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表と裏と裏の裏。

第50話 - Episode.43 後日譚

2025年03月16日

#一次創作

#スパイ

#高校生

#学校

#第4回テノコン

🌙空瑠璃

⚠︎傷害表現あり

2月26日午前9時

『バンッ』

『ガンッ』

小夜

っ！？

春宵

はー…っ、はー……っ

拳銃が小夜の手から弾き飛ばされ、地面に転がった。

小夜

ぅ、…

春宵

！
ご、ごめんなさ、私…！

白日

…ありがとう、春宵

あのままだったら、小夜は引き金を引いていた。

絶対に。

誠

はぁ…残念だ

誠

〈起爆スイッチに手をかける〉

小夜

あ、待っ

八重桜

やめろ！！

白日

（ごめんね）

白日

（でも、小夜を守れてよかったよ）

『カチッ』

そして＿＿＿轟く爆発音。

白日

？！
ぅわあっっ

『バシャン』

春宵

え……

小夜

…？！

爆発した。早水が。

うまく見えなかったけど、たぶん、

起爆装置自体が、爆発した。

その爆風で白日さんが飛ばされ、海に投げ出された。

八重桜

……

どうやら爆発したのは起爆装置自体だったようだ。

早水は爆発を直に受け、白日とは違う方向に吹っ飛んでいった。

小夜

はくじ、…あっ、誠く…

リーダーは迷っていた。どちらの方へ行ったらよいのか。

我からすれば白日以外に選択肢はないのだが、

小夜はそうではないらしい。

小夜

（どうしよう、どうしよう…！）

目を瞑ってしまった。

こうして悩んでいる間にも、時間は過ぎ去っていくというのに。

早く助けに行かなくてはならないのに。

小夜

（どっちも助けたい、でも…っ）

どうしたら。

そう思った時、頭に浮かんだのは＿＿

２年前、私を窓の外へと押し飛ばして、

諦めたように笑ったあの子の顔だった。

小夜

…っ！！
〈駆け出す〉

八重桜

！
春宵、我は"早水"の回収に向かう！

春宵

……早水が…自爆、した…？

八重桜

〈駆け出す〉

春宵

え、あ、はいっ！

春宵

れ、連絡、本部…！！
〈スマホを取り出す〉

小夜

（白日、白日…っ）

『ザブン』

小夜

（どこ？どこ…？！）

小夜

…！

小夜

っ、
〈深く潜る〉

地上

小夜

ぷはっ、

小夜

はぁ…っ、はぁ…っ、

小夜

白、日…大丈夫？

白日

っ、げほっ、がほっ、

白日

っだ、大丈夫…ありがとう

小夜

（ああ…よかった…）

？？

二人とも無事？！

白日

織姫…

小夜

私は平気だよ

白日

ボクも大丈夫

織姫

んっとに、無茶しすぎ…！

織姫

小夜！春宵から聞いたわ

織姫

いきなり飛び込むなんてバカすぎる！！

小夜

でも、あのままだったら静は溺れてた

白日

溺れないよ…ボク泳げるし、

小夜

爆風に飛ばされた体で？

織姫

ああもう、云い争いしないっ！

織姫

それだけ元気なら大丈夫ね、とにかく上がりなさい

織姫

体冷やすわよ
〈手を差し伸べる〉

小夜

あ…そうだね
〈織姫の手を取る〉

＊＊＊

織姫

そういえば、港の中心でこんなの拾ったんだけど

白日

あ、その写真って…

小夜

うん、誠くんが私に見せたやつ

織姫

……小夜はそっくりだね、

お母さんに。

白日

え？

小夜

うん、自分でもそう思う

小夜

（この写真を見た時、すぐに判ったよ）

小夜

（だってこの顔は、毎日見ていたもの）

小夜

……15年前の『小夜』は、お母さんだったんだね

白日

ってことは、つまり＿＿＿＿

春宵

あっ、戻ってきた…！

小夜

あれ？夜鷹さんがい

夜鷹

お前らァ！

夜鷹

なんっで通信切ったんだ！

夜鷹

繋いどけって云っただろうが！！

小夜

ご、ごめんなさい…

白日

通信繋いだままだと、早水は相手にしてくれないだろうってことになって

織姫

あっ、その早水は？

夜鷹

……

小夜

あ………

小夜

（夜鷹さん、その表情は、
やっぱり……）

？？

即死だ

春宵

八重くん…お帰りなさい

織姫

八重桜、どこ行ってたの？

八重桜

早水を回収していた

八重桜

はるは動けそうになかったし、小夜は白日の方を助けに行ったからな

白日

即死、って…

夜鷹

言葉通りだ

夜鷹

詳しく調べてみないことには判らないが、

夜鷹

周りの状況から察するに、爆発で片腕が吹き飛んで、

夜鷹

海に落ちる前にコンクリに頭を打ちつけたってとこだろ

小夜

…くっ

小夜

（誠くん……ごめんなさい……）

2月26日午前9時17分、容疑者死亡。

その7分後、午前9時24分。

