敵を退けたあとの路地裏ーー
静寂だけがふたりを包んでいた。 恋夏は、うつむいて小さく震えていた
恋夏
(晋助が…私を護ってくれた……)
あたたかい腕が肩を抱き寄せてきた
高杉
……大丈夫だ。もう、誰も来ねぇよ
恋夏の目からふわりと涙がこぼれる
恋夏
……ごめん、私、足が、震えてて…………怖くて……
高杉
……それでいい。怖ぇもんは、怖くていい
高杉は、そっと彼女の頭を撫でる
高杉
……俺は、お前に無理してほしくねぇんだ。時には強がるより俺に頼ることも大事だ
抱きしめられたまま、恋夏は嗚咽を漏らしながら彼の胸元に顔を埋めた。
恋夏
(本当に怖かった……でも、晋ちゃんが護ってくれたから、平気だった……)
高杉
ククッ……さァてと。デートの続き、やるか
恋夏
…えっ……今?!このタイミングで!?
高杉
そういえばお前、団子屋の前で“あれ美味しそう~”って言ってたろ。あんな顔されたら、連れて行かねぇと俺の気がすまねぇ
恋夏
晋助…
高杉
もう絶対に邪魔はさせねぇ。今日は、俺とお前だけ過ごす日だ。約束だ
恋夏は涙を袖でぬぐい、ふわっと笑った
恋夏
うん……行こ?
ふたりは手をつないで、日差しの下へ戻っていく
高杉の手のぬくもりが、彼女の不安を全部、全部、消してくれていた
彼の背中にはまだ少し戦いの名残があったけれど――







