夜道
香菜
はぁ…はぁ…
香菜
(逃げるって言ってもどこに行けば…)
雅紀
あれ?香菜ちゃん?
香菜
雅紀さん!?
雅紀
どうしたの?血相を変えて…
香菜
ストーカー…ストーカーが!
雅紀
え、なに?
雅紀
ちょっと落ち着いて話して
香菜
ストーカーが10分後に家に行くって…
香菜
でも合い鍵を作っているらしいから、家にいられなくて…
雅紀
合い鍵!?
香菜
本人がそう言ってました
香菜
連絡先知ってたり、合い鍵も勝手に作ったり…
香菜
どうしてこんな事が出来たんだろう…
雅紀
……
雅紀
もしかしたら、ストーカーはお客さんじゃなくて
雅紀
もっと身近な人かもしれないね
香菜
身近な人…?
雅紀
大学の友達とか、そういう人
香菜
そんな…
雅紀
心当たりは?
香菜
ありません
香菜
というか、友達を疑いたくないです…っ
雅紀
ご、ごめん…泣かないで
雅紀
とにかく今は一度落ち着いた方がいい
雅紀
俺の家すぐ近くだから、来なよ
香菜
えっ、雅紀さんの家ですか!?
香菜
さすがにそれはご迷惑なんじゃ…
雅紀
大丈夫
雅紀
それに今は緊急事態だし、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ
香菜
雅紀さん…
香菜
ありがとうございます
香菜
お言葉に甘えさせていただきます
雅紀の家
雅紀
狭いところでごめんね
雅紀
今お茶淹れるから、適当に座って待ってて
香菜
あ、お気遣いなく…
香菜
(てか、混乱してて深く考えずに来ちゃったけど)
香菜
(私今好きな人の家で2人きりなんだよね)
香菜
(そもそもこんな夜遅くに男性の部屋に来るってどうなんだろう)
香菜
(まあでも、他に行き場所はなかったから…)
その時だった…
棚の上に置いてある花柄のハンカチが私の目に留まった
香菜
え…
香菜
(このハンカチ見たことある…)
香菜
(ううん、見たことあるどころじゃない)
香菜
(この前私が捨てたハンカチだ)
香菜
(でもあれは、ストーカーが持ち去ったんじゃ…)
香菜
どうしてこのハンカチが雅紀さんの家に…?
香菜
まさか…
雅紀
香菜ちゃん
香菜
!!
雅紀
やっと2人きりになれたね
雅紀
もう、離さないよ
雅紀
永遠に…