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コメント
5件
えもうなんか相変わらずの神作なんですけど‼️‼️‼️‼️‼️ え良ければなんですけど宣伝させていただいていいですかね、、🥺? もっと多くの人に読んでいただきたい、!!、、!!!!
移動教室のために談笑しながら階段を上る
敦志
敦志
淕
淕
敦志
階段の中腹で上からの足音に気づいた
憧埜
敦志
淕
憧埜
笑顔で小さく手を振って憧埜くんは階段を下って行った
敦志
淕
淕
敦志
敦志
敦志
敦志
淕
淕
敦志
わからない
ずっとわからないままだ
教室の前で話しかけたあの時
どうして泣いていたのか
どうしてそれを繕ったのか
憧埜先輩
あなたは何を悩んで隠して
何に苦しんでるんですか
教えてください
階段の最後の段で躓いてしまう
体を地面に打ちつける寸前
敦志が強く腕を掴んでくれていた
敦志
敦志
淕
淕
2人は再び長い廊下を進んでいった
第9話 幸せに
緊張を掌に握る
今にも逃げ出してしまいたかった
このまま嘘を吐き続けてしまえば
それが嫌だからここにきたけれど
目の前にするとやっぱり怖かった
澄
春紀
憧埜
春紀
澄
澄
憧埜
春紀
2人は不思議そうな顔で僕を見つめる
憧埜
春紀
澄
右足の裾を捲り上げる
2人は酷く変色した足首に何も言葉を発さないでいる
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜は頭を下げて中々前を向かない
澄
澄
春紀
春紀
澄
春紀
憧埜
いつもこの2人は僕を叱ってくれない
暖かいはずの優しさが冷たく頬を貫いた
どうしても綺麗に見えてしまうその姿に
僕の醜さが目立つ
その場所から足が動かなくてしばらく立ち止まっていた
紘時
紘時
憧埜
紘時
憧埜
紘時
憧埜
憧埜
紘時
怒りが籠った呟きだった
紘時
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
その言葉と沈黙だけを残して淡い光の中に去っていった
着信音が鞄の中から聞こえてくる
それは響からの着信だった
紘時
響
紘時
紘時
紅茶を一口飲んでからマグカップを慎重に机に置いた
響
響
紘時
紘時
響は目を合わせてくれない
空気が重いせいかすぐに喉が渇いてしまっている
響
響
紘時
響
4、5秒黙り込んで意を決したように紘時を見つめた
響
響
紘時
何のことかわかっててそう言った
口に出したく無かったから
響の顔がだんだん暗く染まっていく
響
その声は震えていた
響
響
響
響
響
響
紘時
紘時
紘時
紘時
紘時
響は震える手を机の下に浸隠す
響
響
泣き出した響に何も言えずに下を向いてしまった
人がほとんど居ない店内に啜り泣く声が響いている
響
響
視界が悪くなって
顔を上げることができなかった
紘時
窓が藍に染まっているのを知りながら
2人は俯いて涙を落とし続けた
たった一人の幸せを願い続けた
昨日まで行われていた関東大会
メンバーの活躍を見ることは生憎叶わなかった
結果は紘時が伝えてくれた
恵は決勝に進出したが右足の怪我で棄権
高柴くんは決勝進出し総合2位
全国IHへの切符を手にした
4×400mリレーは決勝進出には届かなかった
憧埜
澄
憧埜
澄
澄
澄
普段より疲れた表情と声で精一杯話してくれている
澄
憧埜
憧埜
澄
澄
澄
高柴くんは顔を曇らせてそう言った
捨てたはずの罪悪感が再び芽を生やす
憧埜
謝罪の言葉を咄嗟に抑え込んだ
自分が楽になる為だけにその言葉を言いたくなかった
澄
澄
澄
澄
澄
澄
澄
幸せそうにあなたは笑う
僕の不安を残すことなく取り去ってしまう笑みで
憧埜
憧埜
澄
澄
憧埜
澄はT字路を曲がって憧埜の顔を見た
澄
憧埜
後ろ姿を暫く見つめてから歩き始める
また明日を
いつまでも僕は言えないみたいだ
明後日から漸く夏休みに入る
冷房が効いた教室で私たちは他愛ない話をしながら居残っていた
結空
零
零
結空
零
零
結空
零
零
零
結空
結空
零
結空
零
零
結空
焦りが完全に顔に出てしまった
零
零
零は目を光らせて近づいてくる
零
結空
零
零はからかうように笑っている
零
結空
零
私は透かさず零の口を塞いだ
結空
結空
結空
零
零は満足そうに結空を見つめる
結空は照れくさそうに目を逸らした
そして緊張を含んだ真剣な瞳で
結空
結空
憧埜
憧埜
結空
結空
憧埜
