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銃口の先のエンディング

第29話 - 感情の矢印

350

2024年06月29日

#一次創作

#ファンタジー

#冒険

#殺し屋

#人間関係

#日常

四阿朧

テヘル

そんでさぁ、そしたら───

アイザックは、思い出していた

アイザック

…

テヘル

…お前、話聞いてる？

その言葉にピクリと反応し、記憶の中のアイザックは初めて口を開く

アイザック

…なんだっけ？

テヘル

聞いてねえじゃん、もぉ

テヘルは話すのに飽きたのか、立ち上がって暖炉に火をつけた

アイザック

…寒かったの？

テヘル

別に？お前が寒そうだったから

アイザック

…

アイザックが何もしなくたって、テヘルは勝手に世話を焼いてくれていた

テヘルは人付き合いに慣れているし、人を喜ばせるのが上手なのである

それは気に入ったものとなるとなお顕著に現れる、テヘルの人柄だった

アイザック

…テヘルはなんで、俺なんかを連れ出してくれたの？

テヘル

だって、つまんなそうだったから

アイザック

？

テヘル

死に対する恐怖とか、そういうのまったく感じなくて…

テヘル

お前は1人だったあのときから、何にも物怖じせず、変わろうともしてなかった

テヘル

でもなんだか退屈そうで…抜け出したいようで、俺と同じだなって思ったんだ

アイザック

テヘルの周りには誰でもいるじゃん

テヘル

だけど俺も独りだよ

アイザック

？

テヘル

…分からなくていーよ

テヘル

俺さ

テヘル

お前といると楽しいんだ。どこへでも行ける気がしてさ

アイザック

（…分かんないよ、テヘル。）

アイザック

（俺はどこにも、行きたくなんかないし）

アイザック

（俺には他人の気持ちなんて何1つ分かんないんだから。）

アイザック

（…でも、自分の気持ち、1つだけ分かるんだ）

アイザック

（俺は人を殺せばきっと…とても…満たされる）

アイザック

あ゙ー…嬉しい。俺1人で全員…殺していいんだ。

それからしばらく、騒がしい時間が続いた

メラ

…ねえ、アイザックは生きて帰ってくるのかな？

アメリア

さあな

メラ

…テヘルはきっと、助かるよね

メラ

アイザックがたとえ、死んじゃったとしても。

アメリア

？それはないだろ

メラ

…アイザックでも、自分の命が最優先だと思う？

アメリア

アイザックでもっていうか…むしろっていうか…

アメリア

うーん…どうだろうな、何がなんでも殺したいと思ってそうだけど…

メラ

死んでも殺す…みたいな？

その瞬間塔の上の方で爆音がして、2人は顔を上げる

そして白いふさふさの髪と、赤い艶のある髪が、同時に舞い降りてくる

テヘル

あははっ、すげぇな！たっけぇ！

アイザック

んん、危ないから暴れないで

アメリア

嘘だろ…

メラ

す、すごい…本当に助けて戻ってきちゃった！しかもこんなに早く！

アイザックに抱えられたテヘルは、不思議なくらいにケロッとしている

そんな2人を見て、アメリアは初めてそのアイザックの執念に興味を抱く。

アメリア

（アイザックのこの強さは才能だけじゃなさそうだ）

アメリア

（心の状態…きっとそれに左右される。しかしコイツの感情はどう動かされるのか）

アメリア

（戦うのがどういう仕組みで好きなのか。…知りたい。）

テヘル

はぁー！？お前勝手に約束したの！？

アイザック

別に最悪バックれてもいいかと思って…それにテヘル、助けなきゃ怒るでしょ

テヘル

ばか！

テヘル

はあ…あのさー、協力してもらって悪いけどコイツは俺の相棒だからダメ────

アメリア

まあそうだな

テヘル

？

アメリア

（アイクが殺し以外もし何もしたくないやつだったとして）

アメリア

（私はテヘルほど都合よく面倒を見てやれる気はしない、だから…）

アメリア

代わりに新しい取引はどうだ

テヘル

なんだそれ？

アメリア

お前もいっしょに…私と来ないか？

テヘル

…へ？や、別に俺は────

アメリア

取引…だと言ったろ？

アメリア

別に私にくみしろと言うのではない、だがこれは───

アメリア

お前を殺さない代わりに、だ

テヘル

おいおい…俺らのこと殺す気なのかよ？

テヘル

協力してもらって悪いけど…そういうんならこっちも然るべき手段は取らせてもらうぜ？

アメリア

違う、私だって別に恨みがあるわけじゃない。

アメリア

…私の資料にお前の名が載っているんだ。

アイザック

は？

テヘル

…え？

テヘル

ちょっ…と待て、俺人なんて殺してねえぞ？

アメリア

知らん、書いてるんだから

アメリア

お前らは読めるんだろ

差し出した資料を、2人はまじまじと見る

テヘル

ほんとだ…こんなにご丁寧に。ただ…理由の欄が抜けてる？

アイザック

…なんで？

テヘル

なんでだろ…

アメリア

どうだ？王子は過去にも私の仲間を一旦殺さないとしていいと言ってる

テヘル

…それって結局、いつかは殺されんの？

ドクンと心臓が高鳴る

アメリア

…そのときは

アメリア

どっちが強いか、ほんとに勝負だ

それでも今だけでも…そんな現実から逃げていたい、のに

テヘル

…ふーん

テヘル

だったら別に今でいい。最後は敵同士なのに馴れ合うとか、意味なくね？

ズバリと言われて、アメリアの心がギュッと痛む。

アメリア

（…そんなこと…分かってる）

アイザック

…テヘル

テヘル

ん？

アイザック

面白そうだし…行ってみてもいーじゃん、一旦

テヘル

え？

テヘル

お前…コイツらと一緒に行きたいのか？

アイザック

まあ…テヘル、ダメ？

テヘル

…っで、でも、俺───

アメリア

（…アイザックはやはり、殺しに興味がありそうだな……良かった）

アメリア

手は足りてる。もし殺しがしたくないのなら他の形で協力してくれてもいいから

テヘル

…っ

テヘル

…………分かったよ

テヘル

…でも最後は、悪ぃけど俺も本気でお前らと戦うから。

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ま、まさか本当にテヘルくんと一緒にアメリアさん達の元へ戻ってくるなんて……凄すぎだろ……！！！そしてアイザックくんのアイコンも変わった……もしかしてアイコンが変わる理由ってその人の執着や執念が関係してる……？？確かに一緒にいる時間が長ければ長いほどアメリアさんはメラさんやミュールさんを殺すことが出来なくなりそう……😢😢それを理解しつつも仲間を増やし続けるアメリアさんはこれから

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