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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

みんなが、わたしを呼んでくれる。

頼ってくれる。

先生からも、いると助かる、なんて感謝される。

成績上位、運動神経もいい方だし、人当たりも悪くない。

数人、高嶺の花だなんて気軽に接してくれない人もいるけれど

それも仕方ないと割り切っている。

だってわたしは、完璧に"優等生"。

教室の扉を開く。

 

おはよ〜染花ちゃんっ

染花

ああ、うん、おはよう

染花

(この子───)

染花

染花

(…まあ、いっか)

友達のひとりに声をかけられた。

そのあと同様に何人かにも挨拶する。

 

ねえねえ、今日席替えあるらしーよっ

染花

そうなんだ、テストも終わったもんね

笑顔でそう返すとその子は嬉しそうに笑う。

 

うんうん!まじで解放感すごいよぉ

偏差値約60の水花学園

中高一貫でもあるから半分くらいは内部進学者だけど

倍率はそこまで高くないので入りやすい。

みんなは黒瀬ならもっと上に行けた、なんて言うけど

わたしは指定校推薦をもらうためにもここに来た。

そのあと、その子の言った通りに席替えが行われた。

蘇芳

黒瀬さん!

蘇芳

となりよろしくなー

染花

うん、蘇芳くんよろしくね

笑顔の眩しい彼に、わたしも笑って返した。

 

おいユキー!お前黒瀬さんに迷惑かけんなよー!笑

蘇芳

教科書とかオレばりばり忘れるんだけどやべー?

蘇芳

なんなら課題もやってねー笑

 

すげーメンタルだな

蘇芳

やめてくれ心折れる笑

染花

(蘇芳雪太はうちのクラスで男女問わず友達が多い)

染花

(人間関係の構築に長けてるんだろうな)

染花

(…ちょっと、アホだけど)

わたしはわたしとは違った彼と、深い仲になるつもりはなかった。

でもそんな彼は、その日から度々わたしに話しかけて来た。

蘇芳

あ、黒瀬さんって食堂で食べてんだ、意外

染花

そうかな、まあお弁当だけどね

染花

友達が食堂だから

 

雪太くんもいっつも食堂いるよね〜

蘇芳

そーそ、食堂うまいからなー

 

ユキそろそろ置いてくぞー

蘇芳

行くーーーごめんごめん

 

んっとにユキは気づいたら誰かと喋ってる

 

なんなんだほんと笑

蘇芳

ごめんって笑

蘇芳

やでもさ隣になって気づいたんだけど黒瀬さんまじおもろい

 

お前のコミュ力があるからだろ笑

 

…雪太くんってさー

 

いじられキャラっぽいところあるから分かんなくなるけど

 

ふつうにかっこいいよね、いい人だし

染花

そうだね

染花

(わたしがおもしろい?)

染花

(…そんなわけ、ないじゃん)

そんなこんなである日の放課後

蘇芳

あれ黒瀬さん?

染花

わっ、蘇芳くん

蘇芳

こんな時間まで勉強して帰るとか偉いな…っていうか

蘇芳

どうしたのこんなとこで

染花

あー…

染花

こっちって、外出れる場所なかったっけ

蘇芳

え?

染花

正門からだと駅遠くなっちゃうから

染花

近道、探してるんだ

蘇芳

蘇芳

…っはは!やっぱ黒瀬さんておもろいわ

彼はぽかんとしてから笑った。

蘇芳

こっちサッカー部の溜まり場だし、行き止まりだから!

蘇芳

しっかりしてると思ってたけど黒瀬さんて意外と抜けてんな笑

染花

部活は入ってないから、こっち側に来たことなくて…

染花

でもそっか、正門から帰るしかないかぁ

蘇芳

しゃーね、柵越えるのもありだけどやる?笑

染花

あはは、蘇芳くんはやってそう

蘇芳

せいかーい

蘇芳

ん、じゃあ駅行くなら向きいっしょだし、途中まで帰ろぜ

染花

え、蘇芳くん、ひとりなの?

素直に珍しいなと思った

彼はいつも人に囲まれてると思ってたから。

蘇芳

おー、部活終わって先生に呼び出されたからみんな先帰った

言いながら、彼はわたしの右側を歩いて足を門に向けた。

染花

先生のところ?…ああ、提出物?

蘇芳

そう、成績やべーって笑

いっしょに歩きながら、話を聞く。

染花

この間のテストもやばかったの?

蘇芳

1個赤点だったのびびった、やっぱ2年なって気ぃ抜けてるわ

染花

赤点…

門を出て左に、そのあと学校沿いにまた左に曲がるとまっすぐ先に駅が見える。

蘇芳

この季節だと6時過ぎても明るくていいよなー

蘇芳

黒瀬さんいっつもこんな時間まで勉強してるん?

染花

教室、うちのクラスだけみんないなくなるから、静かでいいんだよね

蘇芳

うわすげえ、オレも残ろーかな

蘇芳

あ、静かにするし!

この人が人に好かれるのはこういうところだと思った。

染花

(何かを狙ってとか深い意味とかがない、純粋な言葉、そう思える)

染花

…いいんじゃない?

蘇芳

部活ない日やるー

彼との会話は途切れることがなくて

やっぱり、純粋にすごいなと思った。

アシンメトリー□□パペット.

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コメント

6

ユーザー

新連載ー!!読むの遅くなってごめんなさい💦 優等生、って言葉を強調させるために『“”』を用いてるとこ何かしらの意味があるんだろうなあ……って思わされるし、染花さんが友達の名前を一度も口にしていないとことか何か一線を引いてる、っていうかどこか距離を置いてるように感じる💭 いやいや、蘇芳くん優しすぎんだろ……!?こーゆータイプの人って無意識にいろんな人の恋心を奪ってそう……((

ユーザー

あらすじ?みたいなの読んでから考えると、おぼろの作品だし、完璧「な」優等生じゃなくて完璧に「に」優等生ってところ意図的に出してるのかなっておもう!! あと描写そんな強くないけど右側歩いてるのって車道側になるように蘇芳くんが考えてるのかなって思うとモテるなーつよすぎる

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