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あーあ。もうやんなる

サミュエル

こちらこそ

2人は会話もそこそこに、ただ戦い続けていた。

サミュエル

(今)

と、手を掴んだ瞬間、如意棒のようなものは伸びてサミュエルを攻撃する

サミュエル

いだっ

 

だからここ、魔法使える国なんだって

 

つーか…

女はじっとサミュエルと目を合わせた

 

私はおそらくあなたに勝てないでしょうから

 

これ以上はやりたくないかな

サミュエル

へえ?

サミュエル

(まあそれはこっちも似たようなものなのだけど)

2人は相性が悪かった

サミュエル

(あっちは攻撃系の魔法、だけど俺は防御できるし)

サミュエル

(なんならこの子の攻撃方法に、俺は特化した護り方だ)

サミュエル

(…そして、逆もまた然り。)

サミュエル

(まあ…いわば魔法同士のアンマッチ、的な)

サミュエル

(となると知能だけど…)

2人は同時に、乾いた笑みを浮かべた

なんとなく、分かっていたからだ

サミュエル

(戦いの結末を決めるのは俺たちじゃない────)

サミュエル

(俺たちはただ互いをどこかへ行かせず引き止めるためだけに戦う)

ダン、と音がして、パッと振り返る

 

…そろそろかしら

サミュエル

(俺たちはアメリアとクロエの作る結末に従う他ない)

アメリア

…っ敗けを、認めろ!

ハロルド

やだ!!!!!

床に叩きつけられたハロルドは、アメリアの腕をグッと抑える

しかしその魔力は散漫しているのか、力がこもっていない

 

…ダメね

 

ハルはこと昔の知り合いのことになると、精神が安定しないもの

ハロルド

降参はしない!アメリアが僕を殺せ!!!

ハロルド

それで…っアメリアが僕のことも抱えて生きればいい!

アメリア

はあ!?やだよ!!

アメリア

苦しんででも生きろ!それが…っ償いだろ!

ハロルド

僕にはできない!!!

ハロルドはギリ、と歯を慣らし、アメリアに魔法を放つ

アメリア

…っ本気で、言ってんのかよ…っ

アメリアは白い銃を上に向け、2発撃つ

ハロルド

は!?

アメリア

はい、もうない!終わり終わり!

ハロルド

なっ…!じゃあ僕がお前を殺すぞ!

アメリア

無理だろもう、ボロボロじゃん

ハロルド

…っ、で、でもぉ!

クロエ

ん〜…そっかぁ〜……

クロエのそんなくぐもった声がして、思わずサミュエルは振り返る

サミュエル

っえ

先ほどまで縛られていたはずのクロエは、いつの間にか

ぐり、とアイザックを壁に押さえつけ、胸ぐらを掴んで引き上げる

 

アイザックは額から血を流しながら、いつも以上に曇った瞳をしていた

そして

サミュエル

サミュエルは息を呑んだ。

クロエは仕込んでいた銃を取り出すと、スッと地面を滑らせる

ハロルド

…っクロエ、様…っ

クロエ

初めて見るような真剣な眼差しで、クロエはハロルドを見つめていた。

ハロルド

…ありがとう、ございます。

ハロルド

………ねえ、アメリア。

アメリア

…なんだよ

ハロルド

あなたは僕の先生だった

ハロルド

でも今

ハロルド

僕をより知っているのは、クロエ様だ。

アメリア

…だから、なんだ

アメリア

私は…お前のことが分かったからと言って全部を認めたりしない!

アメリア

ダメなところはダメだと叱る!それが…先生だろ?

ハロルド

うん先生。でもあなたの生徒は…ずっと、"亡霊"だ。

ハロルド

僕はハルちゃんが死んでから、ずっとずっとずぅっと、息をするのが怖い。

ハロルド

…苦しいんだよ

ハロルド

僕を救ってくれたハルちゃんを見殺しにしたままぬけぬけ生きることが。

アメリア

違う!

サミュエル

(…アメリアの焦燥がひしひしと伝わってくる)

サミュエル

(分かるよ。だってハロルドは今既に────)

ハロルドは素早く銃を構える。

アメリア

っおいバカ止まれ!!!!

アメリアは癖で銃を取り出し、迷いなくハロルドの手元を撃つ

否、撃とうとした。しかし。

アメリア

…っ

サミュエル

(さっき全部…無駄撃ちして、)

ハロルドは微笑む。

アメリア

バカ!!!!!

アメリアはハロルドの方へ手を伸ばし、飛びつく

パンッ

そのとき、無機質で無慈悲な、慣れ親しんだその音がした。

アメリア

…っ…おい!!!ハロルド!!!!バカハロルド!!!!

クロエ

アメリア

アメリア

っあ!?なんだよ!簡単に人を殺しておいて!!!!

クロエ

殺し…まあ、そうかもしれないね

クロエ

でも仕方ない事だった。

クロエ

…彼の終着点はここでしかない。

サミュエル

(そう、ハロルドは既に、人生の幕を下ろし始めていた。)

サミュエル

(俺たちはその意志の下で動けなかった。でもアメリアは違う───)

アメリア

そんなわけない!!!!

アメリア

私が…私たちが、止めてやらなきゃダメだったんだ!!

アメリア

それを、お前は…っ……ッ

サミュエル

(アメリアも、分かっているんだろう)

サミュエル

(あれは止められない意志だった)

サミュエル

(…それでも、分かっていても、止めたかった。)

サミュエル

(そういうアメリアの、矛盾するような…ハロルドへの愛情だった。)

銃口の先のエンディング

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コメント

4

ユーザー

お互いに相性が悪いことを察知して足止め係として戦う……それは仲間がやり遂げてくれることを信じて戦ってる、ってことだよね……🙄💭 え……アイザックくんがクロエ様にやられてる……?アイザックくんですら敵わないってどんだけ強いのよ…… 最初からハロルドくんは死を待ち望んでいたんだ……だからあんなにアメリアさんに「殺 せ」と言っていたんだ……ハロルドくんのアメリアさんに対する愛もアメリアさんの

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