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規則正しい電子音が耳を叩いて数秒後。
重い体を起こしながら背筋を伸ばす。
時刻は午前5時30分。
”彼”との待ち合わせ時刻は6時
15分で支度をして10分で朝ごはんを摂る。
これがいつものルーティン
乱れた布団を直して洗面所へと足を運んだ。
黄野
紫稲
マフラーを巻いている彼
こちらを向いて眠そうな目をしている。
黄野
スマイル、
これは俺が呼んでいる彼のあだ名。
彼の本名は紫稲 誠
いわゆる幼馴染でよく一緒に出勤している。
黄野
紫稲
黄野
寒い風が吹き付ける中
電車の駅をめざして少しだけ薄暗い中を歩いていた。
田中
同時に下駄箱へと向かってきたのは 数学科の田中だった
紫稲
黄野
それぞれが挨拶を投げては返し 靴を履き替えていると
田中
黄野
田中がこちらに話を振る。
田中
黄野
紫稲
田中
自然と歩きながら話す中 職員室の明かりが見えてきて。
黄野
紫稲
入るまで鈴木のことについて 話していた。
席に荷物を置けば 出勤の証であるハンコを表に押し付けた。
席は田中の目の前だ。
スマイルは田中の2個隣。 つまり俺の斜めくらいだ。
まだ人が少ない職員室
彼が教頭に呼ばれて向こうへと消えていった。
田中
黄野
約数分後
少し苦しそうな顔をしてこちらへ戻ってきた。
田中
紫稲
黄野
田中
紫稲
黄野
田中
紫稲
黄野
紫稲
田中
黄野
紫稲
田中
黄野
田中
紫稲
黄野
そんな話が上がった時に。
教頭
教頭の声が鋭く入った。
いつの間にかほとんどの教師が集まっていて席に着いている。
前に教頭が立っている。 1つづつ淡々と述べていく。
そして、最終に取り掛かった時
教頭
その声に教師たちは顔を見合せた。
教頭
中山
古山
そのさり気ない言葉から 捜索が始まった。
筋肉のある体育科の中山が 鈴木の机をどかす。
跡をつけて。叫びながら動く机の後ろ。
田中
田中のその言葉に周りがザワつく。
教頭
校内の色んな鍵が集まった棚の側面を探していた教頭がメガネを外しながらこちらへ来る。
教頭
古山
黄野
松村
教頭
そう言って田中から鍵を受け取った教頭は職員室の一番前の自席に戻って行った。
教頭
その言葉で 朝の学活は終わった。
教室に戻ると生徒達が椅子に座って談笑をしてる。
朝特有の明るい光と
眠そうな声が一緒になって。
彼らが扉の音に気づいて。
おはようございます、と声を揃えて言ってくれる。
黄野
そんな光景に少し喜びを覚えて。
黄野
黄野
緑のくせに黒板、と名乗るボードに チョークを叩き付ける。
削った分の粉が付着して 文字となる。
少し空いた窓から風が吹く。
靡いたカーテンの隙間から 明かりが差し込んでシャープペンシルの金属部分に当たる。
輝かしく放たれたその光は教卓へと堕ちた。
黄野
高崎
黄野
黄野
山本
黄野
黄野
生徒に当てるのは 教科書に書いてあるもののみ。
書いてないものはわかるやつが手を挙げて答えてもらう。
これが俺の授業の進め方
どちらにせよ変わらないが 俺はこのやり方が気に入っている。
ただ単に当てるよりも わかるものを答えた方が楽しいはずだから。
黄野
学級委員
いつも恒例終わり初めの挨拶。
ありがとうございました、
その言葉が聞こえた時。
少しだけその教室に残り その後は音楽室へと向かった。
近づくと音が大きくなる。
この音の正体は考えるまでもなく ピアノ。
その、引いている人物はやはり。
黄野
紫稲
黄野
今日代理としてここにいる スマイルだった
紫稲
黄野
紫稲
黄野
紫稲
黄野
紫稲
そんなことを話していると
賑やかな行列が近づいてきた
黄野
紫稲
3-6。俺が受け持つクラス。
6組は3年の中で1番賑やかだ。
よく担任に似ると言われるが… 俺はこんなにうるさくないはずだけどな
知らねぇけど
市村
高倉
佐藤
紫稲
黄野
学級委員
高倉
なんでお前が黙ってるんだよ!? お前が任されたんだぞ!?
紫稲
……????
