翌日
私は再び警察署に来ていた
話の続きが気になって仕方がなかった
事件の真相を知りたいと言う気持ちもあって
いつもよりも早足になっていた
沢田マリカ
三村優真
開口一番
三村は彼女のことを口にした
不安そうな目でこちらを見つめる
沢田マリカ
三村優真
本当に彼女は虐待を受けているのか
できることなら私も
井川あすみさんの情報を得たかった
しかし私の担当は加害者である三村で
どう足掻いても私が彼女と接触することはできない
沢田マリカ
ボイスレコーダーのスイッチを入れる
同時にスマホのタイマーもセットした
三村が拘束を解くと
彼女はしがみつくように抱きついてきた
突然のことに驚き
戸惑いながらも彼女をそっと抱き締め
しばらく泣き止むのを待っていた
その後
三村は彼女をベッドまで運び
三村優真
彼女の袖を捲る
三村優真
手首には何かで拘束した跡があり
続けて服を捲ると
彼女の全身には痣や切り傷が無数に存在していて
三村は思わず言葉を失った
暫しの沈黙の後
彼女は声にならない言葉で……
沢田マリカ
沢田マリカ
三村優真
三村は直ぐに紙とペンを出し
彼女に問いかけた
三村優真
彼女はゆっくりとペンを走らせる
三村優真
三村の言葉に彼女は黙って頷き
再びペンを走らせた
「お母さんは殴る」
「お兄ちゃんは蹴る」
三村優真
「寝てたら切られた」
三村優真
「お兄ちゃんに……」
三村優真
「気持ち悪いって睨む」
「誰も助けてくれない」
三村は再び彼女を抱き締め
彼女の耳元で囁いた
三村優真
三村優真
三村優真
三村優真
普通に考えたらおかしな話で
彼女は抵抗することができたはず
いきなり愛を受け止めてほしいと言われて
拒否することもできたはずだ
それに対して三村が逆上する可能性もあるが
その意思表示さえ彼女はしなかった
むしろ彼女は……
三村の言葉に彼女は頷き
再び三村に抱きついた
三村はそのまま……
彼女をベッドに押し倒すが
彼女は抵抗することもなく
三村のそれを受け入れた
まだ会って間もない男性と
それもいきなり連れ込まれたマンションの一室で
三村は彼女の服を脱がせると
全身に刻まれた痣や傷にキスをした
消毒と称して行われたその行為が
意外にも彼女の心を溶かしていく
コメント
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傷の写真を撮っておけば家族の罪を証明できたのに、とつい考えてしまいますが、忌々しい過去を彷彿とする証となる傷を形にしておくのも酷ですよね… まさか、キスで古傷が癒えたのでしょうか…?