テラーノベル
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マネーが死んだ
奇病の進行が進んだから
先生達にはどうしようもできなかった
何故なら奇病はこの世界で発症する人が限りなく少ないから
治療薬もない、治療法もない、発症例が少なく対処法もない
『奇病』はまさに神がよこした人体の災害
奇病は発症しても命を奪うほどではない奇病より、命を危険に晒す奇病の方が圧倒的に多いらしい
奇病のせいでどれ程の罪なき人々が死んでいったのだろうか
奇病を治す術があれば、どれ程多くの人を救えただろうか
勿論発症例が少ないため、マラリアやコロナの様にニュースに出るほどの死人が出る訳では無いが
奇病が無くなれば、どんなにいいことだろう
すまない先生
アリス先生
サリン先生
重苦しい静寂が流れる
余りにも圧迫した空気だ、体が押しつぶされそうな程に
すまない先生
すまない先生が震える声でそう話した
サリン先生
アリス先生
アリス先生
すまない先生
すまない先生
すまない先生
すまない先生は誰も見たことがないような、優しくも悲しい笑顔で話を進めた
サリン先生
サリン先生
サリン先生
そういってサリン先生は少し早足で放送室に向かっていった
アリス先生
すまない先生
アリス先生
涙を浮かべてそう話すアリス先生を見るとすまない先生は心が締め付けられたように感じた
すまない先生
すまない先生
すまない先生
アリス先生
ミーシャに続けてマネーの死
これを期に、さらに2人の医師としての決心が強まったのだった
患者達がマネーの病室に集まった
薄暗い電気の下、みんなの表情はもっと暗かった
すすり泣く声、マネーの名前を呼ぶ声など、様々な声が飛び交っていた
しかしどれも明るい言葉なんて含まれてはいない
みんなマネーの死を悲しみ、後悔し…傷ついていた
勿論 先生達もだ
なぜ、彼が死なないといけなかったのか、なんて神様にしかわからない
しかしマネーがミーシャの様に、苦しみながら死んでいったのとは逆で穏やかな死を迎えたのは、まだ救いだっただろう
棺桶に眠るマネーは普段寝ているマネーの寝顔だった
もしかしたら眠っているだけなのでは?起きてくれるのでは?という思いがまだ心の底から消えない
無情な現実を目の前にしてもやはり希望を抱いてしまう
マネー、さようなら
せめて…天国ではミーシャと仲良くしてね
その言葉を出すのでやっとだった
マネーを天国へ送った後、患者の心のケアのために少し話し合いをした
最初は皆悲しみで言葉を出せなかったが、時間が経つにつれて話し声も増えてきた
僕達が話した内容は「ここで過ごしていて楽しかったこと」
話せば話すほど思い出が蘇る
流しそうめんをしたり、ハロウィンをしたり、外で楽しく遊んだり…
こんな事もしたな!と言うほどの昔話まで出てきた
数時間まえの表情よりも少し、皆の顔は明るくなった気がした
また1つ命の灯火は消えたが、まだ9つの小さな灯火が灯っている
その灯火を消さないように…医師たちは奮闘する
星が瞬く美しい夜のこと
皆は悲しみに暮れ、布団に潜り込み静かな夜を過ごしていた。だけどある2人の患者はだけは、外の星空を眺めていた
悲しみを癒すためでもあるが…やはり奇病が関係していた
ピクシー(蝶々病)
ピクシー(蝶々病)
ピクシー(蝶々病)
ピクシー(蝶々病)
ピクシーのまるで妖精のように美しい羽が月の光で光を放っていた
ピクシー(蝶々病)
窓の向こう側の星空を見つめ、胸の痛みを癒やしている
窓を開けているから、外から来る風がとても心地よい
ピクシー(蝶々病)
その言葉を発したと同時にピクシーは窓の鍵部分に手をかけ「よいしょっ」と言いながら窓の枠部分に座る
そして窓から身を投げて___
空を飛んだ
本物の蝶よりも美しい羽を羽ばたかせて自由自在に飛べるピクシーの姿はとても美しい
ピクシーは空中でくるくると体操選手並みに回ってみたり、ジェットコースター並みの速さで飛んでみたり…を繰り返していた
数分間病棟から少し離れた場所で飛び続け、その後すまない病棟に距離を近づけた
そして自身の病室に戻るかと思いきや、病棟の壁を手でなぞるように左に少し飛んでいき、ある病室の窓の前で止まった
ピクシー(蝶々病)
ピクシーの瞳に映るのは窓を開け放って月の光を浴びている月光病持ちのバナナだった
Mr.バナナ(月光病)
Mr.バナナ(月光病)
バナナは目線を少しあげて星を眺める
ピクシー(蝶々病)
ピクシー(蝶々病)
ピクシーは飛ぶのをやめ、バナナの部屋の窓の枠に着地した
その光景は月の光と交わり、まるで天使が舞い降りたかのような光景へと変化する
Mr.バナナ(月光病)
Mr.バナナ(月光病)
その言葉を聞いてピクシーはハッとした
ピクシー(蝶々病)
よくよく考えてみるとピクシーは毎日のようにバナナの部屋に行き、長々と話していた
Mr.バナナ(月光病)
Mr.バナナ(月光病)
ピクシー(蝶々病)
ピクシー(蝶々病)
ホッとしているとバナナは立ち上がり窓際に近づいた
そして月を眺める
ピクシー(蝶々病)
突然ピクシーが「あ」という声とともに眉をピクッと動かせた
Mr.バナナ(月光病)
ピクシー(蝶々病)
Mr.バナナ(月光病)
一瞬だけ、バナナの顔が強張ったように見えたが気のせいだろう
ピクシー(蝶々病)
ピクシー(蝶々病)
Mr.バナナ(月光病)
Mr.バナナ(月光病)
淡々とバナナが話す
ピクシー(蝶々病)
知りたがりやのピクシーはバナナにもっと興味を持ったのか様々な質問を投げかけた
バナナは「またか…」と思いながらも真剣に質問に答えている
また夜にも活動する患者の特別な時間が進んでいくのであった
くるくると回る歯車みたいに
コメント
4件
「神がよこした人体の災害」……その通りすぎる…夢羽の語彙力が凄すぎる…天才…いや神ですか? 最後の夜の場面の表現も自分がそこに居るかのような気分になってしまう……いや神だ!! 立て続けに友達が亡くなっちゃうのは悲しすぎるよね…なんで奇病はあるんだろうか… この病院でハロウィンとか流しそうめんとか、喋ったりしてるのが楽しそうだから…このまま続けばいいのにな…
君は天才かな?天才だね!←??? 語彙力すげぇ( ゚д゚) 最後の歯車ってところ…なんかありそう 続きが気になる〜(っ ॑꒳ ॑c)