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勾留四日目

この日の最高気温は36.3度

曇ってはいるが蒸し暑く

じめじめとした屋外から警察署内に入ると

そこはもう楽園のような涼しさで

沢田マリカ

生き返る~

思わずそうつぶやいてしまうほどだった

沢田マリカ

今日もよろしくお願いします

三村優真

あの……

沢田マリカ

ごめんなさい……

沢田マリカ

あすみさんの情報は中々入ってこないんです

沢田マリカ

あの、三村さん

沢田マリカ

本当にあすみさんは虐待を受けていたんでしょうか?

三村優真

昨日も言った通りです……

三村優真

僕が治療したんです……

三村優真

僕が……あすみの……

三村優真

身体の傷を……

嘘をついているようにはどうしても思えない

この青年の眼差しは

いつだって本気で

ずっと彼女のことを心配していて

本当に彼女のことを想っている

そう思った

2010年5月20日

三村が彼女を拉致してから一週間が過ぎた

最初の夜に彼女を抱いた三村だったが

彼女が虐待を受けていていることを知り

その二日後には湿布薬等を購入

治療の前には必ず

身体中の痣や傷に消毒と言う名のキスをして

全ての痣に湿布薬を貼り

切り傷には化膿止めの軟膏を塗り

大サイズの絆創膏を貼る

真新しい傷からは微かな出血もあり

彼女に痛み止の飲み薬を飲ませていた

三村優真

瘡蓋になってきたね

三村の言葉に彼女が頷く

三村優真

もう少ししたら瘡蓋もなくなると思うけど……

三村優真

白く痕が残るかもしれないな……

三村優真

とにかく、化膿止めを塗っておくね

一通りの治療を終えると

三村は彼女をそっと抱き締める

彼女の怪我を気遣い

初日以降は何もしなかった三村だが

寝る前には必ずキスをするようになっていて

最初は戸惑いを見せていた彼女も

すっかりそれを受け入れるようになっていた

三村優真

傷が完全に良くなったら

三村優真

また、僕の愛を受け止めてくれる?

恥ずかしそうに頬を赤らめ

コクりと頷く彼女に

三村は再びキスをした

とろけるような熱く甘いキスの後

またお互いを手錠で繋いで眠りにつく

三村優真

おやすみ……

消毒と言う名のキス

それと手錠を用いること以外は

普通の恋人達と何も変わらない

沢田マリカ

あすみさんのことが心配なんですね

三村優真

あすみを傷つける家族から……

三村優真

あすみを救い出したい……

沢田マリカ

三村さん……

三村優真

沢田さん……

三村優真

お願いします……

三村優真

あすみを助けてください

三村は愛を求めていた

もしかしたら一目惚れだったのかもしれない

だがまともな愛を知らずに育った三村には

連れ去ると言う方法しか思い付かなかった可能性もある

もし本当に彼女が虐待を受けていたとしたら

そんな三村の差し出した手に

救いを求めたのだろうか?

ブーーっ

ブーーっ

ここでアラームが作動した

沢田マリカ

また来ます……

私を見つめる三村の目の奥には

ずっと彼女の存在があるように思える

もっと知りたい

二人の過ごした三ヶ月を

渇愛と純情ー愛の鎖に繋がれてー

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