爆発の5分12秒前に、全ての爆弾の解除を確認。

その後、国内での爆発の通報は一件もなかった。

＊＊＊

５日後港近くの浜辺

静

わざわざ花を用意するなんて、律儀だね

湊

だって、何もないのは寂しいから

湊

〈花を手向ける〉

『ザザーン…』

湊

（誠くん、あれから５日経ったよ）

湊

（…結局、一度も顔を合わせられなくて、君は人知れず灰になって、）

湊

（この海と一緒になっちゃったね）

静

…ねぇ湊、

静

嫌な質問するけど、いいかな？

湊

…いいよ

静

どうしてあの時、早水よりボクを優先したの？

湊

あの時？

静

爆発した時

静

八重桜たちからの話だと、

静

悩んだ結果ボクを選んだらしいけど

湊

あー、うーん……どう云ったらいいのかな

湊

……とにかく静を助けたくて…

湊

…そう、もう二度と失いたくなかった

湊

私、前に静を殺しかけたし…

湊

目の前で大事な人を失うのは、もう嫌だったんだ

湊

だから、私……

湊

誠くんを、見捨てた…っ

静

湊……

湊

私、お兄さんだけじゃなくて、

湊

誠くん自身も"助けられなかった"…！！

湊

うぁあぁぁっ
〈静の服を掴む〉

静

……っ
〈湊を抱きしめ、頭を撫でる〉

『ザザーン…』

湊

……ありがとう、静

湊

もう大丈夫

静

落ち着いた？

湊

今はね。けど…

湊

（これから、この罪の意識が消えることは、きっとない）

湊

……
〈海を見る〉

湊

…ん？なんか光ってる

湊

〈靴を脱いで海に入る〉

湊

〈光る何かに手を伸ばす〉

静

何を拾ったの？

湊

なんだろ……あ

静

それ、ネックレス？

湊

……

誠

あ、これっスか？

誠

いいでしょ、兄貴のなんです😉

誠

へへ、宝物っス！

湊

そっか…爆発の時……

静

そういえば湊、さっきなんでああ云ったの？

湊

え？『誠くん見捨てた』ってやつ？

静

ううん、そのあとの言葉

静

『助けられなかった』って、あいつ自爆だったんじゃないの？

湊

…そっか、静は聞いてないのか

湊

あのね、彼、自爆じゃないかもしれないんだって

静

…どういうこと

湊

誠くんの爆発のタイミングについて、よく考えてみて

静

……早水の目的は、湊…『小夜』に復讐すること

静

それでボクや小夜自身を殺しにくるのは妥当な話だよね

静

…とするなら、ボクがつけられた首輪が爆発せず、あいつの持ってた起爆装置が爆発して、

静

それに自らも巻き込まれるのは妙だ

湊

うん。夜鷹さんたちは『第三』の線を疑ってる

静

また『第三』か……

静

嫌な記憶しかない響きなんだよね

静

けど、有り得なくはない

静

そもそも早水についてはまだ謎が残ってるし

湊

（このネックレス…こんなところに流れ着いて、それで私が拾うだなんて…）

湊

（誠くんってだいぶ強情）

湊

（…でも、いいよ）

湊

（私がこれを拾ったことには、きっと意味がある）

湊

（君を殺した人物がいるなら、そいつを見つけ出す）

湊

……やろう。私たちの仕事はまだ終わってない

静

そうだね、これも日常の一部だ

湊

行こう

湊

〈ネックレスを握る〉

Episode.43 後日譚

＊＊＊

翌日　朝

結海

おはよっ

湊

おはよう二人とも

伊織

肩の調子は？

湊

うん、いい方だよ

無断欠席をしてしまったあの日。

千鳥さんに云われて思い出して、

『急遽病院に行くことになった、肩の調子が悪い』

と、云い訳をしたのだった。

湊

（肩の調子が戻ってないのは本当だしね、はは…）

結海

あれ？湊、そのネックレス…

湊

え？あ、これ？

結海

うん、それ！早水くんがつけてたやつじゃない？

伊織

あいつ、急に学校やめたらしいな

伊織

どうしてんだか…

湊

あぁ…誠くんは……

湊

今は遠くにいるよ

湊

これは譲ってもらったの

結海

へ〜、いいね！似合ってる

湊

ありがとう

誠くんの一連の事件。

このことを世間は知らない。

今日だってテレビでは、いつも通り平和なニュースが流れるだけ。

私たちは"あったもの"と見なされない。

存在が世に知れ渡ることもない。

そういう仕事なのだから。

伊織

……

To be continued

🌙空瑠璃

今回もこちらのメーカーさんを使わせていただきました！

🌙空瑠璃

ありがとうございました！

🌙空瑠璃

次回、最終話です

最終話　Episode.44 私たちの日常

表と裏と裏の裏。

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