部屋の中は、何故だかとても気味が悪かった。 ズズズ、と効果音があふれてきそうだ。 それくらい、冷酷で、不気味な光景だった。
韓国
韓国が、ぽろり、そう言い零した。 俺はギリ、と歯を鳴らした。
中国
中国
「日本は死んだ」。
俺の中の誰かが、そう、俺に囁いた。
ただこれだけ残った日本の腕を見た。 割れ目は入っているが、確かに綺麗で、真っ白な肌だ。
俺は、その手が、「何かに助けを求めようとした」手に見えた。 海に沈んだら腕を精一杯海面から出して助けを求めるように、 日本も、きっと助けを求めていたのだ。 _____でも、崩れてしまった。
アメリカ
俺はここ最近、日本に何をしていた? 何をしてあげられた?
____確かに、ロクじゃないことばっかしていた。
アメリカ
だけど、
「もっと、よくしていればよかった」
と、思ってしまって。
もう、遅いのに。
韓国
泣き崩れる韓国の背中を優しくさする中国。 中国も険しい顔をしていた。
そんな二人を横目に、俺は、何もできなかった。
カナダ
アメリカ
イギリス
伝えなければならない。 だけど、俺の口は頑なに動かなかった。 俺はカナダとイギリスから目をそらして、なんともいえない顔をした。 カナダとイギリスはその俺の表情で察したようだった。 カナダは両手で口を覆って「そんな...」とつぶやいた。 イギリスは服をぎゅっと握って、何かを耐えているようだった。
日本は確かに、俺たちにいろんなことを教えてくれた。 確かに、大切な仲間の一人で、 ___そんな日本が急に死んで、受け入れられるわけがなかった。
昔の戦争ばっかやってたころならこんな悲しくもなかっただろう。 国なんていつ死んでもおかしくなかったから。 だけど、....ある程度平和になった今、まあまあの大国が死ぬ、ということは考えられなくて、...その分ショックが大きくなる。
カナダ
カナダがそう言った。
俺にはその言葉の意味がわからなかった。 俺は、「責任感を感じている」素振りなんて見せているつもりがなかったからだ。
だけど、何故だか、心に深く響いた気がして。 目の周りが途端にじわっと熱くなった。
イギリス
イギリスは悲しそうに笑いながら、 腕を広げて胸元を開けた。
俺は吸い込まれるように親父の胸の中に入っていった。 すると、親父は優しく抱きしめてくれて。
イギリス
俺は泣き出してしまった。
国の滅亡なんて、何十回も見てきた。 大帝国の衰退だって、何十回も見てきた。
でも、悲しいもんは、悲しいんだ。 だって、みんな、大切な仲間だから。
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読み終わったあとに、ワァァァア!!ッて叫んだら家族に引かれました。 祖国様ァァ!ゥゥウ(泣 祖国様を示す物はあるか!?? あぁ、あったか…。