𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
やれやれ、といった表情で
出ていく弟を
白い目で見送りながら
背中を伸ばす
𝑆.
母さんの家系が
正式名称 ″ 遺伝性非ポリポーシス大腸癌 ″
通称 ″ リンチ症候群 ″と呼ばれる
癌家系の中でも 癌になる確率が高すぎて
医学では障害として数えられる家系で
一昨年に検査をしたところ
俺は陽性という結果に
𝑆.
莉犬兄ちゃんは陰性
なな兄ちゃんは陽性だった
𝑆.
ころんが陰性なことを願うが
確率としては
正直、半々だろう
𝑆.
苦しくも
母さんの血を強く引いた
俺となな兄ちゃんは
癌を早期発見するために
半年に1回、病院で 検査をしなければならない
認めたくはないが
父さんの血を強く引いたおかげで
莉犬兄ちゃんは
癌になる確率は通常だと言えよう
あんな輩でも
結局は切れない縁があった
父親なのだ
𝑆.
𝑆.
明日の検査のために
今日の夜ご飯は食べちゃいけない
𝑆.
𝑆.
部屋でぼーっとしてたら 更にお腹が減ってきて
かといって
今リビングに行ったら
食事中の4人に会うだろう
食欲でそれどころじゃ なくなりそうなので
それは控えるか
𝑆.
𝑆.
𝑁.
明日の検査の書類を 確認していたらしい
𝑆.
𝑁.
𝑆.
𝑆.
𝑁.
𝑁.
𝑆.
𝑁.
𝑆.
𝑁.
𝑆.
𝑆.
𝑁.
外に薄い上着を着て出ると
空は紺色から黒へと変わりかけていた
𝑆.
𝑁.
𝑆.
𝑁.
𝑆.
𝑁.
𝑆.
𝑆.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑆.
𝑆.
兄の方を見ても
暗いせいか
表情は読めない
𝑆.
𝑁.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝑁.
𝑁.
懐かしむように
上を向いて
目を瞑る兄
𝑁.
𝑆.
𝑆.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
血を分けていようが
血を分けていなかろうが
るぅとはるぅとで
俺たちは俺たちで
そして、
俺たちとるぅとは
兄弟だ
𝑆.
𝑁.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑆.
𝑁.
𝑆.
ちょっと悩んで
少し大きめの缶を掴む
𝑁.
𝑆.
𝑆.
𝑁.
𝑁.
𝑆.
𝑁.
𝑁.
会計を済ませて
自分の飲み物を そのまま手で持って
外に出る
𝑁.
兄ちゃんは夜に外へ出ると
少し悲しそうな
寂しそうな
憐れむような
そんな顔をする
𝑆.
𝑁.
𝑁.
自分のことなのに断定させないような
ほわほわした喋り方
毎日会っていても
懐かしいと思う
空の星は
1度だけ光って
そして闇にとける
𝑆.
さっき買った
俺にしては珍しい
温かいカフェオレを
兄の頬にくっつける
𝑆.
𝑁.
照れくさそうな顔で
俺が持っている缶に
もたれかかってくる兄は
どこか
母親に甘えたい子供みたいで
ああ、
やっぱり
まだ囚われている
なんとなく、それを認識した
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
ずっと考えていたこと
俺は
どんな人間にみえてるんだろう
𝑁.
こちらに目を合わせず
少し眠そうな目で
前だけを見ながら
考え込む
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑆.
『最初』とはいつのことか
考えてみても
答えはみつからない
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑆.
兄ちゃんは時々
他の人と喋っていても
自分に言い聞かせるような
自分を説得するような
そんな喋り方をする
当然なのかもしれない
俺たちを守るために
兄ちゃんは色んなものを
代償にしすぎた
あの、吐きそうなほどの プレッシャーも
鉛玉が落ちたかのような恐怖も
泣きたいほどの寂しさも
俺たち6人の分を全て
兄ちゃんは背負ってしまった
𝑆.
𝑆.
そんなところまで母さん似
ある意味これは呪縛かもしれない
𝑁.
𝑁.
𝑁.
俺の手からカフェオレをとって
俺の頬にカフェオレをくっつけてくる
𝑆.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
もっとも
零れ落ちたかどうかは
その時には分からないんだけどね
𝑁.
𝑁.
少し寂しそうに笑って
星を見上げていた
空では
星が消えて
そして
新たな星が光っていた
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
少し残念そうに唇を突き出して
寝間着に着替えるころん
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
何か問題でもあるかという顔で
こちらを見ている弟
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
じゃあなんでそっちで寝るんだよ()
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
この歳で癌が発見されることは
宝くじレベルの確率
𝐶.
𝐶.
呆れたような表情で
布団の中に潜り込んでしまう
𝑆.
返ってくるのは沈黙で
𝑆.
𝐶.
𝐶.
布団に響く
少しくぐもった声
𝑆.
なんて言えばいいのか分からずに
とりあえず寝間着に着替える
𝑆.
昨日、徹夜をしたのが響いたらしく
𝑆.
検査のためにも早めに寝よう
消灯して
言われた通り
反対の壁際にある
弟のベッドに行こうとすると
ころんが寝ているベッドが
もぞもぞと動くのが暗闇の中で見えた
𝑆.
思いっきり布団を剥がす
𝐶.
びっくりしたように声をあげて
布団を取り返そうとする
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
むすっとした顔のまま
枕に顔をおしつける
𝑆.
ころんにとっては
悪夢にもなりかねない過去なはずだ
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
俺の手から
布団をもぎ取ろうとして
伸ばした左手を
もう片方の手で捕まえる
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
もごもごと喋って
視線をずらす
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
俺の手から布団を取って
俺に背を向けるような形で
寝っ転がる弟
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
無理やりずかずかとベッドに侵入する
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
こうなったら
俺はてこでも動かないのを
よく分かっているはず
𝐶.
再び俺に背中を向けるころん
その背中に
思いっきり抱きつく
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
暴れるころんを
強く抱きしめる
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
悪態をつきながらも
少し安心したみたいに
体から力が抜けるのが分かった
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
その日は
ころんの心音が
耳に響いていたのを覚えている
𝑡𝑜 𝑏𝑒 𝑐𝑜𝑛𝑡𝑖𝑛𝑢𝑒𝑑...
コメント
8件
ぶくしつです!
ブクマ&マイリスト失礼します!!🙇🏻
フォロー失礼します(*・ω・)*_ _)(*・ω・)*_ _)(*・ω・)*_ _)(*・ω・)*_ _)(*・ω・)*_ _)