TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

第三話

第三話:この距離、もっと近くてもいい? その夜、俺たちは言葉少なにテレビを見ていた。 陽翔の手は、まだ俺の手を軽く包んでいる。 指先が触れているだけなのに、熱い。どきどきする。うるさいくらいに心臓が鳴っているのに、陽翔は落ち着いて見える。 「ねえ……陽翔、さっきの……本気だった?」 沈黙を破ったのは、俺だった。 陽翔は、こくんと小さく頷いた。 「……本気。ずっと、透のこと気になってた。でも、友達っていう関係が居心地よくて……壊したくなかった」 その言葉が、胸の奥にしみこんでいく。 「……俺も、だよ」 「そっか……」 ふたりして照れくさそうに笑う。 ソファの上で肩が触れ合う。呼吸が近い。距離も、想いも、もう後戻りできないところまで来てる気がした。 「……陽翔」 俺が名前を呼んだ瞬間、陽翔がそっと顔を寄せてきた。 一瞬、目が合って——そして、静かに唇が触れた。 ちいさなキス。 でも、深くて、あたたかくて、ずっと欲しかったもの。 「……っ、///」 俺は思わず息を飲んだ。陽翔は、額をくっつけるように近づいてくる。 「嫌なら、やめる」 「……やめないで」 ようやく言えた、その言葉に、陽翔の腕が俺の腰をそっと引き寄せた。 ふたりの呼吸が重なる。肌が触れる。 ああ、これが——“恋人”ってやつか。 *** 夜遅く、陽翔が淹れてくれたカモミールティーを飲みながら、俺はふと思った。 「これから……どうなるんだろう、俺たち」 「さあ。でも、ひとつだけ言えることはある」 陽翔は笑って、俺の髪を優しく撫でる。 「透が隣にいる未来しか、俺にはもう考えられない」 *** 不安はある。言葉にできない想いも、まだある。 でもそれでも——この手を、離さなければいい。 このシェアハウスは、もう“ふたりの家”だ。

第三話終了

次の投稿では

第四話です

ではまた。

オリジナルBL小説。『となり、少しだけ君に近い。』

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

35

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