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窓の向こうで桜が揺れている
春の柔らかな風が吹くたびに、薄ピンク色の花びらが一枚、また一枚と、儚く宙を舞い踊る
手のひらすらすり抜けていってしまいそうな、どこか切なくて、だけど息をのむほどに美しい光景
まるで、あの激しかった日々の記憶を優しく包み込んでいくかのように、花びらはきらきらと光を浴びながら地面へと舞い落ちていく
…
あれから、何年経っただろうか
窓の外には、満開の桜が優しく咲き誇っている
まるで昔のアリスみたいに
風に舞う花びらを見つめながら、かつてこの場所で共に過ごした仲間たちの笑顔が、鮮やかによみがえってきた
すまない先生
すまない先生は薄ピンクの花びらがちらちら散る様子を穏やかに見つめ、ふっと息を吐いた
すまない先生
周りの音も聞こえなくなるような優しい時間
しかし…
すまない先生ー!!!ちょっとこっち手伝って! わー!!先生ヘルプだー!! 窓なんか見てないで助けて!
穏やかな時間は、背後から聞こえたにぎやかな声によって終わりを迎えた
すまない先生
すまない先生はもう一度だけ窓の奥の景色を振り返り、そして声のする方向へと歩いていった
数年後のここは、数年前の破壊が嘘のように綺麗に建て直されていてあの事件を包み隠すようになっていた
これは、あの事件から数年後の彼らのお話である
すまない先生
すまない先生は少し早歩きで地面を蹴る
どこまでも続くと錯覚させるような長い廊下を進んだ先でにぎやかな声の主達が判明する
ピクシー
すまない先生
睡晶病 症状: 眠ると氷の繭に包まれる。眠りに落ちた瞬間、ベッドの周りから冷気が立ち込め、患者全体が美しい氷の塊や、氷の結晶に覆われて完全にカプセル化してしまう。周りにも被害がでる しかし溶かせば問題なし。
すまない先生
すまない先生
ピクシー
すまない先生
ピクシー
ピクシー
半分キレながらもピクシーは氷を溶かしていく
その姿をみたすまない先生は、彼女の成長を感じると同時になんだか寂しさを覚えた
すまない先生
すまない先生
そんな事を思いながらすまない先生は次の声の主の元へ走り出した
天使病患者
天使病患者
ノエル
ノエル
ノエル
ノエル
天使病患者
天使病患者
ノエル
すまない先生
そう言われたノエルは少し照れくさそうに微笑んだ
ノエル
すまない先生
ノエル
すまない先生
すまない先生
天使病患者
ノエル
すまない先生
ノエル
ノエルは患者に向き直り、そっと頭を撫でた
ノエル
天使病患者
天使病患者
ノエル
ぐっ、とガッツポーズをしてノエルは手を振り、病室を出た
僕もノエルのあとについていく形で病室を出る
すまない先生
確かに彼女の病気は進行していた
人形病患者
人形病患者
人形病患者
人形病患者
人形病 症状: かかると体が時間の経過とともに人形に変化していく。まずは髪の毛が伸び始める。次に、体の硬化がゆっくりと始まる。そして体の節々の人形化。そんな人形になる過程を済ませたら、確実に人形へと変化してしまう奇病。人形に変わってしまえば話すことも、呼吸する事も出来なくなり、人形として過ごしていく
すまない先生
すまない先生
彼女の体は節々が人形の手足を曲げる部分に変化し、体も硬化してきている
治療方はまだ見つかっていない
しかし確実に奇病の進行は進んでいた
すまない先生
人形病患者
人形病患者
ノエル
ノエル
ノエル
ノエル
人形病患者
ノエル
ノエル
ノエル
ノエル
ノエル
人形病患者
人形病患者
すまない先生
ノエルは昔アリスが声をかけていたみたいに、優しく、明るく声をかけていた
本当に彼女の面影が残っている
すまない先生