結空
結空
憧埜
憧埜
結空
安心した口調で朗らかに笑った
間を開けてから再び結空は話を続ける
結空
憧埜
結空
憧埜
結空
結空
突然すぎて返す言葉が思いつかないまま 立ち尽くしていた
憧埜
結空
憧埜
憧埜
結空
結空は楽しそうに笑みを浮かべた
憧埜
憧埜
結空
憧埜
結空
憧埜
結空
結空
煌めきで目を焚かれるほどの輝かしい笑顔で手を振る
憧埜
そして僕は未だに空っぽな心で既製の笑顔で手を振り返した
どうしてこんなに虚しいのだろう
そんな無価値な問いを浮かべてはすぐに忘れてしまっていた
人混みの中を2人は摺り抜けるように歩いていた
憧埜
結空
浴衣で着飾った結空と普段通りの僕
楽しそうな結空と後ろめたい僕
憧埜
結空
憧埜
いたずらに笑うその顔に苦さを感じてしまう自分に嫌気が刺す
憧埜
結空
憧埜
憧埜
結空
憧埜
結空
憧埜
結空
人混みをかき分けて屋台へ向かう
結空は憧埜の手を強く握った
憧埜は少し驚いた表情を見せた後やるせないような顔をした
結空が掴んだ手を
憧埜は握り返さなかった
結空
結空はそっと手を離した
結空はりんご飴を、憧埜はぶどう飴を1つずつ買って道沿いのベンチに座った
結空
噛んだ瞬間にぶどうの甘さが口の中で俄に解けた
憧埜
結空
憧埜
結空の真剣な顔に吹き出してしまった
結空
きまり悪そうに僕を見つめるその目に
僕じゃなければきっと
憧埜
結空
結空は何故か笑い出した
憧埜
結空
結空
結空
憧埜
結空
憧埜
結空
核心を突かれたのが気づかれないように感情を抑えつけて笑った
憧埜
結空
憧埜
一瞬不服そうな顔をしてまた一瞬悲しそうな顔をした
憧埜
憧埜
結空
憧埜
憧埜
憧埜
結空
結空と色んな話をして笑いあっていた
部活の話
後輩の話
学校の話
普段はしないような話ばかりだった
結空
憧埜
結空
結空
結空
結空
憧埜
結空
結空
憂さを晴らすような笑みで顔が綻ぶ
憧埜
結空
結空
憧埜
結空
憧埜
予感はしていたが直面したその問に立ち止まってしまった
結空
聞いたことのある台詞を顔を逸らして放った結空の心情を
理解してしまう前に目を閉じた
時間は無常に過ぎていく
その中で2人、花火が打ち上がるのを待ち続けている
結空
憧埜
結空の方へ振り返ったその瞬間
花火が咲く音が強く鼓膜を震わせた
結空は何か僕に言っていた
少しも聞き取れなかったその言葉を今は気にかけようとしなかった
何百何千の花火が夜空を華やかに色づけては消えていく
綺麗で
ただ綺麗で
僕にとっては残酷だった
花火を見つめる結空の顔は幾千の光に照らされている
それでも胸の痛みは癒されない
早くこの時間が終わればいいのに
不相応な感情が湧き上がってくる
結空
憧埜
憧埜
結空
いつもは平然と吐く嘘を閉じ込めて何も言わなかった
最後の花火が咲いた
僕の心と不釣合いな華やかさで
その光は降り掛かってきた
結空
憧埜
切ない顔を微かに浮かべた後に結空は笑顔を取り戻した
結空
憧埜
結空が考えていることはわかってる
そのはずだった
でも今の結空は
様々な感情が混じりあったような顔で
必死に笑っているように見えた
その表情が何を意味しているのか
微塵も分からなかった
終わってしまう
この時間が
何時間も何日も楽しみにして眠れない日だってあった
この日のことを考えるだけで嬉しくなったり苦しくなった
それほどまでに私の人生の中で決して手放せない1行
1ページのはずだから
あと少しだけでいいから
その1ページを抱きしめさせて欲しい
結空
結空
流れ出そうな涙を無理やり堰き止めて笑った
本当は崩れそうなくらい苦しいのに
小さなバッグの柄を握る力が強くなる
憧埜
憧埜
呼び止めたかった
伝えたかった言葉はまだ何も伝えてない
その意思に反して足は進む
バックの中に入れていた飴玉を取り出す
憧埜が好きなコーラ味
私の苦手なコーラ味
そっと口の中に入れてみる
思った通り私の口には合わなかった
憧埜が好きなものを好きになりたくて
吐き出すことは出来なかった
半年以上前に渡したあの飴玉は憧埜にとってどんな味だったのだろう
考えるだけで笑顔が引き裂けそうになる
不意に足が止まってしまった
止まらない涙を捨て置いて下を向く
どんなに苦しくても
例え私のこの恋が叶わなくても
たぶん私は笑っていられる
だから憧埜にも笑ってて欲しい
切ない顔しないでよ
悲しい顔しないでよ
憧埜
お願い
結空
2人の距離は徐々に遠ざかる
あんなに煩かった蝉の声は聞こえない
静かな夏の夜だった