「今宵、満月の日に会いましょう。」
Story.4
何にも邪魔されずに
生きていきたい。
ありのままの自分で
今日も俺は
森にいる。
この魂が消えるまで。
永瀬 紬
セト!!
セト
あ、久しぶり
永瀬 紬
久しぶりだねー!
永瀬 紬
部活入ったの。
セト
何部にしたの?
永瀬 紬
吹奏楽部!
永瀬 紬
パーカッションしてるのっ!
永瀬 紬
先輩も優しくてね
永瀬 紬
最近、楽しいの!
セト
…そっか、良かったね。
永瀬 紬
…でね、部活があって
永瀬 紬
セトとの一緒にいる時間が減る…
セト
そっか
永瀬 紬
…寂しくない?
セト
…寂しくないよ
セト
俺には話せる相手がもう1人いるからね。
永瀬 紬
え、私以外にも…話せる人いるの?
永瀬 紬
(…嘘、何だかモヤモヤする…)
セト
…トキって言ってさ
セト
俺の姉なんだ
永瀬 紬
…え!?
永瀬 紬
お姉ちゃんがいるんだ!
永瀬 紬
私も話してみたい!
永瀬 紬
良いな~~
セト
…んー、
セト
…お姉ちゃんは夜しかいないからなー
セト
無理かなw
永瀬 紬
…そっか
永瀬 紬
残念だけど
永瀬 紬
私にはセトがいるから良いや!!
セト
…っ!
セト
…そっか。
永瀬 紬
セト見てー!!!!!
セト
ん?
永瀬 紬
金賞取れたのっ!!!
永瀬 紬
あー!!
永瀬 紬
もう幸せっ!!
紬は賞状を持ってニコッと笑った。
セト
おめでとう
永瀬 紬
うんっ!!
永瀬 紬
本当に良かったよー
永瀬 紬
最後の大会に
永瀬 紬
金賞…取れて!!
セト
…
紬はまた、ひとまわりふたまわりも
大きくなった気がする。
永瀬 紬
…はぁ
永瀬 紬
部活ももう引退になったし…
永瀬 紬
いよいよ受験かぁ…
セト
…どこ受けるの?
永瀬 紬
音羽高校!
永瀬 紬
吹奏楽部が強くてねっ!!
永瀬 紬
そこに行きたいって思ってるんだ!
永瀬 紬
これから勉強に本腰入れるから
永瀬 紬
次会うときは
永瀬 紬
音羽高校の制服着てるから
永瀬 紬
待っててね!
永瀬 紬
私、頑張るから。
紬は優しく微笑んだ。
セト
…//
セト
…頑張ってね
永瀬 紬
…うんっ!!
セト
(何か、紬がいないと寂しいな)
セト
(…こういうものなのか?)
胸がザワつく
君に会いたいと思ってしまう
君と会ってつまらない話を
毎日のように
繰り返したい。
セト
(…そう思うのは俺だけだろうか。)
1番してはいけないことをしてしまった。
ザッ…、ザッ…
セト
トキ…。
トキ
セト
トキ
もう、そろそろ…
やっぱり俺には不可能だ。
セト
…分かった。
君とはもういられない。
永瀬 紬
セトーーーーー!!!
彼女が幸せそうに制服を着て走ってくる。
セト
(…あぁ)
セト
(綺麗だ……)
永瀬 紬
音羽高校の制服
永瀬 紬
どう?
私はくるっと一回転した。
セト
…似合ってる
セト
…凄く。
永瀬 紬
…えへへ//
永瀬 紬
これからはいっぱい話そうね!
永瀬 紬
今、春休みで
永瀬 紬
毎日、退屈なのっ!!
永瀬 紬
学校が始まったら
永瀬 紬
来れる日は少なくなるけど…
セト
…その事なんだけどさ
永瀬 紬
ん?
セト
紬
セトは狐のお面を外し
悲しい顔のような曇ったような顔で
こう言った。
セト
もう、ここへは来るな。
永瀬 紬
…え。
私の心の何かが
欠けた気がした。
ーto be continuedー