父の日のプレゼント

あれは高校卒業してすぐの6月だった

大学生の俺達は

高校とはまた違う

少し大人な世界にあしを踏み入れた

色々と大人なことがしたくて

俺達は

生き物の本能のままに

愛し合った

ことはの笑みが何か違う

ちょっと無理した顔

その時の俺はそんなことも気づかなかった

ことはに突然呼び出された

突然会いたくなったなんて言われたから

何かあったなって思ったけど

まさか、あんなことを言われるなんて、この世のだれも想像しないだろう

ことはは、俺の手首をつかんで

自分のお腹に俺の掌をあてた

最初は理解出来なかったけど、

ことはの涙を見たら、

俺がしっかり支えないとって思って

優しくことはを抱きしめた

ことはは、静かに頷いて

大きな声を上げて

小さな子供のように

ワーワーと泣きわめいた

その日が父の日だったって言うのはあとから知った

ことはなりの、父の日のプレゼントだったらしい