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敦
乱歩さんから頼まれた資料の届け物
一人で出掛けようとした私に敦くんがひょいと顔を出して声をかけてくれた
彼は自分の後頭部を少し照れくさそうに掻きながら私の手元にある重いカバンに手を伸ばす
敦
敦
二人で歩くヨコハマの街並み
敦くんは私の歩調を気遣いゆっくりと隣を歩いてくれる
彼は自身もかつての過去があるからか私の欠落に対して誰よりも繊細に寄り添ってくれた
凛
ふと漏らした言葉に敦くんの足が止まった
彼は悲しむのではなくただ真っ直ぐに私の瞳を見つめた
敦
敦
敦
凛
敦
敦
敦くんは鞄を握り直し少しだけ前を歩き出した
敦
敦
敦
凛
敦
敦
敦
敦
敦くんの言葉は乱歩さんの記憶とはまた違う
血の通った温かな救いだった
自分の輪郭が消えていく恐怖が彼の「何度でも出会えばいい」というひたむきな明るさに照らされて少しだけ軽くなった気がした
凛
敦
敦
敦くんの笑顔に誘われるように私は一歩踏み出した
消えていく過去を嘆くより今この瞬間隣で笑ってくれる仲間がいること
その幸せを私は消えゆく脳の片隅に必死に刻み込もうとした