杏寿郎が突然
訳の分からない事を 大声で叫んだ
俺の目をしっかり見て
千寿郎が何故か倒れて
………………
煉獄家:居間
煉獄
千寿郎!水は飲めるか!?
大丈夫か!?
大丈夫か!?
千寿郎
う、うーーーーーん
千寿郎
あに、うえ?
千寿郎
夢!?
真那
夢じゃねーよ
大丈夫か
大丈夫か
千寿郎
あ、あわあわ、あわ
煉獄
もう大丈夫か?
千寿郎
はい、あの私えと、少し頭が混乱を、えと、、兄上、真那さん…
真那
杏寿郎が夫婦になれって叫んでたぜ
千寿郎
わーーーー!!!
夢じゃ、ないんですね!!
夢じゃ、ないんですね!!
煉獄
正確には
煉獄
「真那と夫婦になりたいと思う!!!」
煉獄
だがなっ!
千寿郎
あぁ、私…そんな重要なところで驚き過ぎて倒れるだなんて
真那
気にすんなよ千寿郎
真那
全部、杏寿郎が悪い
煉獄
何故だろうか!?
真那
当たり前だろ!
ただいまついでに言いやがって
ただいまついでに言いやがって
煉獄
そ、そういう風に聞こえていたとは…
煉獄
だが、思い立ったが吉日だからなっ!
真那
何がどうなってあそこで思い立つんだよ!
千寿郎
(もしかして、私が倒れてしまったせいで…)
千寿郎
(話が全く進んでいないのでは!?)
真那
ぎゃーー!ぎゃーーー!!
煉獄
なぬ!うむ!うむむ!?
千寿郎
(け、けれど私が口を挟んでは…あぁどうしよう)
千寿郎
………
千寿郎
お二人共!五月蝿いですぅ!
真那
あ
煉獄
むっ
千寿郎
な、何やら眩暈がします
私は自室で少し横になりますので
私は自室で少し横になりますので
真那
悪い、千寿郎
俺も付いて…
俺も付いて…
千寿郎
ひ、一人になりたい年頃ですので!失礼します!
ぱたんっ
真那
あー
煉獄
大丈夫だろうか
千寿郎…
千寿郎…
真那
はぁ、これだから兄貴の方は全く…
煉獄
む?
真那
気ぃ使わしちまったんだよ
煉獄
そ、それは
煉獄
兄として、不甲斐ない…
煉獄
……
真那
…
真那
縁側で茶でも飲むか
杏寿郎
杏寿郎
煉獄
…うむ!
かちゃかちゃ
煉獄
美味い!!
煉獄
普通の煎茶ではないのか
香りが…
香りが…
真那
桜だろ?
煉獄
ああ!
真那
和菓子のばばあがな、
桜の葉の塩漬けを加えて作ったんだと
桜の葉の塩漬けを加えて作ったんだと
煉獄
感謝だな
真那
ん?
煉獄
この季節に、真那と桜を楽しめている
煉獄
有難い事だっ!
真那
杏寿郎は何でも大袈裟なんだよ
煉獄
真実だが!
真那
はいよ
真那
……
真那
杏寿郎
煉獄
何だろうか、真那!
真那
…本気か
煉獄
どの事だろうか?
真那
だからっ…
真那
聞いた俺が阿呆だったな
煉獄
?
真那
ははっ
真那
杏寿郎が、本気じゃない時なんて
真那
ねぇもんな
煉獄
??
煉獄
真那?
真那
憶えてるか、杏寿郎
真那
俺と初めて会った時の事
真那
いや、会ったって言い方は変だな
あれは連れ去りだ
あれは連れ去りだ
煉獄
忘れる訳がない!
真那はあの時から変わらず美しいぞ!
真那はあの時から変わらず美しいぞ!
真那
品がないって散々言ってた癖によぉ
煉獄
あ、うむ…
正直にものを言うのも考えもの、なのか?
正直にものを言うのも考えもの、なのか?
真那
その言葉が既に失礼だっ!
煉獄
厳しいな、真那は
はははっ!
はははっ!
真那
笑ってんじゃねぇ!
煉獄
のあっ!額を何故叩くんだ真那!
っと、危ない…っ
っと、危ない…っ
どすんっ…
真那
……
煉獄
…真那
真那
俺が嫁じゃ、この家がどうなるか分からねぇ
真那
いつまで生きてっかも
真那
杏寿郎の子供産めるかも分からねぇだろ
真那
…やめとけ
煉獄
……
煉獄
命をかけると、決めていた
真那
……
煉獄
鬼殺隊として、鬼を滅殺し
人を守る事に
人を守る事に
煉獄
勿論、千寿郎も父上も含めてだ
煉獄
だが
真那
……
煉獄
…
煉獄
欲が出てしまった
煉獄
幸せになって欲しい、から
煉獄
俺自身の手で幸せにしたい
俺自身の幸せがここにある
俺自身の幸せがここにある
煉獄
もう、自覚してしまった!
