六回目の日曜日
数少ない荷物をまとめて
玄関で待っている二人の元へ
特に仲良くしていた子はいなかった
話し掛けてくれる子はいたけれど
他の子との接し方がわからず
ここを出ていくことになった今も
"さようなら"と言う言葉さえ出てこなかった
樋口(職員)
美結
職員さんが荷物を持ってくれた
階段をかけ降りた先にいっちゃんがいて
美結
郁美
嬉しくていっちゃんにしがみつくと
たっくんが優しく頭を撫でてくれた
美結
そのままたっくんにもしがみつくと
たっくんは嬉しそうににっこり笑って
拓郎
そう言ってまた頭を撫でてくれた
郁美
沢村(職員)
樋口(職員)
拓郎
樋口(職員)
美結
たっくんは私を抱き上げて
車の後ろの席に乗せてくれた
私のために取り付けられたチャイルドシート
その隣にいっちゃんが座る
拓郎
郁美
ここに来てから約一ヶ月半
寂しくて眠れない日もあったけれど
これからはもう寂しくない
私のそばにはいつも
いっちゃんとたっくんがいてくれる
拓郎
車が発進してしばらくして
ほんの少しだけドキドキして
いっちゃんの手をぎゅっと握ると
いっちゃんもそれに気付いて握り返してくれた
郁美
郁美
拓郎
郁美
拓郎
拓郎
拓郎
美結
たっくんの優しい言葉に
心の奥にあった不安な気持ちが
少しずつなくなっていく気がした
途中でコンビニに寄って
たっくんがお昼をを買ってきてくれた
郁美
美結
拓郎
車の中でおにぎりを食べて
ペットボトルの麦茶を飲んだ
ほんの少しお茶をこぼしてしまって
美結
怒られるかと思ったけれど
拓郎
郁美
いっちゃんがにっこり笑って
郁美
拓郎
拓郎
郁美
拓郎
たっくんも笑って
私もつられて笑った
郁美
拓郎
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家族がほしくなる