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この門をくぐるのは、何時ぶりだろうか。微かな記憶。小さい時の記憶だろう。俺は思い出せない。
憎きあいつが、邪魔をする。ある意味トラウマだ。
「ガイ、大丈夫か?凄い顔色悪いが。」
「ああ、まあいつものあれだ。」
「そうか、良かった。とりあえず、ここが寝泊まりの部屋だ。時々俺も来るが、寝るときは帰る。」
「ありがとうね、ナギ君。色々用意してもらって。」
「大丈夫さ、こんなのは何時ものことだし。」
「そんなに、客が来るのか?」
「城からの使いがね、知ってるだろう?この国はもうすぐ、終わる。」
「戦争か。」
「ああ、兵の徴収でな。明後日、俺も行かなきゃならん。」
「それが、ナギの頼みか。戦争を、終わらせるか手伝えばいいってこと?」
「うん、しばらくは観光すれば良いよ。俺は、家族に色々話さなきゃならないし。」
「分かった。」
今、マグリウド宗国は隣国のカリウムと戦争している。そっちの話でいう、第一次世界大戦のようなものだ。一つの土地を争って、同盟国同士が、争う。世にも、残酷な話だ。
俺達の旅の目的も、戦争が発端だ。小さな国の高い技術を争い戦う。そんな事しなくたって、条件次第でやるってのに。
まあ、詳しくはもう少しあとの話だ。
「なあ、この錆鉄の塊何なんだ?」
「それか、血鉄と呼ばれる、念の籠もった鉄塊だ。小さな棘があるだろ、それを体に刺すと、血を吸い、吸った人の能力や体質などを、使用者に与える。」
「ほえ〜、貰っていいの?」
「別に構わん、元々お前の先祖の物らしいしな。けど、そいつは使用者を選ぶから使えるかは、知らんけどな。」
「ふーん、面白そうな物はだな。」
俺は、鉄塊を右手の指にはめた。
「どうなの?なんか感じる?」
「よく分からんが、手に馴染 む。」
「良かったじゃん。それが、ガイを認めたってことでしょ。」
「ナギー、手に馴染むんだけど、どうすれば良い?」
「嘘だろ、流石は末裔だな。錆付きだから、暫く血を吸っていないだろうし、今まで吸った血の記憶も無いんだろうな。仕方ない、もしもの時に俺の血を吸わせておくか。」
「なら、私も。私が死んでも、それに私が居るから大事にしてね。」
「悲しい言わないでくれよ。」
そういいながら、二人は棘に指を刺した。
ドクン ドクン ドクン
二人の鼓動が、拳に伝わってくる。これが、二人の力。