本当にそうなら悲しくなる。
告白されて、すごく嬉しかったのに……
私は、ずっとちゃんと好きだったのに。
「面倒くさ。そういう女が1番嫌いなんだ。弥生は体も良いし、セックスの相性も良い。だからずっと続けたかったんだよ。だからさ、怒んないでさ、これからもセフレってことで……」
バチッ!!
「イテッ! 何すんだよ! お前!」
殴ってやった。
思いっきり、平手打ち。
おかげで手が痛いよ……
痛い、すごく痛い、あなたのせいだよ……
それに、心も……痛いよ。
「お前、いっつも抱かれて気持ち良さそうにしてただろ? たいしてタイプでもないのに付き合ってやってたんだ。感謝されて当然なのに、何で殴られなきゃいけないんだ」
「それ、本気で言ってる?」
「ああ、本気だ。お前なんかもう用済み。代わりはいくらでもいるし。このこと、母さんにチクったらタダじゃ済まないからな」
こんなバカな男と私は……
ううん、バカなのは私の方だ。
「あんたなんかチクる価値もない。」
「はぁ? お前が言えたギリか! 頭使えよ!」
そう言いながら平然と着替えを始めた。
いつもなら帰りたくないって、お別れすることを寂しく感じていたのに。
この男だって「お前を帰したくない」って……甘いキスをしてくれたのに。
「生まれてくる子どものためにも、奥さんと離婚するか、そういう生活を改めるか、どっちか考えて。自分の遺伝子を受け継いだ可愛い子どもに恥ずかしくない生き方をして。それが私にできる最後の忠告」
奥さんや子どもに対するせめてもの償いの言葉。
もちろん、どう償っても許してもらえないだろうけど。
私、本当にどうかしてた、自業自得だ。
「ふざけんな! お前にそんな綺麗事、言われたくない! セフレにするのもウザイ。二度と会わないからな。後で泣きついても知らないぞっ」
この男には何を言ってもムダだ。
こんな男の周りにいる人達が気の毒になる。
「頭使え」「用済み」「ウザイ」、そんな言葉をぶつけられて確かにショックだったけど、でも、言われて良かったと思った。
おかげでスッキリと嫌いになれたから。
その証拠に、ドアから出ていく後ろ姿を見ても、何の未練も感じなかった。
呆気ないな……
毎日毎日想い続けた人、大切な人だったのに、嫌いになる時は一瞬なんだ。
心の痛みさえすぐに消え去って、時間はかかったけど、あんな奴から離れられて、今すごく……ホッとしてる。
彩葉と理久先生のおかげだよ。
2人に言われて私は変わることができた。
ダメな自分を真っ直ぐな道に戻してくれたんだ。
あ~早く2人にお礼を言いたいし、2人の顔が見たいよ。
彩葉と理久先生は、今の私に何て言ってくれるのかなぁ?
虫がよすぎるけど、ほんの少しは……喜んでくれるかな。
外に出て、ふと空を見上げたら、美しい星がキラキラ輝いてた。
「うわぁ、綺麗だな……」
でも、ここから見る星はこれが最後。
明日からの私は、また1からスタートするんだから。
ちゃんと反省もして、しっかり自分を見つめ直して頑張らなきゃ。
少し、これから先の自分の進むべき道も考えようと思う。
2人が戻してくれた道、もしそこから何本かに枝分かれしてる未来があるとすれば……
私はどんな道を行けばいいのかな?
ここから踏み出す1歩は、今度こそ間違わないようにしたい。
何年後かの「和田 弥生」が……
いったいどんな人生を歩んでいるのか、新しい自分に会えるのが今からすごく楽しみだ。
久しぶりに、本当の意味で幸せな気持ちになれた気がした。
コメント
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弥生ちゃん頑張ったね~🥹