すまない先生
人形病患者
ノエル
人形病患者
少しは落ち着きを取り戻したのか、患者は彼女が好きである読者をしだした
すまない先生
ノエル
人形病患者
2人は今後について話しながら病室を出ていった
すまない先生
すまない先生はいすに深く腰を掛ける
すまない先生
すまない先生
一度心を落ち着かせるために、彼の机の端っこにおいてある、写真立てに目をやる
まだみんなが生きている時に撮った、集合写真
アリスも、サリンも、ミーシャも…たくさんいる頃の写真
すまない先生
ノエル、ピクシー、Mr.赤ちゃんは先生になりたいと言って聞かないものだから医学を叩き込んで、医者にしてやった
本当に今は立派な医者だ
すまない先生は、今いる生徒のような子達の顔を一人一人思い浮かべる
まるで、心のなかでアリスや他の人に彼らのことを伝えるように。
ノエルは髪をポニーテールを結んでオトナっぽさを感じさせる見た目になった
声も落ち着いて、本当にアリスの子どもの様な雰囲気を漂わせている
この病院に他の天使病患者が来たときは、少し複雑そうな顔をしていたけれど今は患者の心に寄り添えるように必死に動いている
そしてピクシー
彼女は奇病が治った。アリスから託された物のおかげで
数年前、すまない先生はピクシーに、託されたものを渡した時、ピクシーは泣いて嫌がっていた
それは無理もない。なぜなら、すまない先生が彼女に渡したのは元天使病患者…そう、アリス先生の血液だっから。
それを聞いた時、本当にピクシーは苦しそうで悲しそうで、胸が締め付けられる思いをすまない先生はしていた
だけれど瓶と添えられた手紙を彼女が見たとき、何かを迷っているように病室へと行ってしまったのだ
でもその日の夜、職員室に来て、これを飲む、と言ってくれた時のことは未だに忘れられない
手紙に何が書いていたのだろうか。未だにピクシーは読ませてくれないけれど、きっと彼女の心を揺るがすような言葉が綴られていたのは確かだ
彼女は瓶を一気に飲み干し、咳込んだのかと思ったら彼女の背中に美しく生えていた羽が粉のようにハラハラと崩れ落ち、なくなってしまった
その後は血液検査をして、いろんな他の検査もして、蝶々病が完治したと確信できた
カルテ 名前 ピクシー 16歳 病名 蝶々病 症状 背中から蝶の羽が生えてくる病気。最初は背中に電気が走るような痛みがする程度だが、日が立つと蝶の羽が生えてくる。この奇病を患っている患者の寿命は何故か長い。そして羽に栄養を吸われてしまう。10歳になると羽の成長が止まり空も飛べるようになる。羽の成長は止まってもずっと栄養を吸われるため毎日のメンテナンスが必要。 羽についている粉を水ですべて洗い流したら本人は死んでしまう。ただし、粉が少しでも残っていた場合は一命を取り留める。安静にしていればまた羽が粉に覆われる。 治療法は見つかっていない。 追記:治療法は、元天使病患者の血液を飲むこと
こんなカルテが出来上がり、また一つ奇病について知識をつけられた
今は医者として頑張っている
次はMr.赤ちゃん
彼の奇病は少しずつだが、治っていっている
何故だろうか?まだその原因は掴み取れていないが、彼の力は確実に弱くなっていっている
相変わらず手袋はしたままだが、お陰で無茶をして体が傷つく、というのは減っていった
今は医者として頑張っている
すまない先生
ガタッ
すまない先生は椅子から降り、ゆっくりと立ち上がる
すまない先生
そして彼は食堂へと足を進めていった
今まで紹介してきた人の残り
あと、2人。彼の大切な患者
すまない先生
すまない先生
すまない先生
すまない先生は食堂のキッチンの中に入って彼の名前を呼ぶ
Mr.バナナ
Mr.バナナ
はて?と首を傾げるバナナ
