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魔理沙視点
かつて霧雨魔理沙は、「幻想郷にとって一番の普通」を体現する存在だった。
博麗霊夢と共に、数々の異変を解決し、誰よりも強く、誰よりも自由で、誰よりも人間だった。
だが――ある異変で霊夢は命を落とす。
それは、魔理沙を庇った結果だった。
「私のせいで霊夢が……なら、私が霊夢を取り戻す」
魔理沙は、禁忌の魔法を用いた。
それは「死者蘇生」――死んだはずの霊夢、ルーミア、咲夜、早苗らが次々に蘇る。
幻想郷は何事もなかったかのように、元通りのように見えた。
しかし、これは「異変」だった。
誰もが気づかぬふりをしていたが、本人だけは気づいていた。
魔理沙は気づいていた。
これは自分が引き起こした偽物の幻想郷であることに。
けれども、終わらせたくなかった。
なぜなら、「ここには霊夢がいる」からだ。
「これが私の幻想郷。
私が望んでた幻想郷なんだ……
馬鹿だな、私。
こんなことしたって、もうどうしようもないのに……」
このセリフには、魔理沙の後悔・執着・諦めのすべてが詰まっている。
霊夢が生き返って、またいつものように弾幕ごっこをして、皆で笑っている。
でも、もう戻れない。
なぜなら、魔理沙自身が「人間をやめた」からだ。
魔理沙は「異変解決者」だったはずだ。
それが今では「異変そのもの」となり、誰よりも幻想を壊している。
皮肉にも、霊夢は気づいていた。
「魔理沙、あなたはもう人間じゃない。
だから……私はこの異変を終わらせなきゃいけない」
魔理沙にとって、これは最大の裏切りだった。
せっかく戻ってきた霊夢が、自分を「終わらせる側」に回るのだから。
霊夢視点
魔理沙が異変を起こした。
死んだはずの仲間たちが、幻想郷に“戻ってきた”。
でも、霊夢だけは知っていた。
「……私、一度死んだのよね」
生き返った瞬間に、霊夢は感じていた。
これは「魔理沙の魔法」であり、
幻想郷そのものを壊しかねない禁忌であることを。
霊夢は、幻想郷を守る「博麗の巫女」だ。
だから、彼女は――
「この異変を、終わらせなきゃいけない」
霊夢は「魔理沙のために死んだ」。
でも今度は、「幻想郷のために魔理沙を殺さなきゃいけない」。
彼女の心には、怒りも悲しみもあったはず。
でも、それを見せることはなかった。
「どうしてこんなことをしたの、魔理沙」
「私は、あの時死んだままでよかったのに」
巫女としての役割と、
友人としての気持ちが真っ向からぶつかっている。
そして霊夢は、どちらも捨てなかった。
捨てずに――自分を壊しにいった。
魔理沙は「人間をやめた」。
妖怪となり、死者蘇生という禁忌を犯し、幻想を歪めた。
霊夢は「人間の代表」であり、「幻想郷の調停者」。
「あんたが幻想を壊すって言うなら、
私が幻想を守るだけよ」
これは「正義」なんかじゃない。
ただ、そうするしかなかっただけ。
霊夢は魔理沙に向かって飛ぶ。
魔理沙はそれを迎え撃つ。
弾幕の応酬の中で、互いに何も言わない。
けれど心の中では、涙を流していた。
「なんで……こんなことに、なったんだろうね」
霊夢が放った最期の御札が、
魔理沙の魔力核を撃ち抜く。
魔理沙の作った偽りの幻想郷が崩れはじめる。
咲夜が消え、ルーミアが消え、早苗が消え、
そして、霊夢自身も――
「魔理沙、ごめんね。
私、またあんたの“ため”に動いてた」
どうも、初めましてこんにちは誰かの裏アカさんずです。今回の話もそうですが、ちょっと病み要素が入りますので気をつけてご視聴ください。それでは、さようなら。
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