「今宵、満月の日に会いましょう。」
Story.5
「もう、ここへは来るな。」
永瀬 紬
なんで…?
永瀬 紬
…私、セトと居る時間が
永瀬 紬
大好きだったのに…!
永瀬 紬
どうして、そんな事言うの?
永瀬 紬
…話したい事もいっぱいあった。
永瀬 紬
これからだって
永瀬 紬
ずっと、セトと
永瀬 紬
あたりまえのように
永瀬 紬
話せると思ってた…
涙が頬を伝っていく
永瀬 紬
(…馬鹿だなぁ、私。)
永瀬 紬
(あんな秘密だらけの君に)
永瀬 紬
(恋してたなんて。)
馬鹿だなぁ。
私。
キーンコーンカーンコーン…
友達
紬ちゃん!
また明日ねー!
また明日ねー!
永瀬 紬
うん、バイバイ!
永瀬 紬
(…やっぱり、セトの事気になるなぁ…)
永瀬 紬
(来るなって言われたけど)
永瀬 紬
(やっぱり気になる!!)
地面を蹴って
前へ前へ走っていった。
あの森へ
怒られても良いや…
私は
どうしても
あなたに会いたい…
永瀬 紬
はぁ、はぁ、はぁ……
永瀬 紬
(…嘘)
永瀬 紬
(ここで合ってるよね…?)
いつもの道を走ってきたはずなのに
そこに森はなかった。
永瀬 紬
(どういう事…?)
永瀬 紬
(道、間違えた?)
永瀬 紬
(いや、そんなはずない…)
永瀬 紬
(だって、もう9年も通ってるんだよ…)
永瀬 紬
(ねぇ、セト)
永瀬 紬
(本当にもう…)
ここに来てはいけないの…?
3年間、部活に励み
何もなく過ぎ去った
高校時代。
あなたがいないと
魂が抜けたみたい…
私はあなたがいないと
無理みたい…
永瀬 紬
(私って…まだセトに恋してるのかな)
永瀬 紬
(もう、会えなくなって3年たとうとしてるのに…)
友達
…紬ちゃん!!
友達
写真撮ろ!!
友達
もう高校も最後なんだから!!
永瀬 紬
うんっ!!
永瀬 紬
(…今を楽しまなきゃ)
何事も笑顔で…
皆には迷惑をかけないように
私は高校を後にした。
今日、卒業したよ。
セト。
私、大学生になるの。
永瀬 紬
(…高校の打ち上げ行ってたら)
永瀬 紬
(帰り遅くなっちゃったなぁ)
スマホのライトを道にかざしながら
ゆっくり家に向かう。
永瀬 紬
(あ、こっちに行ったら)
永瀬 紬
(セトの森が……)
行くだけ…
見るだけ…
きっとそこには
森なんてないでしょう?
でも、期待してしまう。
あなたがあの森にいるって事を。
永瀬 紬
…嘘っ!!!
森がある!!
永瀬 紬
(嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ!!!!)
私は走って森に入っていった。
ザッ…ザッ…ザッ。
草を踏む感触が懐かしい。
永瀬 紬
…
少し前へ進むと
人影が見える。
永瀬 紬
…
見つけた。
永瀬 紬
セトっ!!
セト
…
セト
…っ
セト
…紬…?
ーto be continuedー