彼は病院を退院しても行くところがないらしく、ここで料理人として働いている
彼の作るご飯は患者たちに好評で、特にバナナスムージーが人気メニューだ
今はお昼の時間ではないので、食堂には2人きり
すまない先生
そうすまない先生が言ったあと、バナナは短くため息をついた
Mr.バナナ
Mr.バナナ
逆に楽しいくらいです、とバナナは付け加えた
すまない先生
すまない先生
すまない先生
よしよし、とすまない先生はバナナの頭を撫でまわす
Mr.バナナ
バナナはそういうも、顔はまんざらでもなさそうだった
すまない先生
すまない先生
すまない先生
Mr.バナナ
Mr.バナナ
Mr.バナナ
ほらほら、とバナナはすまない先生の背中を押す
すまない先生
あえて抵抗することなく、彼はキッチンの外に出された
すまない先生
彼は嬉しそうに微笑みながら食堂から出ていった
男子専用部屋
すまない先生
Mr.レッド
部屋の中には、横たわるレッドとその上に小さい患者たち2人が乗っていた
彼が向かった先は男子専用部屋
数年前もこの部屋を使っていて、今でもこの部屋は患者達に人気なのだ
涙星病患者
花咲病患者
小さい患者達の面倒をレッドは見ていてくれていた
彼は奇病がある日突然治り、急に動けるようになった
なぜなのか、それには先生も分からない
突然変異したのか、それとも奇跡が起きたのか…真相は謎に包まれていた
すまない先生
すまない先生
Mr.レッド
Mr.レッド
すまない先生
彼は奇病が治ったものの、寿命が縮まりあと数年の命なのは変わらなかった
いつ死ぬかもわからない。明日かもしれないし、今日かもしれない
Mr.レッド
そう、彼は医者になることを寿命が短いという理由で断念した
そのかわり、小さい患者の相手をしてもらっている
Mr.レッド
Mr.レッド
すまない先生
すまない先生は目頭を押さえた
患者から言われたら嬉しい言葉をダイレクトに受け取ったから
すまない先生
Mr.レッド
彼は慌てたような声を出す
涙星病患者
花咲病患者
すまない先生
すまない先生
すまない先生
花咲病患者
涙星病患者
Mr.レッド
すまない先生
すまない先生は部屋の扉をスライドさせ、外に出る
彼が次に向かったのは外
あの大きな桜の木の下に足を運ぶ
ふわり、と風が吹いた
吹いた風は彼の頬を優しく撫で、どこかへ流れていく
すまない先生
すまない先生
すまない先生
すまない先生
彼は桜の木を見上げながら優しい口調で語りかける
花びらがちらちらと花吹雪のように舞い、地に軽く落ちる
すまない先生
ふっ、とすまない先生は目をふせる
すまない先生
すまない先生
すまない先生
彼は目を開けた
そして、ふわりと微笑む
すまない先生
彼は、彼の仲間が待っている病棟内へと歩みしていった
残された桜の木が風に揺れ花は儚く散っていく
まるで彼らがまたここへ来るのを待ちわびているかのように
奇病を持っている僕たちは
閉幕
コメント
7件
うわーん!!(TOT)(TOT)(TOT)(TOT) 超絶に感動しましたぁ~!!(TOT)(TOT)(TOT)切なくて尊くて絆溢れるいい作品でしたよぉぉぉ!!最高な作品を生んでくれてありがとうございました!!
うわぁ...最高の結末... めっちゃ沁みた.... 長年の長編!お疲れ様でした!!
ノエル、ピクシー Mr.赤ちゃん、バナナ、レッド達は、これからの奇病患者達を支える側になったんですね。みんな立派になって。 すまない先生は、かつての患者達とともに、奇病研究を続けていくんですね。奇病の原因がいつか解明され、みんな幸せになれるといいと願わずにはいられない感動の最終回でした。夢羽さん、素晴らしい物語ありがとうございました。