学級委員に任せるなよ
紫稲
その合図で 生徒は席に座る。
市村
紫稲
?????????
俺は貴様の下僕じゃねぇぞ
市村
ないわ〜
ちょっと後で寿司屋誘って わさび突っ込むか
足りねぇな。
納豆にしそふっかけて食わ───
文句をタラタラ頭の中で言っていれば 開始の合図が鳴り響く。
紫稲
学級委員を制止させて 話し始めた。
紫稲
いやまぁそうだろうよ
紫稲
各々が頷いて正解を知らせる。
紫稲
石崎
紫稲
石崎
紫稲
黄野
紫稲
お前なんの為にピアノ 弾いてたんだよ!?
高倉
木口
佐藤
紫稲
黄野
紫稲
そう口を挟めば 殺すぞと言わんばかりの目を向けてくる
仕返しだバーカバーカ!!!
佐藤
生徒たちはそれぞれ口を開き始めた。
紫稲
生徒たちの大きな声に混ぜて 小声で俺をぶっ刺すスマイル。
まぁ怖くないし日和らんけど。
紫稲
少し大きめな声で 話し始めた
紫稲
その一言。 生徒たちからは歓喜の声が沸き上がる。
椅子から立ち上がり 拍手をするやつも。
新たな王が誕生して喜ぶ群衆のように。
紫稲
学級委員
紫稲
一足先に教え子の合唱を聞けるとは。 嬉しいものだ。
机と床が擦れる音。 同時に笑いながら話す生徒たち。
そして楽譜を読み漁るスマイルの姿。
いかにも音楽っぽいなと思いながら その光景を廊下の風に吹かれながら見ていた。
紫稲
少し落ち着いたタイミングを 見計らって彼が伴奏部分を弾き始めた。
動くペダル。伸びたり縮んだりする音。 音楽室を跳ねて空気を震わせる。
歌い始めから圧倒的な音圧と 重なった歌声。
今でこれなのか。
来年の卒業式が少しだけ 待ち遠しくなった。
1番が終わった時。 少し名残惜しそうにその音は消えた。
紫稲
楽譜から目を離して 生徒たちに目線を向ける。
まだ彼は座ったままである。
紫稲
その言葉に激しい怒りを覚えたが そんなことはどうでも良く、 生徒が欲しいです、と口にしているのがなんとなく心に染みた。
黄野
自分でも圧巻されたのか 言葉が出てこずに すごい、の一言しか出なかった。
そんな自分が滑稽に思えてきて 少しの笑いが浮かんだ。
生徒たちもそんな俺を見て 笑っていた。
黄野
そう言葉を述べたら 奴らは
木口
佐藤
黄野
笑い
黄野
その言葉を残して。彼に視線をパスした。
紫稲
生徒は渋々了解していた。
紫稲
石崎
紫稲
石崎
紫稲
…こいつ1人で何言ってんだ?
石崎
そう言って俺とは反対の教室の端っこに居座った彼。
1時間ほどその声に耳を傾けていた。
家に帰って。
時刻はまもなく8時半
仕事も一段落ついて 今日は早く帰ることも出来た。
明日行けばその次の日は休み。
仕事は少ないし… やっといて損は無いか。
月曜の分のプリントを作ろうとパソコンを開いた時。
机の上で機械が動いた。
紫稲
黄野
黄野
紫稲
紫稲
黄野
白田。
俺らの友人で5年前に病気で亡くなった。
黄野
紫稲
紫稲
黄野
紫稲
そう言ってスクリーンショットが 送られる。
白田
白田
白田
白田
黄野
紫稲
黄野
紫稲
明るくて良い奴だった。
しかし病に侵され亡くなってしまった。
そんな彼からのメール。
耳、脳、彼全てが信じられず メールも電話もめんどくさい為
必要最低限のものを持って 家を出た。
寒く凍えそうなほどの夜。
月明かりそして星が光る中
マフラーとコートをまといただ走る。
両側の家の灯りが後ろへと流れていく。
白い息が風と共に散っていく。
少し近い彼の家は 1時間もかからずに着いた。
黄野
落ち着かない心臓。
走ってきたのももちろんあるが 1番は白田からの…
紫稲
普通の温度のお茶と同時に スマートホンが渡される。
確かに、来ている。 今日付けで。
黄野
紫稲
黄野
紫稲
黄野
紫稲
黄野
紫稲
黄野
紫稲
黄野
紫稲
黄野
紫稲
それから帰って寝た。
しかし、一つ気がかりなのが あった。