い。
近い。
「……prちゃん?」
「……っ」
我に返って、慌てて離す。
その様子を、 周囲はめちゃくちゃ見ていた。
akがにやにやしている。
mzはコーヒー飲みながら笑いを堪えてる。
atは真顔。
ktyは「あらぁ……」みたいな顔してる。
「p~のすけ、過保護すぎん?」
「違ぇ」
「今の反応速すぎたよぉ」
ktyまで言う。
「体が勝手に動いただけ」
「それを世間では好きって言うんだよ!」
akが元気よく叫んだ。
「うるせぇ!!!」
店に響くprの声。
tgはきょとんとしていたが、 少しだけ顔を赤くして笑った。
「……でも、うれしかった」
「…………」
prが固まる。
「助けてくれてありがと、prちゃん」
その笑顔は反則だった。
prはもう、 本気で無理かもしれないと思った。
―――
一方、厨房。
「aっちゃん、それこっち〜」
「これ?」
「うん!」
atとktyが仕込みをしている横で、 mzは静かに野菜を切っていた。
その時。
「わぁっ!?」
ktyの手元が滑る。
包丁が落ちかける。
「ktyお!」
mzが咄嗟に手を伸ばした。
ガッ。
「……っ」
「mzち!?」
包丁は止まった。
でもその代わり、 mzの指先が少し切れていた。
「ちょ、血……!」
ktyの顔が真っ青になる。
「大したことねぇ」
「だ、大したことあるよ!」
ktyは慌てて絆創膏を探し始めた。
「どこ、どこだっけ……!」
「落ち着け」
「でも僕のせいで……!」
「だから大丈夫だって」
しかしktyは完全にしょんぼりしている。
眉も下がって、 今にも泣きそうだ。
mzはその顔を見て、 小さくため息をついた。
「……そんな顔すんな」
「でも」
「俺が勝手にやっただけ」
「……ごめん」
「謝んなって」
mzは少し黙る。
それから、 ぽん、とktyの頭に手を乗せた。
「怪我したのお前じゃなくてよかった」
「……え」
「お前ほんと危なっかしいから」
優しい声だった。
ktyの顔が一気に赤くなる。
atがその様子を見ながら真顔で言う。
「mz、甘いな」
「は?」
「ktyにだけ優しい」
「……別に」
「でも今頭ぽんってした」
「aっちゃん見てたの!?」
ktyが恥ずかしそうに叫ぶ。
atは頷く。
「微笑ましかった」
「やめてぇ……!」
mzは顔を覆った。
「……最悪」
でもその耳は真っ赤だった。
―――
夜。
閉店後。
tgはソファに座ってスマホを見ていた。
そこへprが飲み物を置く。
「ほら」
「わ、ココア!」
「疲れてんだろ」
「ありがと〜!」
tgは嬉しそうにカップを抱えた。
少し沈黙。
店内には静かな音楽だけが流れる。
「……なぁ」
珍しく、 prの方から口を開いた。
「昨日の」
「昨日?」
「“特別近い”ってやつ」
tgは目をぱちぱちさせる。
「あ〜」
「……あれ」
prは視線を逸らしたまま言う。
「どういう意味」
聞いてしまった。
もう戻れない気がした。
tgは少しだけ考える。
それから、 ふっと笑った。
「prちゃんだから、かな」
「……は?」
「なんかね、安心する!」
「それだけ?」
「え?」
prの胸がちくりと痛む。
期待した自分が馬鹿みたいだった。
しかし次の瞬間。
「あと、かっこいいし」
「っ……」
「優しいし、ちゃんと見てくれるし!」
tgはにこにこ笑っている。
無自覚。
完全に。
prは顔を覆った。
「……ほんとずるい」
「え?」
「なんでもねぇ」
でも、 もう抑えられそうになかった。
――続く。
コメント
2件
ねぇ、天才???????????????????
ぁあ〜〜〜第6話も尊すぎて叫んだわ😭💕💕💕 「特別近い」の言葉を引きずるprちゃん、完全にtgちゃんにドはまりしてるじゃん!? 転びかけたtgを反射で助けるシーン、もう恋バレバレだし周りの反応(akの「好きって言うんだよ!」)が的確すぎて笑ったwww 厨房のmz×ktyも良かった…!「怪我したのお前じゃなくてよかった」の優しさ、mzの耳赤いの確定でしょ〜〜〜🥺💗 夜のココアシーン、「かっこいいし」の無自覚攻撃でprちゃん昇天しそうになってるの最高。次話も待ちきれない!
#ぬぬさんの投稿日記
ぬぬ@初心者さん
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