真那
はぁ、はぁ、はぁっ

真那
ぐっ、、、

真那
ちっ、クソ野郎がっ

月明かりも無い漆黒の道を
息も絶え絶えに俺は走った
真那
正体見るまでっ死ねるかよ…

真那
ぜぇ、ぜぇ、、ぜっ

真那
げほっっ

真那
ちっ、、、くしょう

血反吐塗れで倒れた俺の上には
見慣れたはずの桜並木
煉獄
…の呼吸……

真那
(何の音だ、、それにこの断末魔、、まさかやっぱり…)

真那
おに……

真那
げほっげほっっ、、はぁ、はぁぁ

煉獄
大丈夫か!

煉獄
いかん!発作か何かか、吐血しているっ

真那
うるせぇ、ほっとけば死ぬ…げほっ

煉獄
取り敢えずこの気付け薬を飲め、多少は落ち着くはずだ。

真那
だからっ、ほっとけ…んぐっ!!

煉獄
すまんが無理矢理飲ませたぞ!

真那
げほっ、はぁ、はぁ…

真那
はぁ…………

煉獄
うむ!効いた様だな!流石は胡蝶の薬だ!改めて礼を言わなければならないな!

真那
何をぶつぶつ、、、勝手に訳わかんねぇもん人につっこみやがって…

その男は見慣れない格好をしていた
おそらく派手な髪色と強い目力
そして何より
雲が晴れた月明かりの中見えた
炎の様な羽織が目に焼き付いた
煉獄
少女!名前は?
俺は煉獄杏寿郎だ
鬼狩りをしている鬼殺隊の一員だ

真那
名前なんてどうでもいいだろ
それより、杏寿郎、

煉獄
!うむ!

真那
あれが鬼、なのか

煉獄
あぁ、人を喰らう鬼だ

煉獄
この辺りを荒らしている鬼がいると情報が入って、俺が来た

煉獄
鬼は倒したが、間に合わなかった子供達がいる…

煉獄
…

真那
近所のばばぁ達が言ってた鬼、本当にいたんだな

真那
ははっ

煉獄
どうした?

真那
そんなのいる訳ねぇだろって
追いかけてみたけどよ

真那
クソ野郎共もたまにはマシな事言ってたんだなっ!ははっ!

煉獄
それを確認する為だけに追いかけてきたのか、血を吐いてまで

真那
気になったまま死ぬのは勘弁だからな

真那
ま、しっかり見る前に杏寿郎が殺しちまったが

煉獄
恐れないのだな、その…

煉獄
やはり名前を教えてはくれないだろうか!話し辛い!

真那
うるせぇよ、俺は帰る

煉獄
それはいかん、俺が送っていく
俺にもしなければならぬ事があるしな

真那
杏寿郎、五月蝿いって言われるだろ

煉獄
五月蝿いとは言われないなっ
声が大きいとは言われるがな

煉獄
何故だろうか、聞こえやすいのは良い事だと思うのだが

煉獄
それを聞くとまた声が大きいと言われてしまうのだ!切りがなくてなっ

真那
…ついて来んなよ

俺は顔についた血反吐を拭いながら
桜並木の中歩いた
杏寿郎は少し後ろを歩いていた
俺を送るのもあるんだろうが
煉獄
ここが、、、

真那
家なんてもんじゃねぇけどな

真那
遊郭の端の端

真那
親に捨てられた奴らが自然と集まって寝床にしてた

煉獄
それはもう家族だ…

真那
違う

真那
現に俺は何とも思ってない
明日死んでもおかしくない奴らばかりだ

真那
杏寿郎が間に合っててもいずれ死んでたさ

煉獄
……

真那
さぁ、杏寿郎はもう帰れ

真那
他の鬼でも殺しに行け

煉獄
…いや

真那
あぁ?

煉獄
やる事があると言っただろう

煉獄
早くしなければっ

真那
あっ、おい杏寿郎!

そのはずだった俺の人生は
桜並木の炎が焼き付いたこの日から