真那
杏寿郎…
煉獄
恐らくずっと前からそうだったのだろう
煉獄
俺は、どこかで考えない様にしていたのだ
煉獄
一等、大切な…
煉獄
…
煉獄
愛する者がいるという事をな
真那
…
煉獄
真那!
真那
何だよ
煉獄
その時はその時だ!
真那
は?
煉獄
俺は、夫婦になるなら真那しか考えられないっ!
煉獄
どちらにしろだ!
真那
杏寿郎らしくねぇ事を…
煉獄
返答をもらいたい!
あと、そろそろ背中が痛いな!
あと、そろそろ背中が痛いな!
真那
あ、悪ぃ…
すくっ
真那
…
煉獄
…
真那
………
真那
杏寿郎
煉獄
何だろうか、真那!
真那
出会った時から
ずっと勝手だな
ずっと勝手だな
煉獄
…
真那
度を越したお節介焼きだ
煉獄
…
真那
人の事ばっか考えて
命かけやがって
命かけやがって
煉獄
…
真那
俺が大切だって?
真那
ここにいた時が長過ぎて情が移っただけじゃねぇのか
煉獄
それは、違うぞ…
真那
何だよ、下向いちまって
煉獄
…正直な所、俺にとっては何もかも初めてだ
煉獄
真那にとっては
曖昧な答えになるかもしれぬ
曖昧な答えになるかもしれぬ
煉獄
…空を見ながら先の世を思い浮かべた
真那
…
煉獄
鬼のいなくなった世
煉獄
家に帰ってくると笑顔の真那が迎えてくれる
煉獄
月に照らされた静かな夜
二人でゆっくり散歩をする
二人でゆっくり散歩をする
煉獄
横を見ればいつも真那がいる
煉獄
これが、俺の欲しい幸せなのだと
煉獄
そう、確信した
煉獄
……
煉獄
揺らぐことのない確信だ!
煉獄
どうだろうかっ!!
真那
だから声がでけぇ!
真那
ずっと
真那
ずっとな
真那
…
真那
ちゃんと聞こえてんだよ…
真那
…
真那
……くっ…
真那
…きょう、じゅろ、、、
煉獄
真那!
ぎゅっ…
真那
ばかやろ…
煉獄
泣かないでくれ
煉獄
改めて、俺は誓う
煉獄
生涯かけて、真那を守る!
煉獄
俺とめお…
真那
しっかたねぇなぁ!!
煉獄
む!?
真那
煉獄杏寿郎の
真那
嫁になる事にすっか!
煉獄
ま…
煉獄
真那っ!!!
真那
ぐるじぃ杏寿郎!!
あとまた目から血ぃ!!
あとまた目から血ぃ!!
煉獄
俺は何と果報者だろうか!
真那
だから大袈裟!
うぉ!持ち上げんなぁ!
うぉ!持ち上げんなぁ!
真那
(………)
真那
(杏寿郎……)
真那
(俺は)
真那
(横にいてもいいんだな…)
真那
(…………)
…………………
…………………
千寿郎
うわぁぁぁーーーん!
真那
お、おい千寿郎
千寿郎
う、嬉しいです本当に!
あぁ、すみません涙が…
あぁ、すみません涙が…
千寿郎
兄上…本当に…
千寿郎
うわぁぁぁーーん!!
真那
あんまり泣いてっと
クソじじい飛んでくるぜ
クソじじい飛んでくるぜ
千寿郎
あっうぅ!ひっく!
はい
はい
千寿郎
ふー
千寿郎
私の願いが叶いました
兄上、鈍感でずっとどうしようかとうぅ…
兄上、鈍感でずっとどうしようかとうぅ…
真那
ん?
千寿郎
あ、いえ!
千寿郎
こほん
千寿郎
真那さん
真那
おう?
千寿郎
これからは煉獄…
真那
ちょっと待て千寿郎!
千寿郎
え!
真那
んんっ
真那
一番世話になったのは千寿郎だ
千寿郎
…
真那
ま、これからは家族って事でよろしく頼むぜ!
はははっ
はははっ
千寿郎
う、うぅ…
千寿郎
うわぁぁぁーーーん!!
真那さーーーん!!
真那さーーーん!!
真那
泣くな千寿郎…
ぽんぽんっ
奥の間
煉獄
…
煉獄
母上
煉獄
己の道は鬼殺の道と、決めておりました
煉獄
勿論、その志は変わっておりません
煉獄
ただ
煉獄
愛する者と出逢いました
煉獄
…
煉獄
母上、何と言って下さるでしょうか
煉獄
ふふっ
母上と真那なら本当の母娘となりそうです
母上と真那なら本当の母娘となりそうです
煉獄
母上…
煉獄
どうかお力をお貸し下さい
煉獄
父上に認めていただける様に
煉獄
………
煉獄
あと、
煉獄
真那と喧嘩になりませぬ様に