これは5つの魂が消えるまでの物語だ。

ずっと前から決めていた。

頭の中に聞こえる 声がお願いをしている。

人間を復活させろと、 お願いしているから。

人間を大量に埋葬して、 人外が初めて生まれたメメント神殿。

その神殿を壊せば、 人間が復活すると考えた。

だから、声が聞こえる人外を仲間にして 神殿に向かった。

神殿には、神殿を守る少年がいた。

その少年は、警戒心が強かった。

けれど、敵意が無いと分かってくれて。

だから、神殿を壊すのは悪意じゃないと分かってくれた。

それなのに。

幽霊が下を向いて声を震わせる。

堕天使がイカを見る。

悪魔が怯えながら声を出す。

初めて聞いた。

名前の通り、即死する魔法なんだろう。

イカがいつもより低いトーンで 説明する。

神殿を壊せたとしても、 関係ない幽霊が消えてしまう。

いつものように、青鬼達の頭に ノイズが聞こえ出す。

そのノイズは、もう慣れてしまった。

雑音だと感じることもなくなった。

幽霊は4人の人外を招き入れた。

5人の人外が神殿に足を踏み入れる。

幽霊以外の人外は地面が足につく度、 床から少しの黒い怨念が出てくる。

神殿の中は薄暗く、 日が出ているか否かもわからない。

堕天使が昔のことを思い出して 少し顔を顰める。

希望の光もすぐ消える。

さらに暗くなる。

目の前に小さい祭壇が現れる。

幽霊が軽く指でなぞる。

この頭に聞こえる声は、 復活させろしか言わない。

一方的に命令するだけで、 何も助言等はしてくれない。

青鬼が頭を抱える。

青鬼が皆の方を向く。

青い目は覚悟を決めている目だった。

悪魔が目を丸くして青鬼を見る。

青鬼が目を細めて笑う。

青鬼は、周りの人を巻き込みたくない ようだった。

幽霊が少し声のトーンを上げる。

堕天使が青鬼と肩を組む。

堕天使が悪魔の方を見る。

悪魔は少し肩を震わせていたが、 それを手で止めようとする。

堕天使は翼を出して宙に浮く。

悪魔は羽を出して手から火を出す。

幽霊は怨念を実体化して剣を作る。

イカは何本もの触手を出す。

青鬼が能力で両手を強化する。

今、5つの魂が。

消えようとしている。