蘇枋
蘇枋
病院から退院した 桜君は、 学校の場所を知らないと言うので、 俺と一緒に登校していた。 桜君の記憶が無い間、 俺は暫く桜君の家に 泊まる事にしたので、 何方にせよ一緒に 行くことになっていた。 朝の風が優しく吹く中、 俺たちの騒ぐ声が 街の騒音にかき消されていた。
行く先々で、 桜君のことを心配した 商店街の人達が、 色々な食べ物をくれた。 何が何だか分からない桜君は、 混乱する頭で 商店街の人達から 荷物を受け取っていた。
喋りかけられる度にビクついては、 逃げようとする桜君の 腕をがっしり捕まえ、 確実に1歩ずつ学校に行く道へと 前進していった。
桜
桜
蘇枋
桜
沢山の荷物を抱えながら、 ブルブル黙って震えていた桜君だが、 等々我慢の限界に達したのだろう。 声を荒らげ反撃してきた。 その姿はまるで、 初めてあった時の様で、 恋人となった後の姿とは 重なって見えなかった。
蘇枋
蘇枋
蘇枋
桜
俺がしっかり握っている方の 腕をブンブン振り、 俺から逃れようとする桜君。 せっかく貰った食べ物が落ちちゃうよ? と、諭すと、黙りこくって 腕を振らなくなった。
蘇枋
桜
桜
蘇枋
桜
蘇枋
ここぞとばかりにニッコリ した顔をすると、 桜君の何かのスイッチが入ったのか 俺を敵と認識したのか、 桜君の目は、 激しく俺を睨んだ。
桜
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
蘇枋
桜
桜
蘇枋
蘇枋
桜
桜
桜
どんな顔を俺はしていたのだろうか。 先程まで敵意を むき出しにしていた顔は、 幼子を納得させる様な 優しい顔になった。 口調もぶっきらぼうながら 少し優しく感じた。 自身の問題。 そう俺に言い聞かせる桜君は やはり俺の恋人 桜遥なんだと思い知らされた。
蘇枋
桜
蘇枋
平然を装いそういう俺に 桜君は 顔中真っ赤に火照っていて、 「ば、ばっかじゃねぇのっ!!?」 っと叫びあげ、 街中を走っていった。 記憶のない君を 1人にするわけには 行かないので 全速力で掛けてゆく 桜君の背中を必死に 追いかけた。
こんなに慌ただしい朝を送るのは一体 何時ぶりなのだろうか。 そう考え、 走りながらも少しの笑顔を 零したのだった。
蘇枋
桜
桜
蘇枋
蘇枋
桜
街の人から貰った食べ物等を ぱくりと頬張りながら 教室のドアの前で ちょっとした言い合いをした。 ドアを開けると言う俺に 返事をした桜君は、 少し教室が怖いと、 そう目を下に向けた。
蘇枋
楡井
蘇枋
蘇枋
焦っていた、 バタバタしていたからといって 桜君の容態を詳しく伝えていなかった 俺に、少しのため息が出た。 こんなんじゃ、 君を安心させて あげられることが出来ないと、 そう自分に失望した。
桜
蘇枋
楡井
グズりと目に涙を貯めながら 鼻水を啜るにれ君。 そんな勢い余るほど大声を上げた にれ君に続き、 クラスメイト達は次々と桜君と 俺の周りを囲って言った。
周りから聞こえてくる声は 「大丈夫だったか!?」 「怪我の跡が残るって事は無いよな!?」 「心配したんだぞぉ桜ぁ〜!」 という暖かな声ばかりだった。 思わず飛び退き俺の後ろへ 下がった桜君に クラスメイト達は 顔を見合せながら 頭を傾げていた
蘇枋
蘇枋
蘇枋
桜君は 何に対して謝っているのか分からない という顔をしながらも 俺の後ろに隠れていた。 クラスメイト達も 困惑の表情を露わにし、 俺へと視線を集めた。
蘇枋
蘇枋
楡井
蘇枋
蘇枋
桐生
蘇枋
俺の後ろに隠れながら 警戒した目で周りをぐるりと 眺める桜君。 クラスメイト達の 優しさ溢れる顔を見て、 少し脅えた顔を見せた。
楡井
蘇枋
桜君の容態に クラスの皆が顔を見合せ、 気まずげに、 尚且つ信じられないとでも言うように 俺を見つめた。 クラスに辛気臭い空気が流れ、 誰1人として 言葉を発せようとしなかった。
俺の後ろにいる 等の本人は 顔をキョロキョロさせ、 やはり不安げに俺の顔をみた。 威勢はあるものの、 少し弱気に なっている桜君は、 入学当初にあった 君とは別人の様だった。
楡井
楡井
桜
にれ君の勢いに 少し気押されている 桜君。 クラスメイト達も にれ君に続き 次々声をかけて言った 自己紹介をしたり、 思い出について 語ったり、 先程まで静かだった教室が、 すぐに賑やかさを取り戻した。
教室の中心へと 引き連れられた桜君を 安心しながら、 端の方で見つめていた。 オドオドと押さなさを 放つ桜君は 混乱しながらも クラスメイト達の 話を真剣に聞いていた。
記憶の中の君は、 今何歳くらいなんだろうか。 ふとそう考えた。 壁側で姿勢をピシリと 立っている俺の元へ、 ひっそり桐生君が近ずいてきた。
桐生
桐生
蘇枋
蘇枋
蘇枋
桐生
桐生君が見せる表情は 普段見せない様な 悔しそうな表情だった。 スマホを片手に画面1つ開かず、 真剣に俺の話を聞いていた。
桐生
蘇枋
きっとこの苦痛は 誰にも言えないまま 墓場まで持って行くのだろう。 何時も俺の様子に 気づいてくれる人は、 今やその記憶も無き人なのだから。
桜
蘇枋
桜
蘇枋
騒ぎの中心に居たはずの 彼は、気づけば影に居る俺の 元へ走ってきて、 手をさし伸ばした。 この光景に 懐かしさを感じたのは 俺の心が狭いからだろうか。
コメント
9件
バケツとバスタオルっていくらします?涙が止まんなくて……
蘇枋さんだってまだ頭追いついてないと思うのに桜のことを1番に思って"付き合ってる"このことを言わないという選択をできたのが本当に大人で冷静に判断できる人だなと思いました😭 切なくてもどかしいけど蘇枋さんと桜に幸あれ
蘇枋さんの優しさが切なさにも感じ取れるの最高です。桜のことを優先に思ってるの本当に好きだからなんだって思うとちょっと悲しいです………