少年
ったく、姉ちゃんも酷いもんだぜ。
姉の使いで花屋に足を運ぶ。
どうもイケメンがいるらしい。
姉は1度行ったくらいだけど、どうもメアドが欲しいらしい。
で、同性の俺に頼んだって訳。
少年
クラスの女子が騒いでたなぁ。
少年
あの美玖ですら話に混ざってたからなぁ。
同じ高校の同じ2年生。同じクラスのいわゆる陰キャ。美玖。
苗字は確か…由羅(ゆら)。由羅美亜。
でも、話していた時酷く怯えているような表情だった気が…
少年
あ、ここか。
オシャレな外装。こりゃ女が好きそうだと思った。
少年
すみませーん。
青年
はーい。いらっしゃいませー。
少年
(こいつか…)
少年
あの、紫陽花(アジサイ)ってありますか?
青年
ありますよ?何色がいいでしょう。
少年
あー、何色でも。
青年
分かりました。
愛想は良さそうだ。でも、イケメンだからって調子に乗ってたら爆死しろって感じだ。
青年
誰かのお使いですか?
少年
え、なんで…
青年
いえ、紫陽花って言う目的だけで色とかは聞いてきていないんだなぁと。
青年
花に興味のない人がよく言うなんでもですね。
少年
!
こいつ、割と腹黒い。
少年
ふーん。腹黒いっすね。
青年
あはは、どうも。
少年
クラスの女子はきっとフィルターかけてるな。美玖だけつけてないように見えるけど、
青年
美玖…?美亜じゃなくて?
少年
え?
青年
あ、すみません。
少年
美亜?誰だそれ。
青年
えっと…
青年
俺の昔の恋人?
少年
振られたんすか
青年
ううん。病気。
少年
!…なんでソイツと美亜を間違えた…?
青年
んー。どうも俺は前世の記憶があるみたいでさー
青年
信じられないでしょ?
青年
その時の俺の恋人の名前が由羅美亜でさ、
少年
…
青年
美亜って子、もしかして髪が肩ぐらいにある女の子?
少年
そうすけど…
青年
クラス同じなんだぁ…
一気に目が変わる。
少年
!?
さっきまで笑っていた顔。今も笑っているけど目が笑ってない。
だからこそ余計に怖い。
少年
はい。
少年
(動じるな。)
青年
あ、そうそう。話し込んでてごめんね。紫陽花だったっけ。
青年
ちょっとまっててね。
男は「青色」の紫陽花を手にして花束をさっさと作る。
青年
お待たせしました。どうぞ。
少年
どーも、
青年
また来てね。
少年
……うす。
少年
なんなんだあいつは
部屋でベットに寝っ転がって言う。
不敵な笑み
前世の記憶を持つ
怪しげな男
少年
姉ちゃんはアイツのどこがいいんだよ。
怖くて、
怖くて、
美玖が怯えるのも無理もない
きっとあいつの本性を見たからだろう。
少年
そういえば美亜、花言葉がナンタラだって言ってたな。
たしか今日貰ったのは紫陽花。で、青色。
すぐに携帯で調べる。
少年
あ、出てきた。
少年
全般が、移り気、浮気…
少年
うわぁ
ドン引く。流石に。
姉ちゃんに向かってのメッセージだろうか。
少年
ん?青の紫陽花
別にあるそうだ。
それは、