視界がくらみ、私は後ろに向かって 倒れていった。
真琴
真琴
目を開けて、床に置かれていた 重い体をなんとか起こした。
真琴
辺りを見回した。
屋内のようだが、机と椅子しか 置いていない殺風景な部屋だった。
私の近くには、キリンさんが 横になり眠っていた。
真琴
真琴
スースーと寝息を立てるキリンさんを 横目で見た。
キリンさんのスーツのポケットには、 何か白いものが入っている。
真琴
思わず手にとった。
真琴
そのメモには、几帳面な字で 沢山の言葉がつづられていた。
⚫︎真琴さんが、私の為にメモ帳とペンを買ってくれた。
これから、このメモに自分の記憶に関することを書いていこうと思う。
⚫︎服が男物だから、性別は男かな?
⚫︎漢字は普通に書けるから、少なく とも小学生以上だろう。
⚫︎真琴さんといると居心地が いいかもしれない。 明るい人といるのが楽しかったのかな
⚫︎みかんアイスを二人で分けた。 あのアイス、なんだか懐かしいような
真琴さん、昔お兄さんとよく食べたって言ってたなぁ。
⚫︎後ろから来た車に、過剰に反応してしまった。車が怖いと思った。 交通事故で死んだのかもしれない。
そういえば、真琴さんのお兄さんも、
⚫︎本当は、もう自分の正体に 薄々気づいているんじゃないか?
その文章で、メモは途絶えていた。
キリンさん
真琴
キリンさん
真琴
私はとっさにメモを隠した。
キリンさん
真琴
キリンさん
キリンさん
真琴
キリンさん
キリンさん
キリンさん
キリンさん
真琴
キリンさん
キリンさんの顔を、私はまともに 見ることが出来なかった。
真琴
真琴
真琴
キリンさん
真琴
真琴
キリンさんは、静かに私の言葉を 聞いていた。
真琴
真琴
そう言った瞬間、キリンさんの身体 が、泡となって溶け出した。
そしてそれは、だんだん人の姿を 形づくる。
ピンク色の髪をした、男の子。
私の、お兄ちゃんだった。
葵
葵
葵
葵
お兄ちゃんは私に顔を近づけて、 笑った。
葵
葵
真琴
色々な気持ちが込み上げてきて、 思わず涙が溢れた。
真琴
お兄ちゃんは高校生の時の姿のまま、
私の前からいなくなった時の姿のまま 何一つ変わっていなかった。
真琴
葵
葵
真琴
真琴
葵
葵
葵
葵
真琴
真琴
真琴
葵
葵
真琴
真琴
葵
葵
真琴
真琴
真琴
真琴
葵
お兄ちゃんのもとから逃げ出した。
現実に、帰りたくなかった。
あんな親、私が死んだってどうせ 何とも思いやしない。
それに、私は私の意思で
死のうと思い、
赤信号を、渡ったのだから。
コメント
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え、漫画ばりに目開いちゃった(
やったー! あってたー
え、そうだっけ?書いてたっけ?うん?自殺だっけ?あれ?記憶が、可笑しいなぁ?